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ピラミッドの秘密(Das Geheimnis der Pyramide)

コブラの頭か足か
ピラミッドを発掘してお宝を集めるボードゲーム。危険を恐れない度胸と、ちょっとした推理力が試される。1990年のドイツ年間ゲーム大賞ノミネート作品。2000年にG.バースがラベンスバーガーから出した『ピラミッドの秘密』はピラミッドが複数形だが、こちらは単数形のほう。
4×4マスのピラミッドマスに、はじめタイルをセットする。タイルは6層になっていて、最下層の16枚をセットしたら、次の16枚をセットする。タイルの配置を覚えられないように、一番上までセットしたらボードを何回か回転。そしてゲームスタート。
手番には、好きなだけタイルをめくることができる(吸盤で上のタイルを除去する)。何枚目でも途中でやめることができ、その時点までにめくった宝の分だけ、コインをもらう。ただし蚊やサソリなどのマイナスタイルをめくってしまうとバーストで、それまでにめくった宝を失い、マイナス分だけコインを払う。
ゲーム中に2回だけ、タイルをめくる前にスカラベタイルを出すことができる。するとこの手番の収入は2倍。でもマイナスも2倍なので、1枚めくるたびに緊張する。また、ゲーム中に1回だけ、自分の色のタイルで1マスふたをして、予約することもできる。次に書くように、絶対宝があると分かる場所もあるので、ほかの人に横取りされないように使う。
タイルはランダムに敷かれているが、コブラとオベリスクは絵がつながっている。コブラは尻尾に宝があるが、頭をめくるとバースト。オベリスクは台座にサソリがいることがある。コブラの腹をめくったとき、どっちが宝かは五分五分で、どちらかをめくるには度胸がいる。
最下層は宝がたくさん埋まっているが、1枚だけものすごい形相でにらんでいるファラオタイルがあって、これをめくると−10点になってしまう。これをめくったとき、スカラベでダブルチャンスにしていたtomokさんはあっという間に破産(支払うコインがなくなると、ゲームから脱落する)。まだ1枚目だったのに。
神尾さんがスカラベで大稼ぎして1位。コブラやオベリスクで推理できるが、度胸試しのバーストゲームなので、勢いをつけてガンガンめくるのが楽しい。
Das Geheimnis der Pyramide
S.ローナー、C.ウォルフ作/ジャンボ(1990年)
2〜6人用/8歳以上/30分

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キングダム(Kingdom)

弱くても諦めないで
ファンタジー世界を回りながら武器や防具を揃え、魔王を退治する冒険カードゲーム。1月20日に発売された『ゲームリンク』第2号の付録である。前号の付録となった川崎晋氏の『マーチャント・ギルド』と同様、単体で販売されていてもおかしくない完成度の高さである。
今回のデザイナーは『ゲームリンク』の編集長でもある池田康隆氏。『シャドウハンターズ』(2005)などで知られるが、このゲームも、バラエティに富んだキャラクターの特殊能力が楽しめるようになっている。2007年のゲームマーケットに出展された試作品『ヒーローズ・クエスト』が元になっているようなので、3年近く温めておいた作品ということになる。
はじめに「主人公カード」を1枚ずつもち、キャラクターの特殊能力が記されている。今回私が引いたのは「亡国のプリンセス」。勝利条件が緩い分、戦闘ではまず勝てない設定になっている。弱いだけでなく、神尾さんの「妖艶な踊り子」で、他の人の街に止まるたび、お金を横取りできるという能力のために貧乏だった。主人公カードは12枚入っており、組み合わせによって展開がだいぶ変わる。
ゲームは環状になったルートを回り、街で買い物をしたり、森や湖でモンスターと戦ったり、イベントを乗り越えたりして、お金を貯め、戦闘力を上げて魔王を倒すというもの。移動や戦闘は8面ダイス2個を振り(または袋からチップ2枚を引き)、好きなほうの数を使う。かつて翔企画やホビージャパンなどからこの手のカードゲームがいろいろ出ており、「懐かしいね」という声も聞かれた。
でもあれから20年、ゲームは確実に進化している。キャラクターの特殊能力だけでなく、勝利条件が3つあることで、展開に多様性が生まれ、誰も脱落しないで楽しめるようになっている。勝利条件は、魔王を倒す、紋章を集める、お金を集めるの3つで、それぞれの特殊能力に応じた戦い方ができる。
私の「亡国のプリンセス」は弱くて貧乏だったが、冒険中に紋章を1枚拾い、さらにイベントでほかの人の手札を奪えるというのが出て、2枚目もゲット。強い武器で魔王を確実に倒せるくらいにまでなったくさのまさん、お金をどんどん集める神尾さんを尻目に、一気に勝利を掴んだ。
スキルという要素もあり、イベントなどで効果を発揮することもある。くさのまさんの「慈愛のシスター」が博打や残虐など、もとのキャラクターとはかけ離れたスキルを身につけていて笑った。
勝敗もさることながら、キャラクターも楽しめるのが日本のゲームの特徴だろう。何人かのイラストレーターによるイラストも見事な『キングダム』は、日本ゲームの伝統を踏襲しながらも、強弱のバランスや展開の多様性も併せ持ったオリジナル作品である。
Kingdom
池田康隆/シュート・ザ・ムーン(2010年)
2〜5人用/10歳以上/45分