ボードゲームに関する11の事実
(General Anzeiger, 11 Fakten über Brettspiele, die Sie kennen solltenの抄訳)
1.人類はいつからボードゲームをしてきたのか?
ボードゲームは紀元前11500年からで、最初は小石や豆を使ったシンプルなものだった。『イライラしないで!』(写真)は100年以上前から遊ばれている。カードゲームは印刷技術の発展とともに登場し、ボードゲームは徐々に大衆的な現象、つまり国民的遊戯に発展していった。
2. ドイツではどれくらいの人がボードゲームをプレイしているか?
世論調査によるとドイツでは55%の人がボードゲームを頻繁に、または時々プレイしている。年齢が若いほど人気が高く、14~19歳では回答者の約73%が、少なくとも時々ボードゲームをプレイすると回答したが、60~69歳では47%に留まる。
3. ボードゲームの売れ行きは?
2023年にはドイツで約7000万個のゲームとパズルが販売され、約9億ユーロの収益をあげた。ドイツには大手のボードゲーム出版社が18あり、その他に小規模出版社も多数。現在、拡張版を除いて、年間約1,000本の新作ゲームがリリースされている。
4. なぜドイツは世界一のゲーム大国とみなされているのか?
18世紀からヨハン・クリストフ・グーツ・ムーツ(Wikipedia)らによってボードゲームの教育的効果が説かれていたこと、印刷技術の発達による安価な生産、新聞や雑誌でボードゲームに関する記事が掲載されたこと、年間ゲーム大賞の設立、『カタン』の登場。
5. ゲームのジャンルにはどんなものがあるか?
対戦型/協力型/半協力型、ユーロゲーム(戦略優先で運の要素が少なく、テーマが表面的)/アメリトラッシュ(テーマやストーリー重視で運の要素が高い)、メカニクスによる分類(エリアコントロール、デッキビルド、レガシー、配置、ロール&ライト、ワーカープレイスメント)、テーマによる分類(中世、ファンタジー、SF、西部劇、犯罪小説)。「ボードゲーム」は総称で、カードゲームやパーティーゲームも含まれる。さらに「ゲゼルシャフツ・シュピール」にはTRPGにも含まれる。
6. ボードゲームの難易度は?
難易度の低い順に、キッズゲーム、パーティーゲーム、ファミリーゲーム、中級者ゲーム、エキスパートゲームという分類が広く受け入れられており、箱に記載されていることが多い。キッズゲームは主に8歳までだが、世代を問わず遊べる。パーティーゲームはルールがシンプルで初心者OK・多人数で遊べるもの。ファミリーゲームはルールがわかりやすいカジュアルプレイヤー向けの定番ゲーム。中級者ゲームは経験者向けの、少し複雑でストーリー重視のアプローチになっていることが多い。エキスパートゲームはさまざまなメカニズムが複雑に絡み合うため、数時間かかることもある。
7. ドイツにはどんな賞があるか?
年間ゲーム大賞:1979年以来、毎年、批評家からなる独立した審査員によって選出されており、世界的な注目を集める。「ボードゲームを文化財として社会に広める」ことにどれだけ適しているかを評価。受賞すると通常の10~20倍(10万~25万セット)の販売数になるという。年間エキスパートゲーム大賞、年間キッズゲーム大賞もあり。
ドイツゲーム賞:メルツ社が主にオンラインで投票を実施。誰でも投票できるため、ボードゲーム界で高い評価を受け、通常はやや複雑な作品が受賞する傾向がある。
アラカルトカードゲーム賞:業界誌『フェアプレイ』が年間最優秀カードゲームに贈る賞。
ドゥアリ:アリババゲームズクラブが毎年、出版社、著者、ゲーム販売業者を含む900名を超える会員で年間最優秀2人用ゲームを選出。
ビープルアワード:ボードゲームブロガー協会が主催するこの賞は、コミュニティのニーズなどに基づいて選出。
8. ゲームの最新情報はどうすれば入手できる?
ボードゲームブログやYouTubeチャンネル、データベースBoardgamegeek.com(BGG)、ドイツ年間ゲーム大賞・エキスパートゲーム大賞・キッズゲーム大賞のノミネートリスト・推薦リスト、エッセン・シュピールなどのボードゲームイベントで新作を試してみること。
9. 近年最も成功したゲームは何?
『モノポリー』:114カ国、47言語で発売。10億人以上がプレイしたといわれている。ただし運要素が高く、プレイ時間も長いため、ボードゲーム界ではあまり評価されていない。ターゲット層はファミリー。
『イライラしないで』:2025年に111周年を迎え、これまでに1億本以上が販売されている。
『カタン』:拡張も含めて25年以上で4500万本以上を売り上げ、40以上の言語に翻訳され、70カ国以上で発売されている。
『脱出:ザ・ゲーム』:2016年の発売以来、世界中で2500万本以上を売り上げており、30カ国以上で発売されている。
10. ゲームデザイナーは職業として生計を立てることができるか?
フルタイムのゲームデザイナーは多くない。最も有名なのは、故クラウス・トイバー(『カタン』)とライナー・クニツィア(『エルドラドを探して』『マイシティ』)。この仕事で生計を立てるには、ゲームが非常に多く売れる必要がある。ゲームデザイナーギルド協会の推定によると、ドイツの専業ゲームデザイナーは約25~30人。他にも編集者、イラストレーター、出版社、卸売業者、専門小売業者、YouTuberやブロガー(登録者数が多い)を職業にしている人も。
11. ゲームの記録にはどのようなものがあるか?
「カタンの同時プレイ人数」の世界記録は、2017年にロッテルダムにて1096人。『イライラしないで』は2023年7月には、バイエルン州アンベルクで2117人がプレイした。それまでの記録は2021年に、テューリンゲン州ヴァイダで記録された2009人。
ケーキトッピング(Topp die Torte!)
目測で色合わせ
目測で色が合うようにケーキを重ねていくキッズゲーム。ヴァルシュのキッズゲームで、今年のドイツ年間キッズゲーム大賞に選ばれた。タイトルの”Topp”は動詞toppenの命令形で「乗せよう」という意味。合うか合わないか微妙なタイルを選ぶのが大人でも悩ましい。
各自、ケーキの一番下の段を置いてスタート。それぞれ2枚のケーキタイルから1枚を選んで配置する。実際において選ぶことはできず、離した状態で目測で選ぶのがポイント。余った1枚はそれぞれ隣のプレイヤーに渡し、新たに1枚を引いて2枚からどちらかを選ぶ。
選んだケーキタイルを配置したら、下の段と地層の色が合ったところから砂糖トークンや得点を獲得する。獲得した砂糖トークンは自分のボードの瓶に入れ、3~5色揃ったらメダルと交換できる。このメダルが得点となり、規定枚数のケーキトークンを置いた後、金の砂糖トークン(ジョーカー)で最後のメダルをもらって、ゲーム中の得点と合わせて勝敗を決める。
色が合っている限り、ずっと下の段からも砂糖トークンが手に入るが、同じ色ばかり集めていては効率が悪い。何の色が足りないか考えて、その色が合うように配置したいところだが、そう都合よくいいタイルが周ってくるとは限らない。「うわ、どれも合わねー!」という悲鳴があちこちで上がる。
わずか1mmの差で決まる場面もあり、大人だけでも遊びごたえはある。しかしコンポーネントが多いことに加え、色が合っているかどうか、いくつ砂糖トークンがもらえるかの判定は結構難しく、子どもだけで遊ぶときは大人がGMをやったほうがよさそう。最後に優勝トロフィーの花火タイルを最上段に置いてあげるところまで含めて、テキ屋のおじさんのような楽しさがある。
Topp die Torte!
ゲームデザイン:W.ヴァルシュ/イラスト:M.ヴェルドゥ
シュミットシュピーレ(2024年)
2~4人用/6歳以上/20分