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カンバン方式でロボット製造『ボットファクトリー』日本語版、3月22日発売

Botfactoryjふるりん本舗は3月22日、『ボットファクトリー(Bot Factory)』日本語版を発売する。ゲームデザイン:V.ラセルダ&J.Q.マーティンズ、イラスト:P.ソト、1~4人用、14歳以上、30~60分、10,450円(税込)。

ラセルダの重量級ゲーム『カンバン/カンバンEV』のスピンオフ作品として昨年イーグル・グリフォンゲームズ(アメリカ)から発売された。おもちゃ工場で効率性を追求しつつ部品を集めてロボットを製造する。

手番順も決まるワーカープレイスメントで設計図とそれに合わせた部品を集め、ボットを組み立てて、需要目標を達成する。最後まで使い切れないと失点になってしまうので、効率性と計画性が求められるが、『カンバンEV』からマネージャーのサンドラが登場し、さまざまな部署を移動してプレイヤーのスペースを邪魔してくる。

『カンバンEV』からプレイ時間を大幅に短縮。ロボットの部品を乗せたホイールを回すギミックが注目のミドルクラス作品に仕上がっている。

ふるりん本舗:ボットファクトリー日本語版

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軽量級ボードゲームとカジュアルプレイヤーの増加について

BSテレ東の日経モーニングプラスで、「交流深めるボードゲーム タイパで平均単価下落」という放送があった。ボードゲームの商品が値上がりしているのに平均購入単価が下がっているのは、タイパを重視する傾向で軽量級ボードゲームが増加したからだという分析である。

番組によると平均購入単価は駿河屋調べで2022年は2925円。2018年と比べるとおよそ1割下がっている。一方、ボードゲームの市場規模は矢野経済研究所調べで2022年度112億円で、2018年度から6%の増加。この背景にあるのが軽量級ボードゲームで、ルールが簡単で、プレイ時間が短く(5~10分程度)、低価格帯という特徴が、タイムパフォーマンスを重視する若い世代の需要にマッチしていると分析している。

その後、ジェリージェリーカフェ池袋2号店での取材となり、野崎雄斗店長が「初めて来るお客様とか、ボードゲームをたまにやるお客様とかライト層の人が増えているので、短時間のゲームとか、コミュニケーションゲームみたいなゲームが増えている」とコメント。全体的な平均価格が下がっているかという質問に対しては、「いわゆる制作費的な部分でいうと上がっているので、ボードゲームのお値段が上がっていることはあるんですけど、軽量級ゲームが増えているという点では、安くなってたりとかも」と回答している。

ボードゲームが値上がりしているのに平均購入単価が下がっている要因は、軽量級ボードゲームと、ライト層(カジュアルプレイヤー)の増加にあることは間違いないだろう。もしかしたら重量級を好むヘビーゲーマーが買う量を減らしているかもしれないが、それだけならば平均単価だけでなく市場規模も減少するはずだ。また、ヘビーゲーマーが(老化などにより)軽量級ボードゲームを買うようになったとは考えにくい。

ただし、カジュアルプレイヤーは若い世代に多いとしても、それほどタイムパフォーマンス重視で軽量級ボードゲームが選ばれているのかは疑問である。例えば小さいお子さんのいる家庭でボードゲームを楽しんでいるのは、それくらいの時間が子どもが飽きないで遊ぶのにちょうどよいとか、忙しい子育てのスキマ時間にぴったり収まるからであって、短時間でそれに見合った満足度を得たいという意識はあまりないだろう。

ゲームマーケットで発表される新作のメインは軽量級ゲームであり、玉石混交、有象無象の中から評価されたごく一部だけが一般発売されてマスマーケットに投入される。『はぁって言うゲーム』『カタカナーシ』『たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ』『音速飯店』などなど、こうした競争を勝ち抜いた軽量級ゲームがSNSで衆目を集め、タイムパフォーマンスを重視するZ世代だけでなく、これまでボードゲームになじみがなかったファミリー、カップル、キッズなど多様なカジュアル層の需要を喚起し、浸透していったのではないだろうか。

実は90年代(平成初期)にも、若い世代向けにパーティ系のボードゲーム(カードゲーム)が続々発売されるというムーブメントがあった。当時遊んだ人たちのほとんどは一過性のものだったが、稀にその中からユーロゲームに接続し、今日まで長く遊んでいる人もいる。今日の軽量級ブームからも、同様にボードゲームを趣味とする人が出てくることを期待したい。

というわけでタイパ志向で軽量級ゲームが増えたのではなく、軽量級ゲームの充実が、カジュアルプレイヤーを呼び込んだというのが私の見方である。タイパを重視する傾向はむしろ、数時間のゲーム会で最大限の満足度を得ようとするヘビーゲーマーのほうが著しいともいえる。

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