隠密作戦(Covert Action)
みんなで作るスパイ物語
2チーム(3チーム)に分かれて、相手の親玉を倒す正体隠蔽ゲーム。誰の言うことを信じたらいいのか?
1チームには4つの職業がある。チームの親玉であり、撃つことができるスナイパー。スナイパー不在のときに代わりになるクリーナー、スナイパーに見せかけて自分を撃たせるボディーガード、そして相手チームの勝利を誘う二重スパイ。これらのカード2チーム分を混ぜて全員に1枚ずつ配る。各チーム1枚だけ、配られないで伏せておくカードがあるところがポイントだ。
スナイパー・クリーナー・ボディーガードは、相手チームのスナイパー(いなければクリーナー)または自分チームの二重スパイを倒すのが目的。でもスナイパーがいるのにクリーナーが撃つと負けになる。二重スパイは相手チームが勝つと勝ち。思惑が絡み合って、疑心暗鬼になる。
誰がどのチームに属するかは、カードの裏面の色で分かる。だがどの職業かは自分の分しか分からない。伏せてあるカードが何かは、誰も分からない。そんな暗中模索でゲームがスタートする。手番はなく、同じ色を配られた人同士でフリートーク。
「誰が撃てるんですか?」「私は撃てません」「私も撃てません」「私も」「じゃあスナイパーはいないということですね。それならクリーナーは?」「私はクリーナーじゃありません」「私も」「私も」「スナイパーもクリーナーもいないなんてことはないですよ」「私は本当に撃てないんです!」「さてはあなた、二重スパイでしょ」「私はボディーガードです」「怪しいな」
全くヒントがないように見えるが、言葉の端々や表情から何となく分かってくるものである。なので、とにかく喋らないとゲームにならない。相手チームの会話も耳に入れておく。
ラウンドは突然終了する。誰かが誰かを指差して「バン!」といったら職業オープン。どのチームが勝ったのかを調べ、勝ったチームのプレイヤーには原潜の設計図カードが与えられる。4種類ある設計図カードを全部揃えた人の勝ち。今回はのらりくらりと矢面に立たないようにした鴉さんが勝った。
ゲームが始まったときは、あまりに手がかりがなくて途方に暮れたが、みんながあることないこと喋り始めて分かってきた。このゲームは推理ゲームだと思ったら何もできない。みんなで1つのストーリーを作るゲームなのである。
そのストーリーが疑わしいと思ったら異議を申し立てて修正し、正しくなくとも自分に都合がいいなら賛同する。ラウンド終了後には、そのストーリーが意外に合っていたとか、全くのデタラメだったとか分かってまたひと盛り上がりする。そこで誰が正直で誰が嘘つきだったかという情報は、次のラウンドにも使えるだろう。性格を読むゲームでもある。
Covert Action
C.アッペル、H.マンゴルド、J.ヴェッター/R&Rゲームズ(2007年)
4〜18人用/10歳以上/30分
プレイスペース広島:隠密作戦
ボードゲームおっぱい:隠密作戦
ル・アーブル日本語版発売
ホビージャパンは3月20日、『ル・アーブル』日本語版を発売した。『ドミニオン』や『パンデミック』と並んで2009年度の世界の人気を集めたドイツのボードゲームが、ようやく日本語で遊べるようになる。1〜5人用、12歳以上、100〜200分、6930円。
『ル・アーブル』はフランスで2番目に大きい港町を舞台に、港に届く様々な商品を加工して交易し、資産を増やすゲーム。作者は『アグリコラ』のU.ローゼンベルク。食料の確保がカギで、農産物を入手して従業員を扶養しなければならない。たくさんの建物が出てくるタイミングや組み合わせ、さらに毎回少しずつ出てくる「特別の建物」の使い方によって、毎回展開が毎回異なるのも、このゲームの魅力となっている。
ドイツゲームの王道であるリソースマネージメントゲームでありながら、『アグリコラ』譲りのカードの多様性によって、遊ぶたびに展開が変わるのが特徴で、建物の組み合わせによって臨機応変な戦術が求められる。
人気は上々で、国際ゲーマーズ賞で大賞、ドイツゲーム賞2位(1位は『ドミニオン』)、フランス・トリックトラック賞2位(1位は『スモールワールド』)などを授賞、先日発表された日本ボードゲーム大賞でも、日本語版が未発売だったにも関わらず、4位と健闘している。ボードゲームギークのランキングは現在6位。
ドイツ語版が発売されたのは2008年(『アグリコラ』の翌年)だが、一緒に印刷される他国語版の調整がつかなかったため、日本語版の発売までに1年半ほどかかった。待ちに待った発売である。『アグリコラ』ほど言語依存はないが、ルールブックはもちろんのこと、建物名、資材名、カードの説明文が日本語で読めるのは嬉しい。『ゲームリンク』では攻略記事も連載されているから、遊びこんだら読んでみよう。
・ホビージャパン:ル・アーブル完全日本語版