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エデンの園ゲーム

『週刊ヤングジャンプ』で連載されたマンガ「ライアーゲーム」が、テレビドラマ化を経て、今年3月に映画化された。主演・戸田恵梨香、松田翔太。
多額の賞金をかけた壮絶なブラフゲームが見ものの同作品だが、映画では「エデンの園ゲーム」というルールで賞金を奪い合う。
11人のプレイヤーは、1人ずつ投票室に入り、ゴールド、シルバー、真実の赤リンゴのいずれかに自分の焼印をつけて投票する。投票室に入る順番は自由で、投票室に入っても投票せず、制限時間内に後から再び投票室に入って投票することもできる。誰が何に投票したかは公表されない。
全員が真実の赤リンゴを投票すれば全員プラス1億円。でも誰か1人でもゴールドかシルバーに投票すれば、その人は1億円、真実の赤リンゴを入れた人はマイナス1億円。また、真実の赤リンゴを投票した人が1人だけだったら、その人はマイナス10億円で名前を晒されてしまう。真実の赤リンゴがいなかったら、ゴールドとシルバーで多数派だったほうにプラス1億円、少数派はマイナス1億円。ただし全員が同じゴールドかシルバーだったら全員マイナス1億円となってしまう。
これを13回繰り返し、賞金がもっとも多いプレイヤーには賞金50億円が与えられる。途中で5億円以上のマイナスになると脱落するが、誰かが負債を肩代わりしてくれれば復帰できる。
基本は、ゲーム理論でよく例になる囚人のジレンマのバリアントである。互いに信じ合って真実の赤リンゴを投票すればみんなが大金を手に入れることができるわけだが……協力と裏切り、トリックと推理、どんでん返し。密室の中で繰り広げられるドラマに手に汗握る。私は面白くて3回見た。2回目は嘘やトリックを検証するため、3回目はプレイヤーの表情を見るため。
ブラフゲームの中では交渉と裏切りのゲーム『イントリーゲ』が近いかもしれない。このルールでゲームが製品化されても面白いのではないかと思う(第3者なしに、投票をチェックできるアナログなシステムがあれば……)。DVDがまもなく発売なのでゲーム愛好者でまだ見ていない方はどうぞ。

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スクリプト(Skript)

単語をつづりと意味の両方から推理

ほかのプレイヤーが考えた単語を、ヒントをもとに当てるワードゲーム。1982年のドイツ年間ゲーム大賞で美術賞を受賞したが、美しいイラストなどはなく、辞書をコラージュした前衛的なデザインである。
予め文字数を決めておき、各プレイヤーはその文字数で好きな単語を1つ考える。辞書(今回は高校のとき買った英英辞典を使用)でその単語を引き、説明をメモしたらスタート。
場に並んだカードを2枚めくり、2枚とも同じなら両方、違うなら片方を手札にする。ストップが出たら何ももらえない。
それから同じカード2枚ペアで出し、ほかの人に質問する。「skr」カードは単語のはじめの3文字、「ipt」カードは残りの文字を聞ける。聞かれた相手は、アルファベットボードにコマを置いて答えるので、順番までは分からない。辞書カードでは、予めメモしていた単語の説明の中から1単語を聞ける。しおりカードは、辞書にカードをはさんで、その両側のページに当てるべき単語が含まれているかを聞く。
次に辞書を自由に見て考えるフェイズがある。その間となりの人がひたすらダイスを振り、赤い目が2つ揃うまで見ることができる。4種類のカードのヒントと辞書をもとに、相手の単語を絞り込んでいく。全員の単語を最初に当てた人が勝利。
8文字という設定で妻と対戦。「skr」カードでf,o,rの3文字を聞き、辞書カードでedgeという説明を聞くが全くピンと来ない。その間に「skr」と「ipt」の両方を使われ、当てられてしまった。私の答えはphysical、妻の答えはfrontier。
3人以上で遊ぶ場合は、マイボードに隠して答えを教えるので、より断片的なヒントで答えを出さなければならない。しかも間違うと即脱落というシビアなルール。英語で遊ぶことができるが、つづりと意味の両方知っている必要があるので、日本人には厳しいゲームだと思った。
Skript
H.サラ/ジャンボシュピーレ(1981年)
2〜4人用/10歳以上/40分
絶版・入手難