ウィキッド・ラビリンス(Wicked Labyrinth)
オールペイの緊張感
「魂の欠片」を集めて神託カードを達成するオークションゲーム。タクティカルゲームズがゲームマーケット2021秋に発表した新作で、プッシュ・ユア・ラック&セットコレクションゲーム『ウィキッド・フォレスト』に続いて劇団イヌカレー氏を起用した。オークションに使う「探索駒」の造形と相まって、独特な雰囲気を醸し出している。
中央に4~6枚の回廊カードが並べられ、このラウンドで手に入る「魂の欠片」の色がわかる。1枚ずつオークションを行い、各オークションで2位までが指定された「魂の欠片」を獲得できる。
オークションの形式は「封印入札&オールペイ」、つまり落札できなくても支払わなければいけない握り競りである。4~6回のオークションの配分を考え、他のプレイヤーがほしい色を読みつつ、競合しそうなときはたくさん握り、ほしくないときは全く握らないといったメリハリをつけ、ときには裏をかいて握る数を増減しよう。
獲得する数を増やす「魂の気配駒」と、逆に権利を得た人に失点を与える「魔女の気配駒」がオークションに変化を与える。握った人ではなく、競り落とした人が利害を被るところがポイントで、自分が取りたかったものを取られたり、押し付けたかったものを押し付けられたりもする。
こうして獲得した「魂の欠片」はプレイヤーボードに並べられ、同じ色を2個集めると1つ上の位に上げることができる。こうして指定された魂の位・色を揃えると神託カードの達成となり、魂の欠片をさらに上げたり、得点化したりできる。4ラウンドで「魂の欠片」や達成した神託カードの得点を合計して勝敗を決める。
オールペイオークションでは事故(たくさん握ったのに1個差で負けて何も得られず、その後のオークションにも参加できない)が起こりがちだが、先行するプレイヤーには「魔女の気配」を押し付けることでバランスが取られ、いい勝負になるようだ。特に最終ラウンドは是が非でも取りたいオークションがはっきりしているため、「魔女の気配」を食らっても取りに行くか、裏をかいて場をかき乱すかとの選択がエキサイティングである。
ウィキッド・ラビリンス
ゲームデザイン:アダチジュン/イラスト&アートワーク:劇団イヌカレー・泥犬
タクティカルゲームズ(2021年)
3~5人用/14歳以上/30~40分
豆と共にあれ(Gone with the Beans)
超紙ペンのリソースコントロール
紙ペンゲーム(ロール&ライトゲーム、フリップ&ライトゲーム)は今、国内外で大きなトレンドとなっており、数多くの作品が発売されている。『クウィックス』『ガンツ・シェーン・クレバー』『カートグラファー』『Welcome To…』などがさまざまなゲーム賞を受賞し、その後を追って新しい次元が開かれている。
そんな中、豆をテーマにしたゲームを発表し続けているHOY GAMESが、ゲームマーケット2021秋に発表したフリップ&ライトゲームである。紙ペンゲームは地味で見栄えのしないシートになりがちなところを、フルカラーで情報がつまったシートに仕上げ、プレイ時間も長め。さらに4種類のシートを同梱して拡張性も持たせている。当サイトで行った事前アンケート「注目の新作・買おうとしている新作」では一番人気で、新作評価アンケートでも4位につけた。
はじめに自分の国をランダムに決める。統治者は6つの国をラウンドごとに巡回し、統治者がいるときに建設するとコストが安い。また国によってちょっとした特殊能力が備わっている。統治者のスタート地点もランダムに決めてスタート。
ゲームは15ラウンドで、毎ラウンドカードをめくって、指定された建物からリソースの収入がある。コストを支払って新しい建物を作ることで収入が増えていく仕組みだ。リソースはお金、豆、労働者、牧草の4種類があり、建物によって必要なリソースの組み合わせが異なる。
建設の他にも、牧草を支払ってリソースを得たり、建物が一定件数でマイルストーンボーナスを得たりといったアクションがあり、さらに特定のアクションに付属する発展ボーナス、さらに発展ボーナスをつなげてもらえる発展手形ボーナスがあり、一筋縄では行かない。
基本的には、各国を巡回している統治者が自分の国から遠くにいるときにこつこつリソースを貯めて、近づいてきたところで建設する。リソースの組み合わせがうまくいったり、さまざまなボーナスが入ったりして、複数ラウンドにわたって建設できると気持ちいい。
シートBでは新しいリソース「マメハルコン」、シートCでは新しい建築物「橋」、シートDでは新しいセットコレクション「契約」が加わり、ほかのアクションの戦略も変わる。
何人でも遊べる紙ペンゲームの特徴でもあるが、他のプレイヤーとのインタラクションはまったくない。邪魔されずに計画的・集中的に遊べるが(夢中になって時間を忘れるほどである)、一抹の寂しさを覚えるときは、ゲーム中に他プレイヤーのシートを見て称え合ってもいいだろう。
豆と共にあれ
ゲームデザイン・矢沢賢太郎/アートワーク・長谷川登鯉
HOY GAMES(2021年)
1~99人用/12歳以上/45~60分