ロボットマスター(Robot Master)
5×5列のクニツィアジレンマ
今年はドイツゲーム賞に全く入らなかったクニツィア。すでに4年前のインタビューで「全ての人々に合うものを作ることは決してできません。」と述べているが、マニアや批評家に背を向けてでも一般の愛好者を増やす意志は現在も貫かれているようだ。
フランスのカクテルゲームズから発売されたこのカードゲームも、きわめてシンプルに作られており、一般の愛好者をターゲットにしていることが分かる。2人または2チームで、カードを5×5に並べ、縦の列VS横の列で得点を競う。それだけなのに(それだけだから)、クニツィアジレンマがたっぷり味わえる。
自分の番には手札から1枚、場に置く。前のカードに隣接していればどこに置いてもよい。そして手札は補充しない。だんだん選択肢が減ってきて悩ましくなるという寸法だ。25枚全部並んだら得点計算。縦横別に1列ずつ計算する。
1列5枚のうち、同じ数字が2枚あれば数字×10倍、3枚あれば数字に関わらず100点。それ以外は額面どおりの点数である。自分の列は揃うように、そして同時に相手の列は揃わないように置く難しさ。3枚揃えないと全く得点にならない0点のカードが攻防の鍵になるだろう。
2チームの場合は対面で座り、持ち札について相談してはいけない。置き方によって以心伝心、でもどんどんカードが少なくなってきて、泣く泣く利敵行為も。勝負の行方は、最後の1枚まで分からない。
Robot Master
R.クニツィア/カクテルゲームズ(2009)
2〜4人用/15歳以上
アルビオン(Albion)
一手でも多く節約して
アルビオンとはイギリスの島々の古名である。ピクト人を押しのけて、ローマ帝国が入植を進める。奥にいくほど攻めにくくなる地形にどう立ち向かうか。作者ヴレーデは『カルカソンヌ』以外ヒット作に恵まれていない。アミーゴでは『ポンペイ滅亡』『ドラゴンライダー』『ヴェネチア』に続く第4作。
ゲームの目標は「開拓地」を3つ作り、レベルを全て最大の4まで上げること。そのうち1つは奥のエリアに作らなければならない。レベルを上げるためには、資源と防御力の両方が必要だ。
まず資源は魚・木・石・金の4種類があり、それぞれ島の中にある生産エリアの「工場」から手に入る。生産するには、手番を1回休まなければならない。最初は魚と木が1つずつしか取れないが、工場のレベルを上げれば1回でたくさん取れるようになる。レベル1の建物を建てるには資源どれでも1種類1個、レベル2なら2種類1個ずつ、レベル3なら3種類1個ずつと増えていき、ゲームの目標であるレベル4に上げるには、全種類の資源を取らなければならない。
早上がり競争なので、1手番でどれだけ手を進められるかがカギ。そのためには工場のレベルアップが重要になるが、工場にばかり力を入れているとほかの建物の建設が遅れる。遅れると困るのは、必要な防御力が後ほど上がってしまうからだ。
建物を建てるとき、ピクト人チップを1枚めくる。赤いピクト人だったら、ローマ人の植民に敵対する勢力が増えたことになり、防御力が足りないと建物をつぶされてしまう。防御力を上げるには、「城壁」を作るか、開拓地のレベルを上げたときにもらえる軍隊を配備しなければならない。赤いピクト人は徐々に増えていき、建物はどんどん建てにくくなる。
さらに建物を建てたりレベルを上げたりするには、開拓者をそのエリアまで移動しなければならない。奥に進むほど建てにくくなるのは、防御力だけでなく移動がかかるという理由もある。そこでレベルを上げるたびに移動力も上がり、最後にはワープもできるようになる「砦」という建物もある。
序盤はほとんど裸一貫で始めるので、ゲームが動くまでしばらくかかる。ところがピクト人が全てめくられると、運の要素はもうない。終盤になると、あと何手で上がれるかが数えられるほど。見通しがよいため、考えることも多い。こうするのが最善か、それとも妙手はないか? 息が詰まるような生産拡大ゲームである。
Albion
K.-J.ヴレーデ/アミーゴ(2009)
2〜4人用/12歳以上/75分