既婚ボードゲーム愛好者
読売新聞のフォーラム「発言小町」に、奥さんからボードゲームという趣味を理解してもらえない男性の書き込みがあった。
私は月1ペースで友人と集まり、日中ボードゲームを遊んだ後で、それを肴に宴会をするのを楽しみにしているのですが、いまいち妻の受けがよくありません。妻いわく「麻雀ならともかく、大の大人が集まってただゲームする状況が理解できない」とのことです。
相当レスがついているが、男性女性問わずほとんど賛意ばかりである。もっとも、ボードゲーム愛好者が書き込んでいるようなので、一般的に理解してもらえるかはこれだけで分からないだろう。
知り合いの既婚ボードゲーム愛好者では、奥さんもボードゲームを好きだという人は珍しく、たいていは不興を買っているか、よくて(悪くて?)無関心といったところだ。結婚を機に、ボードゲームから遠ざかるという人もいる(そして子供をダシにして少しずつ復活する)。
その原因は、ボードゲームという趣味がマイナーということよりも、疎外感(自宅なのに奥さんにかまわないで仲間と盛り上がっている)や荷物の多さ(ボードゲームは本当にかさばる)によることが多いようだ。
反対の立場で考えてみよう。休日に、奥さんの友達がやってきて延々おしゃべりで盛り上がっている。おしゃべりに入ろうとしても、話題にまるで付いていけないのですごすごと退散。笑い声が聞こえてくるのをよそに、自室でネットをしたり、子供の世話をしたり。それが夜中まで続くとしたら、耐えられるだろうか。
また、奥さんが通販に凝っていて洋服やらバッグやらどんどん品物が届く。収納スペースはもういっぱいなのに、またダンボールが届いた。おいおい、前に買ったのもろくに使ってないじゃないか。どれか処分してから買えよ……なんてことを言いたくならないだろうか(おしゃべりとか洋服とかバッグとか、ステレオタイプですみません)。
自分の不快を直接表明すれば角が立つ。そんなとき、趣味がマイナーであるとか、オタクくさいとか、仕事の役に立たないとかいうことが格好の攻撃材料になる。「大の大人が集まってただゲームする状況が理解できない」という奥さんの発言の裏には、そんな感情があるような気がしてならない。
まとめ:
1.自宅ゲーム会もほどほどに。近所の公民館を借りるという手もある。
2.奥さんの趣味にも協力を。趣味は寝ることや食べることくらいしかないという人には、精一杯の自由時間を。
3.ゲームに買いすぎには気をつけよう。
私の場合、自宅ゲーム会は月1〜2回程度で、前日や前の週に家族みんなでお出かけしてガス抜き(ゲーム会のためにお出かけをしているわけではないけれど)。ゲーム棚は5つで、入りきらなかった分は放出する約束。とはいえたまに、妻と遊ぶこともある(この頃はワードゲームばかり)。
・読売新聞発言小町:趣味がボードゲームって…
ゲームリンク
私にとって一番面白かった記事は、「新作ボードゲーム情報」(ボードウォーク提供、20タイトル)と、「ゲームレビュー」(編集部ほか、10タイトル)である。連載では、「植木屋は語らない」(平田強真氏)がよかった。
百聞は一プレイに如かず、実際に遊べれば一番よいのだろうが、残念ながら遊ぶ時間も、一緒に遊んでくれる仲間も、お金も、置く場所も限られている。なのでレビューを読んで、未知のゲームの概要が分かるだけでも嬉しい。
ネットのほうが情報が早いから、紙媒体にできることはないという意見もある。しかしそうではない。ネットで読める新作ゲームのレビューやプレイ感想は、意外と少ないのである。ましてやユーザーサイドの生の声となると、今やミクシィぐらいでしか聞けないといっても過言ではない。
メビウス系ならば、最低でも頒布会員分以上は入るので、ゲーム内容から評判まである程度はつかめる。しかしホビージャパン、バネスト、アークライトとなると、メーカーがマイナーだったり、入荷数が少なかったりして、そんなゲームが入っていたことすら知らないままでいることもある。
その点ボードウォークは各系統を揃えているので、新作ゲーム情報も満遍なく紹介されていてよい。提供をボードウォークに選んだのは編集部の慧眼であった。「このゲーム、タイトルをよく聞くけどこんな内容だったのか」と感心しきり。編集部ほかのレビュー記事のラインナップも、名前は知られているけれど内容はよく知られていないというものが紹介されていて熱中して読めた。
「植木屋は語らない」は、上記とは趣を異にするが、主旨が「あまり多くの人に知られることも、顧みられることもないないようなゲームをせめて書き残す」とあるように、未知のゲームの世界を開いてくれる。このように1つのゲームをじっくり紹介してもらえることは、ネットではまずできない(あっても、ネットでは長いと最初のほうしか読まない)。
既知のゲームを掘り下げる攻略記事や、ゲームの外側にあるものに取り組む評論記事もいいが、未知のゲームの世界を開いてくれるレビューはボードゲームメディアの王道にちがいないし、紙媒体でも「いまさら…」などと思わずに、これからもいい記事を書いてほしい。