アグリコラ―泥沼からの出発(Agricola: Die Moorbauern)
ゲーム内容はこちら。拡張の入れ方は、進歩カードを入れないレベル1と、進歩カードを入れたレベル2、さらに基本セットから職業を加えるレベル3があるが、新しい要素をクローズアップして楽しむにはレベル2がお薦めである。
ボード上に最初からある「泥地タイル」と「森林タイル」、得点の高い新しい家畜「馬」、収穫のたびに部屋の暖房に必要な「燃料」、そしてこれらを処理するための「特別アクションカード」が新しい要素だが、特に「馬」と「特別アクションカード」が焦点になる。
「馬」は1頭につき1点で、点数の上限がないという破格の家畜である(ほかの家畜は最高で4点)。おまけに家族コマを使わず入手できるため、コンスタントに増やすことができる。だが、馬を手に入れるには食料1を支払い、馬を食べるには上級の大きい進歩カードが必要になる上、食料2にしかならない。馬に力を入れれば入れるほど慢性の食糧不足が生じるようになっており、どうやって補うかがカギだ。今回、馬に特化してほかの要素を抜いたストーンRさんは得点が伸び悩んだ。
馬に特化したストーンRさんの牧場。マックスの16匹で16点。
「特別アクションカード」は、馬を手に入れたり、泥地タイルを燃料にしたり、森林タイルを畑や木材にしたり、燃料を使って進歩カードを出したりするが、家族コマは必要なく、1枚につき先着2人まで使えるので、大いに活用したいところである。ところが、通常のアクションを1回パスすることになるので、そちらでは後手に回ることになる。こうしたことから、アクション選択の順番をよく考えなければならなくなった。ほかの人も欲しがっていると思ったら、優先的に取っておきたい。選択肢が増えた分、考えることも増えている。
その結果、5人プレイでインストを含まず4時間。プレイヤー人数×45分で、『アグリコラ』以上の長時間ゲームとなった。もっとも、進歩カードの構成に沿って戦略を練る要素は健在で、全くだれないどころか、非常に楽しく熱中した時間を送ることができる。
Agricola: Die Moorbauern
U.ローゼンベルク/ルックアウトゲームズ
1〜5人用/12歳以上/プレイヤー人数×30〜45分
ボーネディクト(Bohnedikt)
神の奇跡で豆が
ルックアウトゲームズが毎年エッセンで発表している『ボーナンザ』の拡張シリーズも、これで10作目を数える。タイトルはローマ教皇でドイツ出身のベネディクト16世のパロディ。
「教皇豆」と「神の畑」が今回の主軸。通常ルールでは1つの畑には1種類の豆しか植えられなかったのが、途中で種類を変えることができるようになり、高収入をめざす。収穫のときは、一番最後に植えたカードの価格表で収入を得る。20豆をたくさん植えた後に6豆に変えれば、あっという間に最高値で売れる。
「教皇豆」はジョーカーだが、「ビシュホフ」(ビショップとホフをもじったもの)と呼ばれる左側の畑にしか植えられない。それ自体では価値がないが、どの豆の上にでも植えられる上に、その上には別の種類の豆を植えてよいので、価値を上げるのにもってこいだ。
教皇豆にはそれぞれ交換の制限が書かれており、山札からめくられたときはその指示に従う。半分が「補充してから交換できる」などの有利なもの、もう半分が「1対1でしか交換できない」など不利なもので地味に効いている。
「神の畑」と呼ばれる右側の畑には、犠牲豆カードに指示されたカードを集めて植える。犠牲豆カードは手札に1枚入っており、2種類の豆が指示されている。この2種類を、手札や交換で手に入れると、すぐに神の畑に好きな順番で植えることができる。それまで植えていた豆と同じ種類である必要はないから、これも価値を上げるのに役立つ。
序盤から3番目の畑を買ったふうかさんとkarokuさん。でもお互い豆がかぶって活用できない。ストーンRさんと私はその間に教皇豆と積極的な交換で大儲け。だが、終盤に3番目の畑が急速に動き出したkarokuさんが大量収入で逆転1位。
そこそこ集まった18や20の豆が、途中から6や8の豆に切り替えられるのは神の奇跡を描いた物語のようで面白い。
Bohnedikt
U.ローゼンベルク/ルックアウトゲームズ(2009)
2〜5人用/10歳以上/45〜60分