海賊船長(Captain Pirate)
探検のパートナーを探して
好きな相手とチームを組んで探検するカードゲーム。フランスのゲームデザイナー、B.フェデュッティの新作で、アークライトから日本語版が発売された『海賊免許』とよく似たテーマだが、ゲームは全く別物で、こちらが正真正銘の海賊である。
自分の番には、山札から1枚引く、手札を誰かに見せる、手札を誰かから見せてもらう、誰かと手札を交換するの4アクションから2アクションを行う。目標は、カードを集めることと、適切なパートナーを探すこと。探検にはパートナーが必要で、しかも2人で同じ色のカードを5枚出さなければならない。
探検することにしたら、手番のアクションは行わないで、誰か1人を指名し、「○色を○枚出してほしい」と頼む。指定した色のカードを、自分と相手合わせて5枚出せれば探検成功。協力したくても、カードが足りなければ出せないから、パートナー探しで集めた情報がものをいう。失敗すると、用意しておいた自分のカードを捨てなければならず、大きな痛手だ。
成功すると、お宝を山分けするのだが、その分け方が面白い。自分が出したカードの中から1枚ずつ選び、まず船長(探検を持ちかけたほう)がそのうち好きなほうを取り、パートナーが残りを取る。中には得点0のハズレもあって、それを取らせようとして出したら、自分が取る羽目になることもある。その結果、お互いに高くも低くもない得点のカードを出して、自分が出したものを取り合うという囚人のジレンマのような事態が発生する。お互い相手を信じればいいのに。
規定回数探検が行われたらゲーム終了。カードを溜め込んでいると、探検回数が稼げないし、慌てて探検に出ると失敗しやすい。情報戦がカギで、自分が見たり見せたりしたものだけでなく、ほかのプレイヤー同士で見せ合っているときの表情も読みたい。
手札によってたえずパートナーが変わるのが新鮮である。その中で、自分の手札をどんどん売り込むか、ぴったり合う相手を探すかという選択に性格が出て面白い。交換で同じ色を出し合ってしまったり、手札が少ないときに足元を見られて高得点のカードを取られたり、自信満々で申し込んだパートナーのカードが足りず探検が失敗したりと、笑いどころ満載。7人まで遊べるが、人数が少なければ濃い情報戦が楽しめるだろう。
Captain Pirate
B.フェデュッティ、G.ブーキン/カクテルゲームズ(2009)
4〜7人用/8歳以上/30分
海賊免許(Letter of Marque)
その船は武装船?
財宝を積んだ船を相手に奪われないように運ぶゲーム。フランスのゲームデザイナー、B.フェデュッティの新作で、アークライトが日本語版を同時発売した。海賊と私掠船は全く別物らしいが、ゲーム自体にはあまり関係がない。5枚の財宝カードと、それを守る5隻の船コマ、そして攻撃に使う3枚の大砲カードだけで遊ぶ、プリミティブなほどにシンプルなブラフゲームである。言語依存も全くない。
自分の手番にできることは、新しい財宝カードを出すか、前に出していた財宝カードを回収するか、ほかの人の財宝カードを攻撃するかの3択。財宝カードの上には船コマがのっていて、攻撃されたらコマの底を見る。大砲マークがついていたら攻撃失敗で大砲カードは相手の得点になり、大砲マークがついていなかったら攻撃成功で財宝カードを奪える。
財宝カードは3〜7点のものがあり、高いものほど狙われやすいから大砲マークのある船を置く。でも、みんながそう思って警戒するから裏をかいて高いものはノーマークにし、少し低めの財宝をガードする。しかしみんなは裏をかいて少し低めの財宝を狙うかもしれないから、裏の裏をかいて高いものを……とそんな感じの読み合いゲームである。
大砲マークのある船は5隻のうちたった2隻。2隻とも見破られてしまうと、あとの3隻は「どうぞご自由にお取り下さい」状態に。そうならないように、大砲のある船をあえてすぐ回収して(攻撃されなければ、大砲の有無は明かさない)、「もう1台あるはずだ」という警戒を持たせ続けるのも有効だ。攻撃は誰にしてもよいので、点数が低くても成功率の高いほうが狙われやすい。
ブラフゲームなので、淡々と遊んではつまらない。「これは絶対大砲あるでしょ?」「ないよないない」「じゃあこっち…と見せかけてこっち!」「回収しまーす。大砲なかったのに」といった会話で盛り上がりたい。10分くらいで終わるあっさりゲームなので、前ゲームの結果を踏まえて2ゲーム目を遊んでもよいだろう。1ゲーム目は7点とか6点を守るのが主流になりがちだが、2ゲーム目になると、その裏をかくか裏の裏をかくかでさらに悩ましい。
Letter of Marque
B.フェデュッティ/ファンタジーフライトゲームズ(2009)
3〜6人用/8歳以上/20分
日本語版がアークライトで発売中