ザ・クルー:深海に眠る遺跡(Die Crew: Mission Tiefsee)
タスクのバリエーションがアップ
昨年、ドイツ年間エキスパートゲーム大賞、ドイツゲーム賞、アラカルトカードゲーム賞の3つの賞に輝いた協力トリックテイキングゲーム『ザ・クルー:第9惑星の探索』の後継作。今度は宇宙ではなく深海の探険がテーマになっている。
『第9惑星の探索』はミッションごとに固定のタスクがあったが、プレイ人数によって達成難易度にばらつきがあった(人数が少ないほうが達成しやすい)。今度は、タスクカード1枚1枚に達成難易度がついており、それがプレイ人数によって変えられている。3人なら「2」のタスクも、5人なら「5」となる。
各ミッションには達成難易度の合計値が指示されており、その合計値に達するまでタスクカードを引く。合計値はプレイ人数に関わらず一定であるため、人数が少なければタスクカードは多くなる。
『第9惑星の探索』のタスクカードは「赤の4」「黄色の2」というように、誰がどのカードを、どの順番で取るか指示していたが、『深海に眠る遺跡』はもとバラエティに富んでいる。「赤色を5枚以上取る」「潜水艦で赤の7を取る」「何色でも1を取らない」「最初の1トリックだけ取る」「連続で3トリック取る」「獲得トリックが単独最少」「全部のカードが6より大きいトリックを取る」「非公開で予想した数のトリックを取る」「獲得した赤と黄色と枚数が同じ」など。
さらにこれらは単独ではなく、複数枚組み合わせるわけだから、ミッションは毎回多様なものとなる。どのタスクカードを誰が取るか、そして相談ができない中でどのカードを出せばタスクが達成できるか、針の穴を通すような思考が求められる。
皆が選んださまざまなルールが毎回適用される『トリックマイスター(アミーゴ, 2010年)』を彷彿とさせるが、こちらは協力ゲームであることによって、どんな無理難題でもやりがいのあるチャレンジとなる。通信チップのタイミングも以前にまして重要になった。トリックテイキング好きにはたまらない作品である。
独シュピールボックス誌での平均評価が8.6(10段階)、10点をつけた評者が2人おり、「あの前作をさらに改良できるとは思わなかった」「後継作は前作を何よりも可変性によって追い抜いた」などと絶賛された作品。現在は日本語訳付き輸入版が流通しているが、やがて日本語版が出れば、タスクカードの英語を参照する手間が省けるだろう。
Die Crew: Mission Tiefsee
ゲームデザイン・T.シング/イラスト・M.アームブルスター
コスモス(2021年)
2~5人用/10歳以上/20分
お金と人材を集めてプロジェクト達成『なんとSDGsボードゲーム』11月8日発売
富山県立大学は本日、富山県南砺(なんと)市と共同で『なんとSDGsボードゲーム』を発売する。ゲームデザイン・同大学地域協働研究会COCOS(ココス)ほか、2~6人用、11歳以上、プレイ時間不詳、2800円(税込)。購入申込は下記リンクより。
持続可能な開発目標(SDGs)をテーマにしたボードゲーム。「お金」「人材」チップを集めながら、プロジェクトを達成してSDGsポイントを集める。最初に「環境」「社会」「経済」の専門家からどれかを選び、各分野と関係しているSDGs番号が入ったプロジェクトを達成すると、獲得できるSDGsポイントがアップする。
早上がりではなく、全員がゴールした時点でSDGsポイントを競う。ゲーム中に「お金」と「人材」を交渉して交換することもでき、単なるすごろくではない。またボードには地元のお祭りや農産物のイラストが描かれているほか、市内産のスギ材から制作したコマやサイコロ鉛筆も取り入れ、コンポーネントの魅力も高めた。
今年6月に完成し、南砺市職員が出前講座形式で体験会を行っていたほか、市内で無料貸出をしていたが、県内外の自治体や大学などから問い合わせが増えたため、一般発売することになった。JR城端駅の観光案内所で直接販売もある。
SDGsをテーマにしたボードゲームについてはこれまで高額な商材や研修費が目立っていた。今回のように自治体などとのコラボで、それぞれの地域に特化したものが手軽に遊べるようになることが期待される。
内容物:ゲームボード 1枚、サイコロ 1個(南砺市産材のサイコロ鉛筆1本)、木製コマ 6個、専門家カード 6枚、資源チップ:お金80枚 人材80枚、プロジェクトカード 60枚、説明書1枚