ボードゲームのイノベーション
ドイツのボードゲーム専門誌『フェアプレイ』のブログで、ボードゲームのイノベーションシリーズが掲載され、合計20タイトルが紹介された。
現代のボードゲームは、先行する作品が多すぎて個々のアイデアではもはやオリジナリティを追求できない段階に入っており、アイデアの組み合わせで新しさを打ち出しているという状態と言える。そして組み合わされる個々のアイデアには、必ずといっていいほど先駆けとなるゲームがある。そういうゲームを取り上げて並べると、ひとつの作品を分析したり評論したりする上で役に立つだろう。
『フェアプレイ』で20タイトルと後代への影響は次の通り。
1.『メモリー』―記憶、他の多くの作品へ
2.『チグリス・ユーフラテス』―最小比較、他のクニツィア作品へ
3.『天然ガス会社』―ボード周囲を回る得点表、他の多くの作品へ
4.『ボーナンザ』―カードの順番を変えない―ボーナンザシリーズへ
5.『アクワイア』―合併システム、『ビッグボス』などへ
6.『はげたかの餌食』―同時オープン・バッティング、他の多くの作品へ
7.『ラックオー』―カオスの整理、10日間シリーズなどへ
8.『フェレータ』―職業選択システム、『操り人形』や『プエルトリコ』へ
9.『森の影』―暗闇で遊ぶ、『魔法使いの夜』へ
10.『エボ』―ところてん競り、『アメンラー』や『ベガス・ショウダウン』へ
11.『キャントストップ』―バースト、『ヘックメック』などへ
12.『ベンハー』―コマの距離計測、『ドラゴンライダー』へ
13.『カラバンデ』―おはじき、いくつかの子どもゲームへ
14.『マジックザギャザリング』―TCG、他の多くの作品へ
15.『十字軍』―ダイスタワー、『将軍』へ
16.『古代』―ロンデル、『インペリアル』や『ハンブルグム』へ
17.『テーベの東』―時間消費、『ティナーズトレイル』へ
18.『ジェノバの商人』―コマ並べ移動、他のドーンの作品や『メトロポリィス』へ
19.『看板娘』―テーブルチェンジ、後続なし
20.『クレムリン』―手札なし移動、『インペリアル』へ
汎用性を持たなかったものや、正直うまく機能しなかったものも含めるなど、マニア雑誌の『フェアプレイ』らしいセレクトだと思う。ほかにもあったら教えてねと連載を閉じている。
例えば『ケイラス』のワーカープレイスメント(『大聖堂』『アグリコラ』)、『プエルトリコ』の全員行動(『レースフォーザギャラクシー』)、『サンクトペテルブルグ』のブースト(『ドミニオン』)などが思いつく。一方、ドイツゲームを語るのに欠かせない『カタン』は、総合的なゲームなのでイノベーションというと弱いかもしれない。
すぐれたシステムの原点になったのはどのゲームなのか、この機会に探ってみるのも面白いだろう。
ゲーム棚
ようやくボードゲーム棚の整理が終わった。
つくばから送ったボードゲームはダンボール22箱分にもなり、山形にあったものとあわせて時間がかかった。スチール棚3つと、カードゲーム用に新しく購入したコミック棚1つには到底収まりきらない。結局、入りきらなかった6箱は放出用ということに。
棚は一区画ごとにテーマを設けるのが楽しい。右の棚は1段目がドイツ年間ゲーム大賞、2段目がクニツィア、3段目がドーラ、4段目がクラマー。中央の棚は2段目がアレア&イスタリ、3段目がカタン、左の棚は2段目がパーティゲーム、3,4段目が子供ゲーム。
ボードゲームは増えやすく減らしがたい。これまでもスペースの都合で何度もヤフオクなどに放出しているが、選別はなかなか切ない作業である。「後からまた欲しくならないか?」などと考えてしまう。
そこでデザイナーかメーカーというテーマに沿って残しておく方針にした。そのときは面白くないと思ったものでも、デザイナーの名前で残しておくと後から遊ぶ気持ちも出てくる。もっとも、クニツィアやクラマーのコンプリートなど所詮無理だし、あれだけ多いとピンキリなので結局選別することになる。
それ以外の棚は新作やアーカイブとしてまとめてある。未プレイ品も多く、新しく買うにはまず未プレイ品を遊んで、放出しなければならない。というわけで遊ぶチャンスを虎視眈々と探している。