倉庫の街(Speicherstadt)
お金なくてクラクラ
ゲーム内容はこちら。いかにもドイツゲームらしい、骨太でシンプルなリソースマネージメントゲームであるが、実際に遊んでみたら印象はかなり違って、リソースよりお金に終始苦しめられるカツカツなゲームだった。シャハトかと思ったくらい。
ゲーム開始時のお金は5金。このお金でカードを買うわけだが、その値段は、そのカードに置かれたコマの数である。需要が多ければ多いほど高いというわけだ。しかし実際、どのカードも1金で買えることはまずなく、2〜3金でやっと1枚だけ手に入る。ラウンドの最後に1金が補充されるが、ちょっと奮発しただけでたちまち一文無しになってしまう。奮発しなくても、2〜3金で次のラウンドを迎えることが多い。
2〜3金といっても、2金と3金とでは格段に違う。お金がないと、たちまち足元を見られ、1個コマを置かれただけで買えなくなってしまうからである。だからほしいカードには、コマを置くのを後回しにして高騰を防ぎたいところだが、そうするとお金を持っている人に先に買われてしまう恐れもある。何というジレンマ。「スタートプレイヤーマーカーのメタルコインは支払いに使えません」とわざわざルールに明記してあるのも、やってみるとよく分かる(これが支払えたら!)。
つまり、このゲームはプレイヤーの手持ちが完全に公開された変則競りゲームなのである。「相手はこちらを買いたそうだから、お金がなくなってあっちのカードはもう買えない。だったらあっちに今置けば安く買えるはずだ」というように先の先が読める。その読みに対しどこまで意表をつき、盲点になったカードを安く買えるかが勝敗を分けるだろう。
勝ち筋はひとつではないから、自分の戦略を変えて相手のほしいカードを奪っても「お仕事」にならない。その優先順位を読み誤ると、トッププレイヤーの独走を許してしまいかねない。ときには下位プレイヤーが共同でトップ目がほしいカードの値を吊り上げることもある。競りゲームの一種だから当然といえば当然だが、コマ1個の置き方が全員に大きな影響を与えるという、かなりプレイヤーインタラクションの強いゲームである。
tomokさんのちょっとした手違いで大量の塩を送ってもらってダントツ1位。消防士のポイント争い、美味しい契約や商人の妨害、そのほか勝利点カードの奪い合いなど、毎ラウンド出てくるカードによって違う駆け引きが楽しめた。
Speicherstadt
S.フェルト/エッガートシュピーレ(2010年)
2〜5人用/8歳以上/45分
ポーランド年間ゲーム大賞に『スルー・ジ・エイジ』
4月24日から2日間にわたってブロツラフにて行われた第5回グラチスラビアゲーム祭にて、ポーランド年間ゲーム大賞(Gra Roku)の結果が発表された。1400名以上のポーランドのボードゲーム愛好者の投票によって選ばれた今年の一番人気ゲームは『スルー・ジ・エイジ(Through the Ages)』だった。
これまで『電力会社』(2007)、『プエルトリコ』(2008)、『アグリコラ』(2009)と堂々たるフリークゲームを選んできた同賞。今回も2009年にポーランドのメーカーから発売された55タイトルの新作から、下記の6タイトルがノミネートされ、また定評のあるフリークゲームが選ばれた。
『スルー・ジ・エイジ』は文明を軍事・科学・文化・幸福度など総合的に発展させるチェコのボードゲーム。2006年に発売され、2007年の国際ゲーマーズ賞、2009年のドイツゲーム賞8位などを受賞している。日本国内ではダイスゲーム版の『ロール・スルー・ザ・エイジ』が日本語版で発売されているが、ボードゲーム版は品薄状態が続いている。
【ポーランドゲーム賞2010】
大賞:スルー・ジ・エイジ(Cywilizacja: Poprzez Wieki)
ノミネート:バトルスター・ギャラクティカ(Battlestar Galactica)
〃 :ディクシット(Dixit)
〃 :ドミニオン(Dominion: Rozdarte Królestwo)
〃 :パンデミック(Pandemic)
〃 :ストロングホールド(Stronghold)
・Spiellust.net:Hier und da: Nomienierungen für den polnischen Spielepreis “Gra Roku”
・Spiellust:Hier und da: Der Preis Gra Roku 2010 – Ergebnisse
・ゲームストアバネスト:スルー・ジ・エイジ