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ノブナガ(Nobunaga)

信長に塩を送る
カードドラフトで戦力を集め、NPCの信長と力比べをするカードゲーム。信長に配慮したカード選択をしないと負けてしまう。日本人になじみ深いテーマで、ひねりの効いたルールとスピーディな展開が楽しめる。
勢力カードは武田家、上杉家、毛利家、浅井・朝倉家、足利幕府、本願寺の6種類。場には人数+1枚の勢力カードが並び、順に好きなものを1枚ずつ取る。次のラウンドのスタートプレイヤーの権利を取った人が最後に選んで、残った1枚が信長のもとへ。これを繰り返して戦力を集める。
一定数集まると合戦が始まる。スタートプレイヤーが6種類の中から1つ選び、そのカードを手札から出す。枚数の多い人(同数の場合はスタートプレイヤーから近い人)が勝ちで得点を得る。選ぶ勢力は信長がもっているものでなければならず、信長に同じものを集めさせていると負けることもある(信長にも得点が入る)。
合戦が一通り終了したら、手札を持ち越しで第2ラウンド。またカードをドラフトで取り合い、たまったら合戦を行う。同じ勢力で2回手柄を立てると得点がアップするもの、逆にアップしないものがあり、1回目の合戦の結果を見て、どのカードを集めるかをよく考えなくてはならない。
同じものを集めすぎると、持っていない合戦では指をくわえて見ていることになるが、幅広く集めすぎるとどの合戦でも勝てないことになってしまう。ほかの人が何をどれくらい集めているか、だいたい把握しておきたい。このあたり、来るべき戦に備えている雰囲気がよく出ている。
信長用にどのカードを残すかも重要だ。信長に勝たせないようにみんなで協力したり、そう見せかけて意外なカードを取って裏切ったりと、ドラマがある。今回は信長を退けることができたが、何度か勝たれて危うい場面もあった。
本願寺と上杉家にこだわりすぎて(思い入れがある)、ほかが手薄になってしまったが、1〜2枚の同数決戦の勝利を手番順で拾って2位。同数で勝つメリットを生かして、スタートプレイヤーのときに少な目の勢力で合戦を始めるのがポイントだが、少なすぎると話にならないこともあるのが悩ましかった。
ノブナガ
沙月みと/グランペール(2010年)
2〜5人/12歳以上/約20分
グランペール:ノブナガ
ノブナガ

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ミヒャエル・シャハト:マイベスト

テンデイズラジオのフォローの続き。第2回の三人用、第3回の六人用については私の中でそういう枠組みがなかったり、候補が少なすぎたりしてパス。三人専用なら『百科審議官』が好きで、六人専用は思いつかないが六人くらいいれば何かパーティゲームをやればいいのではないかと思う。
というわけで第4回のミヒャエル・シャハト。キリキリした分かりやすいジレンマが特徴のデザイナーだが、公開情報が多く、ややもすると人間ではなくゲームと戦っているようなドライな気になってくるのが好みじゃなくて、あまり所有していない。名作といわれる『王と枢機卿』およびそのリメイク『チャイナ』もとうの昔に放出している。
私のノミネートは『ズーロレット』『ムガル』『かくれんぼオバケ』。
『ズーロレット(Zooloretto)』は、動物園のオリに動物を種類別にうまくつめていくボードゲーム。動物園というテーマでなければかなり殺伐としていたと思うが、名作カードゲームの『コロレット』のシステムを継承し、悩ましいゲームにしてある。→TGW
アバクス(2007年)
『ムガル(Mogul)』は鉄道会社の株券を、サバイブ式(『ゲシェンク』のような)の競りで手に入れ配当を受け取るゲーム。競りだけでなく、暴落前に株を売れるかどうかの見切りが面白い。自社出版だったこのゲームが、なぜいまだリメイクされていないのか不思議。今年のゲームマーケットでは同じテーマの『夢JAL』という同人ゲームもあった。→TGW
シュピーレ・アオス・ティンブクトゥ(2002年)
『かくれんぼオバケ(Gespenstisch!)』は鬼がこっそり決めた部屋に入らないように移動する読み合いのキッズゲーム。大人だけで遊ぶとゲームは様変わりし、前回の移動や好きな色など、ありとあらゆる要素を推理に加えた深い心理戦が楽しめる。→TGW
ハバ(2006年)
エッセン国際ゲーム祭でシャハトと会ったことがある。アバクス専属のようになる以前は個人ブランドのシュピール・アオス・ティンブクトゥのブースを出していたので、そこで会うことができた。メールでのやり取りがもとで、彼の交遊アルバムに掲載されている。
さてベストゲームだが『ムガル』にした。プレイヤーの心理をクローズアップしていて、ほかでは味わえない深みがある。リオグランデゲームズで2009年の春にリメイクする計画があったが、その後音沙汰なしで立ち消えになっているのが残念だ。