怪盗ジュエル(Phantom Thief Jewel)
キャッツ・アイ
『ハゲタカのえじき』に代表されるバッティングゲームは、ほかの人とかぶらないように裏をかく心理戦である。これに、ひねりを加えることで戦略的な要素を加えた。今年の春のゲームマーケットで発売された国産ゲームである。
プレイヤーは宝石専門の怪盗で、盗む前に必ず予告状を出すことにしている。いろいろな宝石が入荷する5つの宝石店から1つを選んで予告状を出し、一斉に公開、ほかの怪盗とバッティングして(かぶって)いなければ宝石を取れる。
誰も取れなかった宝石店には宝石が累積する。宝石が増えれば増えるほど、そこを狙う怪盗が増えてバッティングが起こりやすい。ほかの人が諦めてくれるのを期待して狙うか、安全にほかを狙うか、宝石が増えれば増えるほど心ヒートアップ。
このゲームのひねりは3つあって、まず1つ目は、同じ宝石店には2回続けて入れないこと。前のラウンドに出した予告状はわきによけておく。このため、1つの宝石店に多数の怪盗がつめかけてバッティングすると、次のラウンドはそこに行かなかった怪盗が悠々と盗めるわけである。
2つ目は、宝石は同じ数字を3枚集めないと得点にならないこと。高得点の宝石は枚数が少ないのでチャンスはあまりない。また、誰がどの宝石を狙っているか分かるので、予告状選びは戦略的になる。「−4」というカードも3枚集めないと失点にならないから、2枚までは取れるという計算ができる。
3つ目は予告状カードと一緒になっている「ゲット」カード。ほかにこのカードを出した人がいなければ、残り物(このラウンドに盗まれなかった宝石店)を選んで取れる。しかしこれまた人気のカードなので、バッティングしてなかなか取れないものである。
写真の「D」宝石店は、バッティングを繰り返しているうちに溜まりに溜まったところである。みんなが遠慮したところで突っ張った私が獲得した。しかし、このゲームは突っ張れば勝てるわけではない。ときに人気がなさそうな宝石店を狙い、ほかの人がバッティングした直後を狙う抜け目のなさが必要である。うまく7点のセットを完成させたくさのまさんの勝利。
怪盗ジュエル
土屋つかさ/染井吉野ゲームズ(2011年)
3〜5人用/8歳以上/15分
染井吉野ゲームズ:怪盗ジュエル
ボードゲーム・カードゲームの販売所:怪盗ジュエル
パンティーレイダー(Panty Raider)
準備万端、レディーゴー!
以前、当サイトで「ボードゲームのタブー破り」というエントリーを書いたとき、こんなゲームもあるよと教えてもらったのがこの作品。一般には販売しておらず、アメリカの版元から個人輸入するしかない。
女子寮に忍び込んで下着を盗んでくるという、変態カードゲームである。最初に5枚、男子寮に持ち帰った人が勝者となる。しかし相手はそう簡単に盗ませてくれない。
フェイズ1は装備。双眼鏡やつけひげ、トレンチコートやニンジャスーツを自分の前に出して攻撃力を上げる。また師匠を雇って特殊能力を身につけることもできる。師匠は「アベレージ・ジョー」「ナイスガイ」「スカートチェイサー」などダメな感じの大人たち。でもこのゲームでは欠かせない、頼もしい先生だ。
フェイズ2は女子寮。アイテムカードを補充するか、潜入を決行するか、手番プレイヤーが決める。潜入する場合、単独か相棒と組むか選ぶ。ここで強いアイテムを装備していれば、指名してもらいやすいだろう。そしていよいよカードをめくって女の子の登場。いよいよ泥棒が始まる。
ここで全員、いたずらカードを出してアイテムを追加したり、ハプニングを起こしたりできる。自分が潜入していなければ、女の子の守備力を上げたり、人気者を入れ替えたりして邪魔してもよい。そしてダイスロール。
泥棒の成否は、プレイヤーの攻撃力(アイテム含む)+ダイスと、女の子の守備力やハプニングカードの比較で決まる。この後でリロールできるカードもあるが、最終的に攻撃力が勝れば泥棒は成功。手に入れた下着は、単独なら独り占め、相棒がいれば山分けする。
フェイズ3は男子寮。今回潜入しなかった人はカードを補充し、盗んだ下着を裏返して確保する。下着には3種類あり、ビキニを確保すれば1枚、Tバックなら2枚追加で補充できるが、トランクスは補充できない。また確保した下着は経験値となって、攻撃力が上がる。確保していないと、ほかの人にトレードされることがあるので気をつけたい。
手番プレイヤーを交替してフェイズ1から。フェイズ3で、最初に5枚の下着を確保した人が勝者となる。
序盤に調子よく集めて最初にリーチしたのは私だったが、カードをろくに補充しなかった上に、ダイスの目がとことんダメでことごとく失敗に終わってしまう。急いては事を仕損じる、である。
そのうち周りもどんどんリーチしてくると、激しい妨害合戦が繰り広げられたが、潜入をしばらく我慢して大量のカードを溜め込んだ鴉さんが勝利。鴉さんの師匠は「アベレージ・ジョー」。ダイスが1,2,6だった場合振り直せるという特殊能力で、結構強い。
テーマが良かったのかひどかったのか分からないが、競争しつつ変な連帯感が生まれて、非常に白熱したゲームが楽しめた。
Panty Raider
S.グリーンフィールド/マインドスーン(2010年)
2〜6人用/13歳以上/45分
mindsoon game design:Panty Raider