第6回カルカソンヌ世界選手権、日本人準優勝
(取材・撮影:正田謙)
ドミニオン世界大会の翌日、同じ会場にて第6回カルカソンヌ世界選手権が開催され、日本代表の小向真之介氏が準優勝を獲得した。
22カ国の代表と、前回まで3年連続優勝のR.クエルフェルト氏が参戦。2人プレイで予選6ラウンドと準決勝・決勝が行われた。日本ではメビウスゲームズが全国大会を開催し、66人の中から初めて代表を送り込んだ。
日本代表の小向真之介氏は、激戦を勝ち抜いて見事決勝に進出したが、惜しくもオランダ代表に敗れて準優勝。日本選手権と比べて「レベルが2段階ほど違う感じ。来年はリベンジしたい」。日本選手権の前は3人以上でしか遊んだことがなかったが、大会に向けては2人にして週2回、1回につき5〜6回ずつ練習してきた。世界大会に向けては、遊ぶよりもタイル構成や確率を研究していった。また、対戦相手だけにタイルの構成表を渡してタイルのどれがプレイされたかをチェックしてもらい、人為的に相手のレベルを上げて練習したという。
優勝したオランダ代表のE.ブルテン氏は女性プレイヤー。接戦が多くエキサイティングで楽しかったという。普段はオンライン(BSW)で遊ぶことが多く、実際に人と遊ぶのは週に1度ほど。強くなる秘訣は「タイル構成を完全に覚えることと、機会を伺って与えられたチャンスを確実にものにすること」。
『ドミニオン』に続く快挙で、日本人が大活躍のエッセン国際ゲーム祭となった。
世界王者E.ブルテン氏と準優勝の小向真之介氏
シュピール’11:帰国
日曜日の最終日は朝の出発だったのでシュピール最終日はお休み。電車30分でデュッセルドルフ空港、1時間半でパリ・シャルルドゴール空港、11時間で成田空港へ。
今回のシュピールを振り返って、3点を挙げておきたい。
1.新作落ちと品薄
発売が間に合わなかったり、品薄で売り切れてしまったりする作品が目立った。ローゼンベルクの新作『祈り、働け』は初日に200部しか来なかったし、エッガート社は『田舎に死す』が間に合わなかった。例年、シュピールより前倒しで発売されているアミーゴ社の製品がなかなかリリースされず、メビウス便が遅れた。これらは製造会社シェア・シュピーレの倒産と、それに伴うルド・ファクト社の負荷オーバーが原因である。
このため買うほうとしては、初日の重要性が高まった。この情報は知っている人が多かったようで、結果的にレアになってしまったところには行列ができ、たくさんの荷物を抱えて歩く愛好者の姿が初日に見られた。
2.日本代表の活躍
日本が今年初めて参加した、『ドミニオン』と『カルカソンヌ』の世界大会は、それぞれ優勝、準優勝という素晴らしい成績を収めた。かつて『カタンの開拓者たち』の世界大会でも日本は好成績を収めていたが、ここでもその強さが証明された。
この成績は、日本のボードゲーム人口の増加と関連していると思う。人口が多ければ、その中に研究熱心なトーナメントプレイヤーが出る確率も高まる。そもそも、ホビージャパンとメビウスが渡航費を出して代表を送るようになったこと自体、マーケットの広がりを示している。
3.国内輸入の増加
メビウスゲームズ、ゲームストアバネスト、ホビージャパン、アークライト、テンデイズゲームズなどが積極的に新作を輸入してくれているおかげで、現地でしか買えないものがだいぶ少なくなった。フェアプレイのスカウトアクションで上位に入るような新作なら、今ではたいていどこかが仕入れる予定になっている。
そのため、翻訳がないものを急いで買って荷物を増やさなくてもよくなった。買うものといえば限定品や、さらにマイナーなメーカーの作品、中古品などが中心である。別に買わなくとも、のんびりと見て回って、気になったものを実際に遊ぶのもよい。シュピールは、新作をテストする場として「テスティパル」と呼ばれている。