エボリューション:種の起源(Evolution: The Origin of Species)
肉食は諸刃の剣
厳しい弱肉強食の中で、肉食になったり身を守る能力を身につけたりして、生き残りを目指すカードゲーム。ロシアのライトゲームズというメーカーの作品で、今年になって英語版が発売された。
毎ラウンド、まず手札からカードを出す進化フェイズ。裏にして出せば個体を表し、そこにさまざまな進化能力を付け加えていく。「肉食化」が大きな柱で、それに対抗するため、「大型化」、「水生」、「しっぽ斬り」、「逃げ足」、「カモフラージュ」などがある。ほかに、食料がなくても生き延びる「皮下脂肪」や、二匹の片方が食料を得たときもう一匹も食料を得る「協力」、誰かが肉食獣に食べられたときおこぼれに預かる「腐肉食」など、飢えへの対策も多様。相手の進化状況に合わせて、どの方向に進化するか考えたい。
進化が終わると、ダイスを振って食料が発生する。序盤は動物が少ないのでまず飢えないが、後半になると、動物が多くなる上に、食料をより多く必要とする肉食獣・大型動物・寄生された動物が出現するので厳しい。
肉食獣は、どの動物でも食べることができるが1ラウンドに1匹しか食べられない。しかも必要な食料が多く、ほかの動物が皆守りを固めると、たちまち飢えてしまう。食料がエられなかった動物は全て絶滅し捨て札へ。残った動物の枚数だけ手札を補充して、次のラウンドに進む。山札がなくなったとき、生き残った動物と進化カードの数で勝敗を決める。
個体を増やして、それぞれを少しずつ進化させれば、リスクは少ないが個々の動物は弱いのでよく食べられる。個体を減らして、手厚く進化させればまず食べられないが、寄生されて飢え死にする恐れがある。肉食と寄生はどのプレイヤーでも選べるので、目立つのは危険だ。守りを固めて、終盤の壮絶なサバイバルに備えたい。
早々と肉食化した神尾さん、巨大獣を育てた鴉さんは寄生されて倒れる。私は強力な進化ができず皮下脂肪でしのいでいた分、攻撃もあまりされず2位。1位は最後の最後で肉食化し、場をコントロールしたぽちょむきんすたーさん。
進化はどれも直感的で、「そんな進化すると食べちゃうよ」「じゃあ大型化します」「こっちも大型化!」「そこで寄生ですよ」「うわ何をするー」など会話が盛り上がった。プレイ時間は30分前後と軽い。
Evolution: The Origin of Species
D.クノーレ、S.マーチン/ライトゲームズ(2010年)
2〜4人用/12歳以上/30分
Rightgames: Evolution: The Origin of Species
ゲームストアバネスト:進化:種の起源
黄金の島イスラ・ドラーダ(Isla Dorada)
先に財宝を見つけて叩かれ
財宝いっぱいの島にたどり着いた探検隊。隊員はそれぞれ行きたい場所が違うが、安全のため全員行動を共にしなければならない。行き先は、競りで決める。
『ダイヤモンド』のフェデュッティとムーンのコンビに、『ウィングス・オブ・ウォー』のデザイナーコンビが加わって作られた作品で、この顔ぶれを見れば、アークライトが日本語版を発売したのも分かる。メーカーはフランスの新参、ファンフォージ社。
競りは、希望する行き先にコマを置いて、競り値を言う。別の場所に行きたい人は、より高い競り値を言わなければならない。1人だけになったら、その行き先に至る道に対応するカード(砂漠ならラクダ、山地ならヤク)を、競り値の分だけ支払う。
各プレイヤーには財宝カードと呪いカードが配られており、「ローバニスに行けば+5点」「オズタキトルに行けば−4点」(地名が分かりにくく、ボードにカタカナで書いてあるのはありがたい)など、行きたい場所と行きたくない場所がある。競りで毎回頑張ることはできないので、ほかの隊員にうまく相乗りするのがポイント。
もうひとつ、相乗りしたほうがいい理由がある。競りで使う冒険カードの中には、相手の財宝カードを奪ったり、冒険カードを捨てさせたり、呪いカードを押し付けたりする直接攻撃のカードが混じっている。序盤に目立った行動をして宝物を公開すると、確実に叩かれるだろう。出る杭は打たれる。そうならないように、相乗りして目立たないように。
でも目立たないようにしているだけでは勝てない。複数の隊員の思惑が一致すると、同じエリアをぐるぐるまわっているだけになり、ゲーム中1回も立ち寄られない場所も出る。力を貯めているうちにゲームが終わらないよう、空路(どこにでもワープできる)などで一気に決めたい。
財宝カードと呪いカードが同じ場所になるという不運をアピールして攻撃を交わす序盤。しかし財宝カードにボーナスをつけて1位になってから、激しいトップ叩きに遭い、そのままずるずると最下位。1位は、終盤まで目立たないようにして一気に財宝を見つけたぽちょむきんすたーさん。
財宝カードの補給が少ないため、ひと通り見つけた後は、次の財宝カードを引くまでただのお供になったり、いつも結託してい(るように見え)たり反目していたり、同じ探検隊の中にドラマがあった。まことに人間的なゲームである。
Isla Dorada
A.アンジョリーノ、B.フェデュッティ、A.R.ムーン、P.G.パグリア/ファンフォージ(2010年)―アークライト(2011年)
3〜6人用/14歳以上/60分
黄金の島イスラ・ドラーダ 完全日本語版