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小中学生のためのボードゲーム発明体験教室

近くの学習塾で、「ボードゲーム発明体験」というシリーズ授業があり、その中の1回を担当した。対象は小学校低学年・小学校高学年・中高生の3クラス。第1回でトランプゲームを遊んで面白いところを付箋に書き、第2回でトランプゲームのルールを変えて新しいゲームにし、第3回で海外のボードゲーム(『ディクシット』と『アズール』)を遊ぶ。第4回でボードゲームの歴史やトレンドを俯瞰してから、第5~10回で作る・遊ぶ・改良するというのを繰り返していく。

私が担当した第4回は、まず「ボードゲーム」などの呼称で含まれるもの・含まれないものの話から、カジノ、SLG、TRPG、TCG、ミニチュアゲームなど一大ジャンルを形成しているアナログゲームを紹介。それから「伝統ゲーム」「20世紀のマスマーケットゲーム」「90年代からのドイツ・ユーロ・モダンボードゲーム」「10年代からの日本ゲーム」と時代を下りながら、代表的な作品とそれぞれのカテゴリーの特徴(プレイ人数、ターゲット層、プレイ時間、運の要素、テーマ、作者の明示)について話した。

さらに現在の3つの流れとしてファミリーゲーム、ゲーマーズゲーム、パーティーゲームがあるとし、その新しいトレンドとして協力ゲーム、謎解きゲーム、1人用ゲームがあること、新しいトレンドの背景にはネガティブなインタラクションの回避があることを指摘した。

ただ話を聞いているだけでは退屈だろうと思い、途中途中で実際にボードゲームを出してちょっとだけ遊んでもらった。伝統ゲームで『投扇興』、パーティーゲームで『ジャストワン』、日本ゲームで『はぁって言うゲーム』、協力・謎解きゲームで『ミクロマクロ・クライムシティ』を紹介。百聞は一見にしかずである。

そしてこれからボードゲームを作る上で、チェックポイントを10点ほど提示。最後にインクルージョンという、国内外のボードゲームシーンで取り組まれている動きについて話し、ボードゲーム以外にも応用してほしい視点を提示した。

ボードゲームにはコミュニケーションツールという側面がある。その側面から見たとき、新しいボードゲームを考案するということは、新しいコミュニケーションの取り方を見つけるということになる。世の中にはさまざまなタイプの人がいること、どういう人ともうまくコミュニケーションを取るにはいろいろな工夫が必要なこと、そういう工夫を諦めて人と関わらないようにするのは一番楽な方法かもしれないけれども、それでも辛抱強く他人と関わるといいことがあるかもしれないことなどを子どもたちに学んでほしい。

Posted in 日本語版リリース

『ミステリーラミー ケース1:ジャック・ザ・リッパー』日本語版、8月20日発売

グループSNEとcosaicは8月20日、『ミステリーラミー ケース1:ジャック・ザ・リッパー(Mystery Rummy: Jack the Ripper)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・M.フィッツジェラルド、イラスト・V.ポシュカス、2~4人用、8歳以上、30分、2200円(税込)。

オリジナルは1998年、U.S.ゲームズシステムズ(アメリカ)から発売された作品。プレイヤーは捜査官となり、カードゲーム『ラミー』のルールで証拠カードを集め、切り裂きジャック事件の解決を目指す。

ドロー&プレイでカードをプレイするが、犠牲者カードが出すと事件が動き出す。その犠牲者と同じ色の証拠カード3枚以上を「メルド」として自分の前に出し、さらに切り裂きジャックではないかと言われた6人の容疑者―エディ王子、モンタギュー・ドルイト、ペダチェンコ医師―のカードをプレイ。誰かが手札をなくしたらラウンド終了で、全体で一番多く出ている色の容疑者が犯人となる。

自分の前に出したカードの得点を計算し、犯人に関わるカードは得点2倍。しかしアリバイカードが出ると犯人ではなくなったり、犠牲者が多くなると逃亡カードを出してゲームをサドンデスにもできる。何ラウンドか行って、得点の合計が100点になったプレイヤーの勝利。

カードプレイによって犯人の可能性は絶えず変わり、その流れを読み切ってカードを出すことが重要。果たしてあなたはスコットランドヤードの名誉を守れるだろうか?