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トスカーナの城(The Castles of Tuscany)

アクション改良の優越感

15世紀のイタリアを舞台にお城の周りを発展させるゲーム。名作『ブルゴーニュ(2011年)』をミドル級にリメイクしたものである。ダイスはなくなり、カードプレイでタイルを配置するようになった。プレイ時間は短縮されたが、タイルを配置したときに起こる効果を改良できることで、どこに重点を置いて発展させるかという戦略性がある。

手番にできるのは1アクションだけで、カードを引くか、場からタイルを取るか、タイルを置くかのいずれか。タイルはスタートのお城からつながるように配置しなければならず、どの色でも置けるわけではない。タイルを置くには同じ色のカードを出さなければならないが、カードは山札から引くので揃わないこともある。手札を見てタイルを選ぶか、ほしいカードを念じて山札から一か八か引くか迷うところだ。

タイルを配置すると、種類によってさまざまな特典が得られる。

  • お城(緑):場のタイルをいきなり自分のボードに置ける
  • 街(赤):アクションの改良ができる
  • 倉庫(青):どこにでも置けるジョーカータイルを獲得する
  • 農場(黄緑):植えた作物で得点する
  • 石切場(灰色):追加アクションができる石を獲得する
  • 村(オレンジ):ジョーカーカードになる村人コマを獲得する
  • 修道院(黄色):カードを3枚引く
  • 馬車(ベージュ):何が出るかお楽しみのご褒美カードを引く

このほか、プレイヤーボード上の1種類を全部先に埋めるとボーナス得点がもらえる。誰かのタイルのストックがなくなるたびにラウンドが終了し、3ラウンドでゲーム終了。独特の得点計算方法で、1ラウンドの得点×3+2ラウンドの得点×2+3ラウンドの得点×1の合計得点を競う。つまり前半に多く得点を取るほど有利になる仕組みだ。その分、先行逃げ切りで逆転しにくいとも言える。

とはいえ序盤から高得点を狙えばアクションの改良が後回しになり、早い段階で伸び悩むことになるだろう。追加アクションとアクションの改良がどう噛み合うかが、勝敗を分けることになりそうだ。

アクションを改良すると、カードを引ける枚数、保有できるタイル数、石、村人コマ、ご褒美が増える。しかも累積するので、そのアクションをしたときはかなりのアドバンテージになる。これからタイルを置く場所を見据えて、どのアクションを改良するかも考えどころだ。

アクションがシンプルなので手番の回り方が早く、ダウンタイムのストレスが少ない。ほしいタイルの取り合い、早取りボーナス競争などほかのプレイヤーとのインタラクションもほどほどに用意されている。自分が先行しているアクションをしたときの優越感(「私だけ4枚引けるぞ!」)が堪らず、次のゲームはどのアクションを伸ばそうかと楽しみになってくる。

The Castles of Tuscany
ゲームデザイン・S.フェルト/イラスト・A.シュテファン&C.シュテファン
アレア(2020年)
2~4人用/10歳以上/45~60分

「複雑なゲームはやりたくないけど、『ブルゴーニュの城』のメカニクスや雰囲気を味わいたいという平日の夜などにおすすめ」Reich der Spiele: The Castles of Tuscany

Posted in 日本語版リリース

星座でお題を表現『スターリンク』日本語版、7月1日発売

クレーブラットは7月1日、『スターリンク 星座を描こう!(Starlink)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・M.スラヴィチェック&A.シュタインヴェンダー、3~6人用、8歳以上、30分、3960円(税込)。

オリジナルはブルーオレンジゲームズから2020年に発売された作品。オーストリアのデザイナーコンビが作った。お題のワードを星座のように、星と星の間に直線を引いて表現するお絵描きゲームだ。

親は「天文学者」として、星座カードで指示されたお題(「ひこうき」「ロケット」「クリスマスツリー」など)を、星を直線でつなげて描く。他のプレイヤーは天文学者が何の星座を描いたのか、誰よりも早く当てることを目指す。望遠鏡シートの円内に収まる小さい星座で当てると追加得点になる。

星が散りばめられた星座ボードにマーカーで星座を描いていくのは、簡単なようでシンプルに表現するセンスが求められる。白いマーカーで描かれる星座はゲームを通して消さないでおくため、夜空にどんどん星座が広がっていって幻想的な雰囲気が楽しめる。