ふくろのネズミ(Knalle Kanalratte)
まんまと一杯食わされた
タイルに隠れた泥棒ネズミをめぐって、推理とブラフで追いかけっこするゲーム。子供が遊べば素直な推理ゲームになるものを、大人が遊ぶことで高度な心理戦が楽しめる。作者はフランスのR.フラガ。私が大好きなデザイナーの一人だ。
1人が逃げる役で、残り全員が追いかける役だ。まず追いかける役に目をつぶってもらい、逃げる役が16枚のマンホールタイルのうち1つに泥棒ネズミを入れる。追いかける役は目を開けて、好きなタイルに警官ネズミを置いてスタート。
追いかける役は警官ネズミを隣接するマスに移動して、そこにあるタイルをめくる。そこに泥棒ネズミがいたらゲームセットだが、最初から見つかることはまずない。つぎに逃げる役が、隣接するタイルを2枚、裏向きのまま場所交換する。泥棒ネズミが隣のマンホールに移ったというわけだ。そしてまた追いかける役が警官ネズミを移動してタイルをめくる。逃げる役がタイル交換、追いかける役がタイルをめくる……これを繰り返す。
16枚のうち、半分の8枚がめくられたのに泥棒ネズミが捕まらないと、逃げる役の勝ちになる。ただし、そのときに、泥棒ネズミがどこにいるかを一発で明かせなければならない。煙に巻いているうちに自分も分からなくなってしまったらアウトだ。
追いかける側にとっては、逃げる役のタイル交換が推理の手がかりとなる。警官ネズミが近づいてきたら、そこから遠ざかるように移動するはず。でも、実はブラフで、実は近づいていたり、まったく関係のないタイルを交換したりしているのかもしれない。一枚上手なのは、泥棒か警官か?
捕まえるか逃げおおせるかでチーズをもらい、全員が逃げる役をやってチーズの多い人が勝ち。
私はランダムにいろいろなところをタイル交換して混乱させようと思ったが、見事に見透かされていた。一方、追いかけるほうでは全く気配が読めない。逃げるほうも追いかけるほうも読みきったPsy+さんが優勝。実は全く分からないのに「絶対こっちだよ」とか言うのも作戦だったようだ。
人によってタイルの動かし方が違うのが面白い。高度に心理的な駆け引きが楽しめた。
Knalle Kanalratte
R.フラガ/ハバ(2007年)
2〜5用/4歳以上/15分
国内発売:すごろくや
ワイルドバイキング(Wilde Wikinger)
競りに乗るか乗らないか
アジトの島を目指して戻ってくる宝船に積まれた宝石を、競りで奪い合うゲーム。競りが入っている時点で対象年齢はずいぶん高めだと思うが、ハバ社のキッズゲームである。
アジトの近くには赤青黄3隻の船が列を作って寄港を待っている。ダイスを振って、赤なら赤い船、青なら青い船、黄色なら黄色の船、黒なら好きな船に宝石を1個積む。
ダイスの目はあと2つある。1つはカード補充で、全員が山札から1枚ずつカードを引く。そしてもう1つが寄港である。アジトに一番近い船が到着し、宝石が降ろされる。ここで競りスタート。手札のカードから、船と同じ色のカードか、ジョーカーカードを出して枚数を競う。
宝石を競り落とした人はその分のカードを捨てて、空になった船は列の最後尾へ。そしてまたダイスを振る。この繰り返しで、宝石のストックがなくなって積み込めなくなったら即終了。宝石の多い人が勝つ。
どの船に積まれるかはダイス目次第だから偏ることもあるが、寄港する頃にはほどよく貯まっている。しかし、その宝石を全力で競り落とすか、次回のために出し惜しみするかが悩みどころだ。
全力で競り落としてしまうと手札が激減するから、次の競りはもう勝てないかもしれない。しかしゲームは突然終わるから、手札を出し惜しみしていると次の競り自体がないかもしれない。また、船に積まれている宝石の数によっても判断は変わる。宝石が少ない、でも次はもうないかもしれない。さあどうする?
短いゲームだろうと思って序盤から全力で競り落としていたが、すぐ息切れしてしまった。宝石10個入りの船を競り落としたPsy+さんが逆転優勝。宝石が増えるのになかなか寄港しないのでどんどんテンションが上がった。
これだけミニマムな作りで、競りが楽しめるゲームなのがいい。見事。
Wilde Wikinger
W.ディルシェール/ハバ(2008年)
2〜5用/6歳以上/15分
国内発売:すごろくや