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Spiel’05のゲーム評価

昨日までの4日間にわたって、ドイツ・エッセンで年に1度のボードゲーム・メッセ「Spiel」が行われた。ゲーム情報誌『フェアプレイ』が「Scoutaktion」というアンケート調査を毎年会場で行っていて、新作の評価をいち早く知るのに役立つ。それが今年はもう公開されているので、行かなかった者としてはありがたい。これを見ながら、今年の新作の品揃えを見ていこう。

まず、全体に評価の高かったゲーム。30票以上で平均の高い順に以下のようになる(カッコ内は左が獲得票数、右が6段階評価の平均)。

  1. ケイラス(Ystari) 143/1.68
  2. 電力会社拡張・イタリアとフランス(2F-Spiele) 49/1,80
  3. ビキニ(Edition PlayMe) 159/1.91
  4. ピュンクト(Don & Co) 71/1.94
  5. キャメロットを覆う影(Days of Wonder) 176/1.96
  6. オスティア(Pro Ludo) 32/1.97
  7. 君主論(Mind the Move) 105/1.98
  8. 三頭政治の終焉(Lookout Games) 74/2.05
  9. 古代(Eggert-Spiele) 125/2.06
  10. シェアパニック(Fragor Games) 86/2.09

1位となった「ケイラス」は昨年「イス」を発売したフランスのイスタリ社のゲーム。プレイヤーは建築家となってフェリペ王のために城を作る。城の材料や資金は城下街のお店に部下を配置して調達するのだが、お店にはいろいろな種類があり、利用するお店の組み合わせが楽しい。

3位の「ビキニ」はゲームショップのPlayMeが初めて出版した作品。タイルめくりと陣取りのゲームで、ビキニ環礁で島を発見して影響下におさめるゲームだ。島がたくさんあるので、そこをどう戦略的につなげていくかがポイント。

10位の「シェアパニック」は昨年エッセンで評価が高かった「リープフロッグ」をカエルからヒツジに変えたリメイクもの。

それ以外のゲームについては、Table Games in the Worldのエッセン新作情報を参照されたい。

さて、毎年このリストになかなか入らないメジャーなメーカーの期待作はというと、以下の通り。メジャーなメーカーは、期待が高いせいか評価が厳しくなる傾向があるので、上記のものとは一概に比べることはできない。しかし以下のリストだけに絞ってみれば、何が面白かったかは見えてくるだろう。

  • ラム酒と名誉(alea) 57/2.39
  • オルトレマーレ(Amigo) 206/2.14
  • ドラゴンライダー(Amigo) 124/3.76
  • アーク(Doris & Frank) 147/2.22
  • 魔法のほうき(Kosmos) 79/2,44
  • エラズント(Kosmos) 154/2.47
  • ベオウルフ(Kosmos) 101/3,52
  • ハチエンダ(Hans im Glück) 191/2,43
  • チグリス・ユーフラテスカードゲーム(Hans im Glück) 96/2.68
  • カルカソンヌ・新しい国(Hans im Glück) 135/3,01
  • お金は臭くない(Goldsieber) 105/3.14

この中ではダントツ、昨年評判だったゲームのリメイク「オルトレ・マーレ」がトップで、次にドリス・フランクの3年ぶりの新作「アーク」が入る。アレアの「ラム酒と名誉」は「サンファン」「ルイ14世」と比べるとインパクトがないが、ハズしてはいないようだ。同様に、クラマーの戦略ゲーム「ハチエンダ」、今春から発売が延期となっていた「魔法のほうき」、「カンダミール」でコケていたカタン新シリーズの「エラズント」も評価が高い。一方で「ドラゴンライダー」「ベオウルフ」「カルカソンヌ・新しい国」「お金は臭くない」は平均以下となっている。

最後に日本のメーカー。今年は遊宝洞もグラパックジャパンも予めドイツのウェブで紹介されており、スカウトでも投票が入った。票数がドイツのメーカーから見れば少ないのは仕方ないとして、高い評価が集まっているのは嬉しい。

  • 幻影奇譚(遊宝洞) 17/2.24
  • ワルモノ2(グラパックジャパン) 11/2.27
  • サッカーチェス(グラパックジャパン) 9/2.44
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SuDoku

まもなく始まる世界最大のボードゲームイベント、シュピール・国際ボードゲームデイズ今年の目玉は何と言っても数独(Sudoku)だろう。(1)ウィニングムーヴズ、(2)コスモス、(3)ノリス、(4)ラベンスバーガー、(5)クレメントーニ、(6)カードチェスインターナショナル、(7)パーカー、(8)ジャンボ、(9)ピアトニクの9社が別々にボードゲーム版の数独を発売する。(参考:Spielboxの特集ページReich der Spieleの特集ページTGWのエッセン特集)

各社の特徴は以下の通り。

  1. ウィニングムーヴズ版は砂時計が落ちる前に早解きを競う。6段階で100問。1?4人。
  2. コスモス版はあのクニツィアがデザイン。といっても進行はオーソドックスで、手番に1つ、チップを引いて正しい場所に置くだけ。チップが置かれた縦横の列・ブロックに置かれていたチップが多いほど得点が高くなる。ボード裏面は子供用、36マスで動物の絵を揃える。
  3. ノリス版はソリテアの赤版100問とマルチプレイ用の青版150問。システム不明。
  4. ラベンスバーガー版もシステムは不明。1?4人。
  5. クレメントーニ版はイタリアのデザイナー集団ベニスコネクションが制作したもの。3つのルールがあり、チャレンジ数独はチップをめくる方式。1?4人。
  6. カードチェス版は2人用。列を完成させると1点、ブロック内により多くチップを置くと2点で、陣取りの要素も入れている。1?9の数でなく9つのシンボルマークにし、タイトルも「Sudokutive」と趣向を変えた。
  7. パーカー(ハズブロー)版はタイムズ紙公認。2人で早解きをを競う。
  8. ジャンボ版はコマを置いていくタイプ。システム不明。
  9. ピアトニク版は付属のDVDに問題が収録されている。

もともと日本でパズル雑誌を立ち読みしたニュージーランド人がイギリスのタイムズ紙に紹介し、パズル欄に掲載したところ反響が大きく、各紙に波及したのが始まりらしい。前知識を必要とせず、解くほどに上達し、また頭の体操にもなるというのが人気の原因で、イギリスからアメリカやオーストラリア、フランスやドイツへと広がっていった。新聞のパズル欄だけでなく、書店にも数独コーナーが現れ、オンラインサイトも大いに賑わっている。(参考:Wired NewsGlaubeAktuell)

今回の雨後の筍のような乱立ぶりは、ドイツでの大流行を物語ると共に、凋落傾向にあるボードゲームメーカーがチャンスを逃すまいと食いついているような気がした。日本で和訳をつけて売れる可能性は……五分五分かな。