Posted in ドイツ年間ゲーム大賞

ドイツ年間キッズゲーム大賞に『ドラゴン・ディエゴ』

ドイツ年間キッズゲーム大賞(Kinderspiel des Jahres)審査委員会は8月2日、北ドイツのハンブルクにて今年の年間大賞を発表した。ドイツ年間ゲーム大賞と同様にノミネートされていた5タイトルから大賞に選ばれたのはハバ社の『ドラゴン・ディエゴ(Diego Drachenzahn)』。
2001年からスタートしたドイツ年間キッズゲーム大賞は、昨年から母体であるドイツ年間ゲーム大賞から審査委員会を独立させていたが、大賞の発表まで別日程となるのは今年が初めて。メディアの街ハンブルクでは、ドイツ公共放送連盟(ARD)や第2ドイツテレビ(ZDF)などのメディアが取材に訪れ、望みどおりの広報効果が得られた。
授賞式では作者のM.ルートヴィヒがキッズゲームを作るモチベーションとして3人の子供と6人の孫について語り、イラストレーターのP.ブラウンもゲーマーであることを明かした。また、4年ぶり3回目の受賞となったハバ社のM.ホプフ社長は初めは狩りがテーマだったのを変えたことを話し、「我々は身も心もキッズゲームの製造者だ」と胸を張った。
『ドラゴン・ディエゴ』はどの的を狙ったか予想してボールを転がすアクションゲーム。予想と狙いが一致しないこともあり、観察力と器用さが求められる。国内では高円寺のボードゲーム専門店すごろくやにて、4400円で発売中。
すごろくや:ドラゴンディエゴ
TGW:ドラゴンディエゴ

Posted in レポート

ラベンスバーガー博物館

2010年5月にリニューアルオープンしたばかりのラベンスバーガー博物館(Ravensburger Verlagsmuseum)を訪れた。創立125周年を迎えたラベンスバーガー社の歴史や、ボードゲーム、ジグソーパズル、子供の本の製造過程を知ることができる。
博物館は市内の中心部、マークト通りに面した古い街並みの一角にある。レンガ造りの建物を改装して、間取りはそのままに現代的なインテリアを施してある。地下倉庫に設えたトイレは見事だった。入場料は大人5ユーロ、子供3ユーロ。
1階は創業から現在までの歴史と、ボードゲーム工場の様子を映像で見るコーナーがある。歴史は1980年代にドイツでボードゲームが流行し、90年代に世界に広がり、00年代に知育分野に広がったと捉えていて興味深い。また創業者オットー・マイヤー氏の遺品や、同社の最初のボードゲーム『世界一周旅行』も展示されている。なお、このゲームは復刻版が博物館ショップ限定で販売されていた。



ラベンスバーガー社初のボードゲーム『世界一周旅行』

2階はボードゲームの階。階段を上ると、昨年発売50周年を迎えた『メモリー』のいろんなバージョンが出迎える。なお、『博物館メモリー』もショップで売られている。
そして部屋に入るとボードゲームの箱が天井までびっしりと重なっている。床にはラベンスバーガー社が獲得した5つの年間大賞ポーン(そういえばこの10年大賞から遠ざかっている)、壁には代表的なゲームが展示されている。引き出しを引っ張るとさらにボードゲームが出てくる。

こんなにあったのか大箱!/メモリーも天井にびっしり

奥の部屋は、ボードゲームのアイデアが製品になるまでを『ラビリンス』を例に映像入りで解説。作者が試作品を同社に送り、同社で会議やテストプレイを経て製品化を決定。イラスト、コマ、紙、配色、デザインなどを詰めて、工場の製造ラインに入れる。実にたくさんの人の手を経て私たちの手元に届くのである。

デザイナーの試作品/テストプレイの記録用紙


イラスト原画/色見本とサイズ調整


工場生産用の型枠作成          

同じ部屋には、大型『ラビリンス・デュエル』があって、2人で実際遊べるようになっていた。タイルを素早く並べ変えて、カードのお宝にルートをつなげる。また隣の部屋にはタッチパネルで遊べるワードゲームも置いてあり、親子で遊ぶ姿が見られた。


大型『ラビリンス・デュエル』

この部屋にはボードゲームのコマやダイスが陳列されており、どのゲームの部品か考えるのも面白い。ラベンスバーガーのゲームは大量生産が基本のためか、プラスチックのコマが多いのが、日本人から見て残念なことである。
3階は絵本の階。本棚に見本が並べられており、ドイツ語が分からなくとも、仕掛け絵本などで楽しめる。学研のような科学絵本が多く、キャラクターものはほとんどない。このへんもお国柄か。
ゆっくり見て回って2時間くらい。決して大きい博物館ではないが、ラベンスバーガー125年のエッセンスが凝縮された博物館である。