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メルカトル(Merkator)

東奔西走で集メルカトル

17世紀、ヨーロッパ全土を巻き込んだ三十年戦争の影で、商人として商品を調達・配達し名声を得るボードゲーム。ローゼンベルクが収穫三部作の後に発表した注目の作品である。デザイナーノートによれば、『ルアーブル』の累積する補充と、『ボーンハンザ』のほかのプレイヤーへの同行を転用していると書いてあるが、最も面白いのは、契約カードがだんだんグレードアップしていくのと、実行した契約カードが捨て札にならず再利用できるところである。『ドミニオン』の影響もあるのかもしれない。タイトルは社会科で出てくる地図を書いた人の名前ではなく、ラテン語で「商人」の意。
手番には、好きな都市に移動して、その都市にある商品を取り、契約カード通りに商品が集まっていれば配達して、新しい契約カードを得るという流れ。契約を満たすにはあちこちの都市から商品を調達しなければならず、効率のよい回り方が求められるピック&デリバリー+セットコレクションのゲームである。ゲームが進めば、契約カードを売って建物カードを買い、最後は契約カードと建物カードの得点で勝敗を競う。
手に入る商品は、ハンブルクでは家畜と火縄銃、フランスではプラムとワイン、イングランドでは繊維と石炭というように、都市によって異なる。移動する度に周囲の都市に商品が補充され、しばらく誰も取らないとどんどん溜まっていくという、『ルアーブル』と同じシステムだ。でも、いっぱいあるからと言って飛びついてはいけない。必要なのは契約カードで指示された商品だ。
契約カードは4枚配られる。最初は「イングランドに小麦を1つ届ける」「スペインに武器を1つ届ける」といった簡単なものばかり。後者ならハンブルクで火縄銃を取り、スペインに行けば達成できる。
契約カードは、自分の番でも他人の番(同行)でも達成できる。達成すると、難易度が一段階高い契約カードをゲット。「ロシアに野菜とプラムを1つずつ届ける」「オランダにプラム2つ、石炭1つ、鉄1つを届ける」「ボヘミアに6種類の品物を1つずつ届ける」「スウェーデンに5種類の食料と、3種類の布類を届ける」というように、どんどん難しくなるが、得点も高くなっていく。
難易度の高い契約を目指すばかりが得策ではない。一度達成した契約でも、捨て札にならないというところがこのゲームのポイント。同じ都市で達成できる契約を集めて一度に達成し、少ない手番で高得点を挙げることもできる。薄利多売か、高級一点張りか。
もうひとつの得点源である建物カードは、契約カードを手放すことで手に入る。ゲーム終了時に商品が20個以上あれば5点、建物カードの枚数が単独1位なら5点などいろんな条件があるので、自分の状況にあった建物を作りたい。
ゲームは、誰かが最高級の契約カード「ウェストファリア条約」を取るか、移動のたびに取られていく時間マーカーがなくなったら終了。終盤はみんな大きな契約を目指しているので、達成する前にゲームが終わってしまわないか、非常に焦る。
3人でプレイして2時間くらい。karokuさんがウェストファリア条約まっしぐらで、次々と難しい契約を達成していく。私も上を狙ったが、商品がうまく回らず出遅れたため、建物狙いに。ふうかさんは中難易度の契約をまとめて達成する作戦。karokuさんがウェストファリア条約を取ったものの、倉庫にいっぱい在庫を残して建物カードで得点したふうかさんが1位。
次はこちらの都市に行こうか、それとも一旦あっちを経由していこうかと、契約と在庫を見ながらベストなルートを考えるのはすごく悩ましく、そして楽しい。
Merkator
U.ローゼンベルク/ルックアウトゲームズ(2010年)
1〜4人用/12歳以上/45〜90分
ホビージャパンから発売予定

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スカリノ(Scalino)

重ねずにつなげる

長さの異なる積み木をピラミッド状に重ねて、最終的に上から見て自分の色が多くつながっているようにするゲーム。『ブロックス3D(ルミ)』の元祖ともいうべき作品で、1988年にドイツ年間ゲーム大賞の候補に選ばれている。タイトルはイタリア語で「(階段の)段」の意。
ずっしりと重い木製のコマは各プレイヤー、2マス分・3マス分が3個ずつと、1マス分が6個。最初の人がボードの真ん中に好きなコマを置いて、一段目を始める。手番には、ほかのコマに接するように1個ずつコマを置く。自分の色には上下左右に接してはいけないというのと、コの字になるように置いてはいけないというのがルール。
一段目が終わったら二段目。一段目の最後を置いた人から、色が接していなければ好きなところから始められる。二段目が終われば三段目。だんだん狭くなっていくので、大量得点を狙って大きいコマを温存しておくとどこにも置けない恐れもある(置けないときはパス)。
四段目でピラミッドが完成する。上から見て、1マスだけなら1点、2マスつながっていれば3点、3マスなら6点……6マスなら21点となる。この合計が多い人が勝ち。
くさのまさんと2人でプレイ。1人2色担当なのでコントロールが難しい。端に置けばその上には置かれないので、端を狙う。しかしその上の段では、同じ色のコマを重ねられないため中央付近で礎になることも。そんな中、うまくつながるポジションを取ることができて2戦連勝。置けるパターンが多くて先の読みにくい序盤から、次第に選択肢が狭まる終盤にかけて、相手の置き方を読んでいくところが面白かった。
Scalino
P.パラ/ビューテホルン(1970年)
2〜4人用/10歳以上/15〜20分
絶版・入手難