ボードゲームサイト史(2006-2010)
前回の続き。2000年代後半はブログ全盛期。ここに挙げるサイトも、全てブログになっている。ブログは手軽に更新できる分、継続が難しいという面もあるが、定期的に更新し続けているサイトからは、ボードゲームへの愛が感じられて嬉しい。
高円寺0分すごろくや(URL) 2006-現在
2006年にオープンした高円寺のボードゲーム専門店のブログ。ゲーム紹介は写真を加工して楽しく分かりやすく見せており、しかもキッズゲームからフリークゲームまで幅広い。管理人丸田さん。
遊星からのフリーキック(URL) 2006-現在
デザインの観点から分析した本格的なボードゲーム評論が読める。これだけ鋭い評論を読めるのは実録:食卓遊戯密着大本営発表廿四時以来だと思っていたら、管理人のてらしまさんは『テラフォーマー』などでデザイナーとしても鮮烈なデビューを果たした。
新潟ボードゲーム倶楽部(URL) 2006-現在
ゲーマーズゲーム・レビューの極北。自分が考えた戦略と、実際の展開を対比させたレポートは読ませる。複雑なゲームの面白ポイントを的確に捉えるだけでなく、ときには辛口も辞さないところが信頼される元となっている。管理人タカハシさん。
週刊じゃむたん通信(URL) 2006-現在
タイトル数の非常に多いレビューサイト。簡潔でコンパクトながら、要所を捉えていて分かりやすい。最近はプレイにレビューが追いついていないようだが、ブログに時折近況が報告されている。管理人karokuさん。
ふうかのボードゲーム日記(URL) 2007-現在
青は藍より出でて藍より青し。週刊じゃむたん通信のプレイヤーだったふうかさんが、ものすごい勢いで遊んだゲームをレポートしている。ゲームのルールよりも、実際の展開を細かく記録していて、臨場感たっぷり。
海長とオビ湾のカジノロワイヤル(URL) 2007-現在
ほかではあまりレビューを見かけないゲームを積極的に取り上げているサイト。特にカードゲームに強い。10段階評価と楽しい所感を読んでいると、つい欲しくなってしまうことも。管理人の海長とオビ湾さんは2人だと思っていたが1人。
ボードゲーム CU部(URL) 2008-現在
重量級ゲームの展開と感想を、写真と共に手間をかけて詳細に伝えるレポートが読み応え抜群。ウォーレスの作品など、ルールを要約しただけでは分からない作品も雰囲気が飲み込める。管理人のウサギさんは今年、横浜にリサイクルショップCUBEをオープンした。
俺ビュー(URL) 2008-現在
レビューはアメリカゲームやデッキ構築ゲームを中心に幅広く紹介。注目の新作リリース情報も早い。管理人のとがわさんはポッドキャスト「ホットボードゲームプレス」にも出演中。
浅く潜れ!(URL) 2009-現在
図解入りで詳細にボードゲームを紹介するブログ。たくさんの写真を使い、写真に文字を入れ、楽しめるポイントや評価をまとめるなど、工夫を凝らしていてたいへん参考になる。管理人やおきんさん。
nemmy stack(URL) 2010-2011
リリースから和訳公開まで、国内外のニュースを毎日、網羅的に集めてリンクしていたニュースサイト。一時期、TGWはここからニュースを選ぶ状態になったこともある。残念ながら半年で休止になってしまったが、再開を強く待ち望む。
The Boardgame Laboratory(URL) 2010-現在
レビューから和訳まである総合サイト。ゲーム紹介は、レビューでしっかりゲームの流れを説明した上で、プレイレポートも写真を多用し、最後にオススメ度と評価を詳しく書きこむ。管理人COQさん。
ボードゲームおっぱい(URL) 2010-現在
ボードゲームポッドキャストを定期的に配信している。バブル大佐とマダムザザ(どちらも男性)が2人で飲みながらボードゲームの話をするのが、どんどん脱線していくのが面白い。CDに焼いて、車の中で聴くほど好き。
部屋とボードゲームと私と酒と泪と男と女 (URL) 2010-現在
個人輸入の仕方やボードゲームの社会的認知など、レビュー以外のエッセイにも力を入れている。意見は至極真面目なのに随所に笑いがさりげなく散りばめられており、読んでいて楽しい。管理人jun1sさん。
以上、約15年にわたって管理人が見てきたサイトを紹介した。このほかにも、読者の皆さんにとって思い出深いサイトがたくさんあることと思うので、コメントかツイートして頂けたら幸いです。すでに動画サイトも始まっているが、これからまた5年、10年とどんなスタイルのボードゲームサイトが生まれるか楽しみにしよう。
・ボードゲームサイト史(-2000)
・ボードゲームサイト史(2001-2005)
サンティアーゴ・デ・クーバ(Santiago de Cuba)
一足お先に積み込んで
「聖ヤコブ」から名前を取ったサンティアーゴは、チリの首都のみならず、中南米、ヨーロッパ、アフリカの各地にある。このゲームではそのうち、キューバ南東の都市が舞台。『キューバ(及び拡張エル・プレジデンテ)』『ハバナ』に続くエッガートシュピーレ社のキューバシリーズ第3弾となる。作者は『キューバ』と同じく、M.リーネック。もう1人のS.シュタドラーは入っていない。エッセン国際ゲーム祭のスカウトアクションで9位。
ロンデルをメインにした、ドイツゲームらしい骨太なリソースマネージメントゲームである。環状になったマスを移動してサトウキビ、柑橘類、タバコを手に入れ、建物の効果でラム酒、葉巻に加工して、港に停泊している船に積み、勝利点を稼ぐ。
はじめにサトウキビ2個、柑橘類4個、タバコ2個、ラム酒1個、葉巻なしというように、今回の船が必要としている品物がダイスで決められる。これらを集めて、ほかの人より先に積み込むのが目標だ。
手番には10マスあるメインストリートを、全員共通の車で回る。右回りで、1マスは無料、2マスは1ペソ、3マスは2ペソというようにたくさん進むほど費用がかさむという、いわゆるロンデルシステム。各マスにはキューバ人がおり、品物やお金などを取ることができる。
その後、止まったマスに対応する建物を1つ使う。建物ではタバコを葉巻に、サトウキビをラム酒に加工したり、得点をお金に換えたり、船にすぐ積んだり、キューバ人を使えなくしたりできる。
キューバ人は、お金の制限があるので事実上2〜3択、建物は対応しているものに限られるので3択しかない。選択肢はあまり多くないのでプレイ感はすっきりしている。それでいて十分悩ましいのはドイツゲームらしい。
メインストリートの中に、港があって、ここに止まると船への出荷が始まる。手番プレイヤーから1種類ずつ、船の需要まで積み、その分の勝利点を受け取る。ほかの人も積めるので、自分が極端に有利なチャンスはなかなか回ってこない。その代わり港を飛ばすと、積んだときの勝利点が上がる。港にしばらく止まっていないとジャックポットのようになるのがエキサイティングだ。
勝利点は品物を船に積まなくても、キューバ人や建物で徐々に増やすという手もある。さらにキューバ人の中に建物を所有できるのがあって、ほかの人が使うたびに毎回、得点が入るようになる。しかし得点を取らせてもその建物を使いたいか、それとも効果はあまりなくても所有者のいない建物を使うかという悩みが、後半に生まれる。
船は荷物をすべて積むか、港を3回通過したら出港し、次の船がやってくる(品物の数はダイスで決める)。7回船が出たら終了。
序盤はお互い牽制してなかなか出港できない。そのうちcarlさんが千載一遇のチャンスでタバコを出荷し大量得点。その後もダンサーのマリアで手堅く稼ぎ1位。くさのまさんは早いうちに建物を所有していったが、思ったほど使ってもらえなかった。carlさんの次手番で品物がかぶっていた私は出港が遅れた。
コマの種類も選択肢も少ないのに、悩むことは多い。得点の仕方はいくつかあるが、どれに偏っても勝てない。要素をぎりぎりまで絞り込んだ濃厚なプレイ感がよかった。
Santiago de Cuba
M.リーネック/エッガートシュピーレ(2011年)
2〜4人用/10歳以上/60分
・ゲームストアバネスト:サンチアゴ・デ・キューバ
・ショップ検索:サンティアーゴ・デ・クーバ