似顔絵探偵(Painter Detective)
あやふやな記憶、テキトーな証言
近年は防犯カメラの普及でだいぶ減ったようだが、目撃情報をもとに犯人のモンタージュ写真が公開されることがある。グリコ・森永事件の「キツネ目の男」はものすごいインパクトがあった。しかし、あれはどれほど信用に足るものなのだろうか。
このゲームでは、犯人のおぼろげな記憶をもとに証言して、それを聞いて似顔絵を作り、そこから犯人を当てる。記憶のあやふやさを楽しむゲームだ。2015年の大阪ボードゲームフリーマーケットで発表され、2016神戸でゲームマーケットデビューした。
似顔絵を描くプレイヤーを除いて全員が、犯人のイラストを5秒だけ見る。それからカードを伏せて、誰がどのパーツを証言するか割り当てられる。輪郭、目・眉毛、口・髭、髪・耳、鼻、ホクロ・傷・ピアス・ソバカス・シワ。順番に似顔絵を描くプレイヤーに対して説明し、それを聞いて似顔絵を作成する。「目はタレ目で、眉毛も垂れ下がっていました」「右目の下にホクロがありました」「口はたらこ唇ですが、小さめです」・・・
絵を描き終わったら、犯人が誰だったかを、1分以内にカードの山から探しだす。当たれば、似顔絵を描いたプレイヤーに1点と、特定の手がかりになったプレイヤーに1点。外れたら、犯人のイラストと見比べて、特徴をよく伝えていた2人に1点が入る。数ラウンド行って得点の多い人が勝ち。
「目は、悪そうな感じ」「鼻は普通でした」曖昧な記憶に、曖昧な証言。記憶は砂の城のようにどんどん消え去っていくため、思い出そうとしても思い出せず、全体的なイメージで適当に喋ってしまう。前の人が証言している間にも忘れてしまう始末。
どのパーツの証言をするかが、絵を見終わった後に割り当てられるのがニクい演出である。実際の犯人の絵が出るたびに、「ヒゲなんてないじゃん!」「顔の形が違う!」など、ツッコミが入って盛り上がっていた。
似顔絵探偵
前田部長&おーつぼじゅうじん/JoyntGame Factory(2015年)
3~7人用/9歳以上/40分
すごろくや:似顔絵探偵
ゲームが増えるほど遊べなくなるジレンマ
アメリカのボードゲームサイト”The Daily Worker Placement”(http://dailyworkerplacement.com/)では、大規模なボードゲーム愛好者のアンケートを行い、結果を4回に分けて発表した。2400人が回答し、アメリカ人が半数を超える。既婚率52%、男性75%で、年代別では25~34歳が42%と最も多いなど興味深い結果となっている。
その中に、ボードゲームの所有数と、1タイトルあたりの平均プレイ数を比較したものがある(SURVEY RESULTS #4: COLLECTIONS, TEACHING, AND LEARNING)。所有数は2つの山があり、10~25タイトルと、55~99タイトルがともに約15%である。その先は100~149タイトルが14%、150~249タイトルが10%とゆるやかに減少するが、1000タイトル以上も2%いる。
1タイトルを平均どれくらいの回数遊ぶかという質問では、3~5回という回答と、10回以上という回答が多い。もっと遊びたいという人が88%になるが、時間がない(77%)、仲間が集まらない(45%)、新しいゲームがどんどん出る(35%)という答えが多く、インストが面倒くさいという答えは16.5%に過ぎない。私の感覚もこれに一致する。
この平均プレイ数を、所有数別に分けたグラフがある。これによると、所有数が25タイトルまでは10回以上遊ぶという人が最も多いが、26タイトル以上になると5回という答えが最も多くなる。さらに150タイトルを超えると3回、1000タイトルを超えると1回しか遊ばなくなる。一方、10回以上遊ぶという割合は、50タイトルを超えたところから激減する。
ゲームを2倍に増やすことは割と容易にできても(自然とそうなるというべきかもしれない)、プレイ時間を2倍に増やすのは難しい。所有ゲーム数が30タイトルぐらいになったら、一度自分のプレイスタイルを見直してみよう。意図的に買い控えて、手持ちのゲームをもっとじっくり遊ぶという楽しみ方もある。
あるいはそれ以上増えても、ゲーム会に毎回遊びたいゲーム数タイトルの枠を用意しておいて、定番→新作→定番→新作というようにバランスよく遊ぶという方法もある。特に普段遊ばない人がいる場合には、たとえ新作を積んででも毎回遊ぶ定番を出していったほうがよいだろう。ゲームが増えるほど遊べなくなるジレンマは、せいぜいマニアの悩みにとどめておくのがよい。
私の場合、この頃の定例会は未プレイばかりになりがちで、それはそれで楽しいのであるが、これとは別に地元のカジュアルプレイヤーとド定番を遊んでバランスをとっている。