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グッズメイカー(Goods Maker)

小人付きわらしべ長者

資源をグレードアップして建物を建築するリソースマネージメントゲーム。『リトルタウンビルダーズ』のStudio GGがゲームマーケット2020秋で発売した。『リトルタウンビルダーズ』と同様、海外版”Little Factory”がイエロ(フランス)から今夏発売されることになっている。

木や麦などの基礎資源、炭や小麦粉などの一次資源、石壁や樽などの二次資源、そして建物カードを並べてゲームスタート。手番には、基礎資源を場札から拾うか、手札の資源を支払って上位の資源や建物を獲得するか、手札の資源を売って同じ価値以下の場札を獲得する。木を炭にして、小麦を小麦粉にして、炭と小麦粉でパンにして、パンを売って釣り竿とレンガを買うというように、わらしべ長者のように資源がアップグレードしていく。1回の手番ではこのうち1アクションだけだが、その分、手番のめぐりが早い。

一次、二次の資源を組み合わせると、建物カードを獲得できる。建物はそれ自体が得点になるほか、小人が住んでいて手番外アクションができる。例えば「チーズ工房」なら、樽と牛乳があれば3点にしてもらえる。もっとも、指定された資源は自力調達しなければならないので、揃えるのは容易ではない。10点先取制。

必要な資源が場にあるとは限らず、順調な他プレイヤーを尻目に足踏みすることはある。そんなときは売買アクションで思い切った方針転換をできるかどうかが鍵になりそうだ。また、高級な建物を作った後は基礎資源を拾うところから出直しになって気が遠くなることもある。建物のコンボをうまく組んで次の建物までショートカットしたいところだ。

グッズメイカー
ゲームデザイン・Shun & Aya/イラスト・Aya
Studio GG(2020年)
2~4人用/12歳以上/30分

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キャットインザボックス(Cat in the box)

存在可能性の消去

15分以内で終わるコミュニケーションゲームと並んでゲームマーケットで盛んなジャンルが、トリックテイキングゲームである。ボードゲーム愛好者の中には一定数、トリックテイキングをこよなく愛する層がおり、一般には割と取っつきにくいこのジャンルを支えている。

ゲームマーケット2020秋でもいくつかのトリックテイキングゲームが発表されたが、その中で最も注目されたのがこの作品だ。獲得トリック数を予想して当たれば得点となるビッド系だが、カードは1色で、スートはプレイするときに決めるというアイデアが非常に斬新である(モチーフは「シュレーディンガーの猫」)。果たしてゲームはどのように成り立っているのか。

スタートプレイヤーから手札を1枚ずつ出し、出すときに4色のうち何色か宣言する(写真では緑の3をプレイしたことになる)。マストフォローのルールが適用され、別の色にしたいときは、「その色はもう持っていない(=これ以降その色を選べない)」ということを宣言しなければならない。

さらに、カードを出すたびに、「研究シート」で対応する色・数字(緑の3など)のマスにチップを置く。その色・数字は世の中に1つしかなく、誰も出すことができなくなる。こうして出せるカードはどんどん少なくなっていき、手札のどのカードも出せないという状況が起こる。これが「パラドックス」で、そのトリックはノーカウントとしてラウンドを終了し、得点計算に移る。

得点計算は獲得トリックが1回1点、ビッド正解でボーナス点。ただし「パラドックス」を発生させたプレイヤーは獲得トリック1回につきマイナス1点で、ボーナスはない。

ボーナス点にもうひとつ面白い仕掛けがある。それはカードを出すたびに置いていった自分のチップが縦横に連続する最大グループがボーナス点になるというもの。このボーナスを狙って、カードを出すときに出す色や数字を変えなければならないことがある。これがまた、パラドックスを誘因するのだ。

パラドックスが起こらないように、いろいろな数字を残しておきたいところだが、残り2枚くらいで起こることが多く、どうしようもないこともある。絶体絶命かと思ったら前の人がパラドックスを起こして助かることも。このあたりのコントロールできそうでできない不透明感が、終盤の興奮曲線を上げ続ける。世界中のトリックテイキング愛好者に遊んでほしい一品。

Cat in the box
ゲームデザイン・横内宗幸/イラスト・井上磨
操られ人形館(2020年)
3~4人用/10歳以上/30~45分