バンコクの運河(Bangkok Klongs)

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おとなりさん、サワディーカー
去年大規模な洪水に巻き込まれたバンコクは海抜2mくらいしかなく、市内を流れるチャオプラヤー川や運河の水運も盛んである。周辺には水上マーケットがあり、観光スポットにもなっている。船がお店になっており、おみやげから軽食までさまざまな買い物が楽しめる。
ボートがひしめきあい、賑やかに商売する様子が、このゲームでも伝わってくる。ボートがほとんど移動できない中で、自分の船をいい場所に配置して高得点を狙う。
バンコクの運河
新鋭のドイツメーカーdlpゲームズが発売したこの作品は、ベルギーのジョーカー賞を受賞している。『アグリコラ』のK.フレンツが手がけたイラストが美しく、またゲーム内容も船の位置取りと、得点計算のタイミングをじっくり考えさせられる。
自分の番には、手持ちの4枚の船から1枚をボード上に配置し、その船に自分の商人コマを置く。船はすでに置かれている船に接して置かなければならないが、桟橋で囲まれた1区画には3つしか置くことができない。来る得点計算で、自分が高得点できるパターンを多く用意しておくのだ。
ときどきパラソルのついた船があり、これを置くとボード端のパラソルが進む。パラソルがいくつか進むごとに得点計算。パラソルを進めた人は得点がもらえるが、だからといってむやみにパラソルを進めると自分の体勢が整う前に得点計算に突入してしまう。どこでパラソルの船を出すかも考えどころだ。
得点計算はゲーム中に3回しかない。順番に4つの船が固まっているところを指定し、そこにある船のバスケットの数×自分の商人コマの数で得点。このとき4つの船にほかの人の船が混じっていると、その人にも得点が入るところが面白い。共存共栄、Win-Winの関係をいろいろなところに作っておけば便乗できるだろう。
得点計算が終わったところからは、自分の船を1つ取り除いて手元に置く。船を1つ取り除くことで、そのとなりの4つ1組が崩れれば得点計算ができなくなる。取り除いて得点計算を阻止したほうがいいのか、残して別の得点計算に絡んだほうが得なのか、よく考えたい。また、手元に置いた船は、積んである商品によってゲーム終了時にボーナスが入る。
そのようなわけで得点計算の順序が勝敗を分ける。先手が有利なのはいうまでもない。2回目までの得点計算は、パラソルを進めた人が先だが、最後の得点計算は得点の低い人が先。トップで最終決算を迎えると、確実に叩かれる……いや、叩かれました。
2回の得点計算で2位以下に20点以上の差をつけてトップ。逃げ切れるかと思ったが、それまでに自分の商人コマを戻しすぎたこともあって最終決算は0点。船のボーナスも振るわず、一気に3位に下がってしまった。最後にぶっちぎりで優勝したのは、あちこちに一見無駄そうな商人コマをばらまいていたtomokさん。
直接攻撃色が強くトップを追い落とすゲームだが、「得点計算をさせない」というかたちの攻撃なのですさまない。それよりもどこに船を置けばより安全に、より高得点ができるかというパズル思考のウェイトが高い。じっくり考えて、混み混みの船の中に最良の一手が見つかったときのうれしさ。水上マーケットでお宝をゲットしたらこんな気分なのだろうか。
Bangkok Klongs
M.シュレーゲル/dlpゲームズ(2010年)
2〜4人用/10歳以上/60分
ボードゲームフリーク:バンコクの運河

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