ハワイ人は食わねど高楊枝
ハワイと日本の結びつきは観光にとどまらない。明治時代からハワイへの移住が始まり、日系人は14%ほどにもなる。日本の寺院や神社もあり、仏教徒も少なくない。また高見山、曙、小錦、武蔵丸などのハワイ出身力士は日本中を湧かせてきた。
ハワイ州にはハワイ島のほかに、100以上の島がある。このゲームでは各自自分の島をもち、果物を栽培したり神殿を建てたりして、豊かな村を築く。南国の明るい雰囲気とは裏腹に、常に計算してめいっぱいはたらかなくてはならないシビアなゲームだ。
メーカーはドイツのハンス・イム・グリュック社。ファミリーゲームに流れるドイツゲームメーカーの中で、頑なにフリーク向けの作品を作り続けている。ブタに乗ったハンスのロゴの信頼は厚い。そのハンス社が、世界中の愛好者が集うエッセン国際ゲーム祭に合わせて用意した作品。スカウトアクションでは5位に入った。デザイナーのデーグルはアメリカ人で、これが初の作品。新人デザイナーを発掘してくるのも、ハンスの得意技だ。
毎ラウンド、足コマを使って中央の島を移動し、貝コマを使ってタイルを購入して、自分の島に並べていく。遠い場所ほど足が多く必要で、後から買うほどは高い。足コマも貝コマも限られた中で、効率のよい発展を目指すには、買う順序を考えて先手を取る必要がある。移動できる足はあるのに貝がないとか、購入できる貝はあるのにもう移動できないのはしょっちゅう。
タイルは、特殊能力になるものと得点になるものに分けられる。遠くに行くにも足コマ1つでいける神殿や、足コマにも貝コマにも使えるフルーツコマがもらえる果樹園、遠方の島に行ってボーナスを手に入れられる船などは序盤に買いたいところ。一方、もっているタイルによってボーナスが入る建物や、得点化できる島の領域を広げるお面などは徐々に手に入れておきたい。額面の倍払えば、裏返して強力なタイルにすることもできる。
もうやれることがないと思ったら、ホームへ。先に戻れば次のラウンドの手番が先になったり、追加の買い物ポイントをもらえたりする。
さて全員がホームに戻ったところでラウンドボーナス。規定以上の買い物ポイントを集めた人だけが、買い物ポイント順にもらえる。この点数が非常に大きいので、決して逃したくないところ……だが。
買い物ポイントを集めるのに必要な足コマと貝コマは、ラウンドの最初に補充される。これが、ラウンドごとにどんどん減らされるのだ。しかし、ラウンドボーナスを得るために必要な買い物ポイントは逆にどんどん上がっていく。金はないのに、たくさん買わないと得点できないって、何このマゾゲー。
もちろん、フルーツコマや、買い物ポイントの規定を下げるタイルなど、この対策も用意されている。しかしそれもお金を払って買い続けないといけないわけで、実に厳しい。毎ラウンド終盤になると、「あと○ポイントでクリアできるから、あっちでこれを買って、先にホームに帰ればOKだな。いや、でもこれを買われたらどうしよう……」とソロバンを弾かなくてはならない。最後は点数の多い人が勝ち。
初手で移動が楽になるタイルを取ったのが奏功して、節約した足コマで航海につぎ込むことができた。果樹園を一切取らなかったため貝コマのほうは足りず、終盤は本当に苦しかったが、強力なタイルで大量得点して何とか逃げ切った。果物を集めに行ったstさんは終盤追い上げたが及ばず、神尾さんは航海に力を入れすぎてラウンドボーナスを2回も落としてしまった。
緻密な計算の必要があるアクションに頭から湯気が出そうだが、その分終わった後の充実感がものすごい。これぞハンスの実力なのだと感じた。
Hawaii
G.デーグル作/ハンス・イム・グリュック(2011年)
2〜5人用/10歳以上/75分
メビウスゲームズ:ハワイ