生成AIとボードゲームデザイン/グラフィックデザイン
ボードゲーム専門のクラウドファンディングサイト「Gamefound」は2月23日、利用規約を改定し、生成AIを使用した場合には、そのことを明示するというルールを追加した。製品のイラストやグラフィックだけでなく、テキストやメカニクス要素、広告の紹介文や動画などに至るまで全般的にカバーし、違反した場合はプロジェクトの停止や利用禁止になるという。
キックスターターも2023年から生成AI使用の開示を義務付けており、これに従って翌年、『テラフォーミング・マーズ:プレリュード2/オートマ』のプロジェクトで生成AIの使用が明らかになった。Gamefoundではこの年、『プエルトリコ:スペシャルエディション』のプロジェクトで生成AIアート使用が疑われ、オリジナルの版元であるラベンスバーガー社が介入して差し替えられた経緯がある。Boardgamegeekでは、アートワークにAIを使用した(疑いのある)ボードゲームが「購入やバックの判断材料として」リスト化されている。
生成AIの使用のついて
クリエイターが生成型人工知能(AI)ツール(AIベースのテキスト、画像、動画などを含むがこれらに限定されない)を使用して、Gamefoundプロジェクトページに掲載されるコンテンツ(キャンペーン説明、ビジュアル素材、プロモーション動画、その他のマーケティング資料など)を作成する場合、またはキャンペーンやプレッジマネージャーの一部として提供される製品の制作・開発においてAIを使用する場合(特にAIがビジュアル、テキスト、物語性、メカニクス要素に貢献する場合)、プロジェクトページ上でその事実を明確に開示しなければなりません。開示内容は以下の要件を満たす必要があります。
– AIを使用して生成されたコンテンツの具体的な要素を特定すること
– 支援者が支援を開始する前に閲覧可能であること
– プロジェクトの提示方法において明確性と透明性を維持すること
クリエイターがGamefoundプロジェクトページに掲載したコンテンツにおける生成AIの使用を開示しなかった場合、Gamefoundは独自の裁量により以下の措置を講じることがあります。
– プラットフォーム上でのプロジェクトの可視性を停止し、支援者が一時的にアクセスできないようにする
– キャンペーンを一時的に非表示または停止する
– 開示不足について支援者へ公開通知を発出する
– クリエイターのアカウントまたは一部機能を制限する
– キャンペーンをプラットフォームのプロモーション対象から除外する
繰り返しの違反または意図的な違反は、特に開示不足が支援者を誤解させたり第三者の権利を侵害したりする場合、プラットフォームからの永久的な削除につながる可能性があります。
Gamefoundは、生成AIの使用に関する情報または主張を含む、プロジェクトページ上でクリエイターが提供するコンテンツについて一切の責任を負いません。すべてのコンテンツはクリエイターの単独の責任となります。
この規約はもちろん、生成AIの使用自体を禁止するものではないが、情報開示不足による支援者の誤解や、第三者の権利侵害の可能性が示されている。この件を取り上げたE.マーティン氏は、既存のアート作品を何千点も無償で素材として使用している問題以上に、愛好者と出版社の信頼感がゆらぐことを懸念している。
生成AIがボードゲーム製作に使われていることに否定的な世論は根強い。先月、AEG(アメリカ)のR.ダンシー氏がLinkedInにて、ボードゲームデザインにおけるAIの活用について、「AIは人間の楽しみの要素を理解していないため、『タイニータウン』『フリップ7』『キュビトス』のようなアイデアを搭載できない」という意見に対し、「複数のAIのプロンプトによってすぐにでもそれぐらいのゲームのアイデアは出せる」と発言。これに批判が相次ぎ、「もうAEG社の製品は買わない」と言い出す人も現れて、ダンシー氏はAEG社のCOOを解任されることになった。
批判は人間であるデザイナーやイラストレーターの軽視と、革新性・インスピレーション・心理的葛藤・良いアイデアかどうかの評価といったAIの限界を指摘するものだった。ダンシー氏がCOOを解任される前日、AEG社のCEOであるJ.ジンサー氏はFacebookでAEGの立場を次のように述べている。
今日、AIとゲームデザインについて議論がありましたが、私の立場を明確に述べたいと思います。
30年以上にわたり、AEGは人間のデザイナーと協力し、ゲームに命を吹き込んできました。この創造的なパートナーシップ、意見のやり取り、インスピレーション、厳しい議論、共有される興奮こそが、卓上ゲームの特別な価値です。これは変わりません。
AIは興味深く強力なツールですが、ツールは創造的な関係を置き換えるものではありません。私たちの活動の核心は、人々が協力して意味あるものを生み出すことです。これがAEGを築いてきた方法であり、この核心的な信念は決して変わることはありません。
実際、AEG社では制作の根幹では生成AIを使わない方針で、生成AIを無許可で使用しないことをクリエイターとの契約に盛り込んでいる。しかし、重い罰則に反発するクリエイターもおり、ダンシー氏は「生成AI使用の判断、使用方法、制限方法、およびそれらの意思決定をどのように実施するかは、定期的に再検討すべきである」という。
現在、アメリカ卓上ゲームデザイナー協会では、会員を対象とした生成AIの利用に関するアンケートを行っている。当サイトではXにて、ビジュアル面での生成AIの使用についてアンケートを取ったところ、結果は下記の通りであった。今後、技術の発展とシンギュラリティへの到達によって、事態は急速に変わっていく可能性があり、現在はその過渡期であることは間違いない。
・Board Game Beat:Gamefound to Require Disclosure of Generative AI Use in Crowdfunding Projects
・Boargamewire:Tabletop industry veteran Ryan Dancey loses Alderac COO job after saying AI can generate game ideas as good as some of his company’s designs
ボードゲーム(商業版)のイラスト・グラフィックに生成AIを使用するのは⋯⋯
— Table Games in the World / ボードゲームニュース (@hourei) February 25, 2026
ボードゲームレビュー:題名ノない予告編(Trailer without Title)
カッコよく決めて間違う

映画の予告編といえば、最後に渋くて重厚な声で映画のタイトルを言って締める。その大御所声優が、何の映画の予告編なのか知らされておらず、目が疲れていて映像も見ない。役者たちは、与えられた台詞を読んで、大御所声優に何の映画なのかを伝えよう。かっこよく決められるか? 『沈黙ノ艦長』シリーズなど、「読み上げ系」を切り拓いているよぐゲームが、ゲームマーケット2025秋に発表した。
候補となる映画タイトルが6つ並べられ、大御所声優役のプレイヤーだけ知らない「正解」が1つ割り当てられる。Youtubeでこのゲーム用に用意された音楽(1分半、6種類)をかけて、他プレイヤーは順番に手札のセリフカードからセリフや効果音を出して、正解となる映画を伝える。音楽が終わったら、大御所声優役のプレイヤーはいい声でカッコよく、映画タイトルを決める。「正解」だったら全員の勝利。
セリフカードは上下に別れ、どちらかを選んで出すことができる。とはいえ、映画にぴったり合うセリフとは限らず、映画の候補も同系統があるため、時間が来て大御所声優役のプレイヤーに「はいどうぞ!」というのはたくろう並みの無茶振り。自信たっぷりに言った映画タイトルが違っているのが笑える。終わってからの感想戦も楽しい。
ゲームデザイン&イラスト:赤瀬よぐ
よぐゲーム(2025年)
3~6人用/10歳以上/5分
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