ウィンターキングダム(Winter Kingdom)
毎回増えていく追加アクション
2012年のドイツ年間ゲーム大賞『キングダムビルダー』から約10年。振り返ればこれ以降、45分を超える作品も、エリアコントロール(陣取り)ゲームも大賞を受賞しておらず、それがもはやトレンドではないとわかっていても、90年代のドイツゲーム黄金期から見ると寂しい気もする。そこに空気を読まないクイーンゲームズがぶちこんできたのがこの作品である。それなりの重さがあった『キングダムビルダー』をさらに重くして、公称の60分では終わらない作品となった。
毎手番、引いたカードの地形に家コマを3個、すでに置いた自分のコマに隣接するように置くというのは変わらない。何が得点になるかは3枚のカードで決められ、ゲームごとに変わるのも同じ。地形カードが一択なので、置ける場所は限られ、そのため広いマップでも『キングダムビルダー』は45分で遊べたのだった。
今回新たに追加されたのは、「3個の家コマを一直線に配置する」など、毎ゲーム収入条件が変わるお金と、そのお金を支払ってできる能力カードである。能力カードはあらかじめ5枚配られており、1手番に1つの能力を獲得できる。獲得すると、毎手番好きなタイミングで使える追加アクションになる。
プレイヤーごとに異なり、順番自由な追加アクション。終盤には8アクションぐらいになり、全部使わなくてもよいので、理論上は何万通りもあることになる。アクションが増えればできることも増えるので、盤面とアクションを見比べて、妙手はないものかと長考することになる。慣れてくればもっと早く打てるようになるのかもしれないが、得点条件はゲームごとに変わるので、相当やりこまなければ筋は見えてこないだろう。
エリアコントロールによる強いインタラクションに、どんどん増えていく追加アクション。『キングダムビルダー』は物足りないというヘビーユーロゲーマー向けの作品である。
Winter Kindom
ゲームデザイン・D.ヴァッカリーノ/イラスト・D.ローハウゼン
クイーンゲームズ(2020年)
2~4人用/14歳以上/45~60分
メビウスゲームズ:ウィンターキングダム