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オモゾンクライム(Omozon Crime)

この素敵なAEDが、今だけ半額で!

通販番組のうさんくささはついていけない。アナウンサーも巻き込んだわざとらしさ、もうひとつ付いて同じお値段という不思議、「限定○セット」「今だけ」「○分以内」という煽り……そっとチャンネルを変えることになる。

そんな通販のうさんくささをゲームにして楽しもうというのがこの作品。親が指定したお題に答える商品を、自分のスマホの通販サイトで注文/閲覧履歴から選び出してプレゼンするコミュニケーションゲームで、アクサン・シルコンフレックスがゲームマーケット2021春に発表した。こじつけたおすすめ商品に、うさんくさい画像カードの相乗効果がすごい。

親は3枚の単語カードから組み合わせて「今ほしいもの」を発表し、注文履歴か閲覧履歴のどちらかを指示。各自自分のスマホで通販サイトを開いて、指示された履歴をずらっとみて、単語カードに合いそうなものを1分以内で決める。その商品画像を出したまま、手持ちの画像カードを並べて発表。

親は最も魅力的だと思ったものをひとつ選んで、スターをあげる。親を一周して、スターが多かった人の勝ち。

親が発表した「今ほしいもの」に履歴がマッチすることはまずなく、苦しまぎれのこじつけを余儀なくされる。横につけた画像カードがどれもうさんくさいものばかりで、こじつけのおすすめがさらに不自然になり、笑いとツッコミを生むことになる。でもときに一周回って妙に説得力を持ち、本当に買ってみようかなと思わせるのが面白い。

「なんでそんな商品閲覧したことがあるんですか?」でさらにひとしきり会話が弾む。

オモゾンクライム
ゲームデザイン・こやしゅん/アートワーク・石原幽平&勝林
アクサン・シルコンフレックス
3~6人用/13歳以上/15~30分

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アマタノ儀式(A Lot of Rituals)

伝えたい単語がないときは?

さまざまな人工言語で指示をして、4つのアイテムで儀式を行うコミュニケーションゲーム。よぐゲームズがゲームマーケット2021大阪で発表した。10分間で10問をクリアする協力ゲームモードと、正解によるポイントを競う対戦ゲームモードがある。

カードの組み合わせで「何を」「どうする」が決められるので、師匠(親)は辞書を見ながら今回の言語で指示する。通訳者はその指示を聞いて、ほかのプレイヤーに日本語で指示する。ほかのプレイヤーはその指示を聞いてアイテムをもったりもたなかったりし、今回の「呪文」を唱える。正解ならば師匠が正解であることを宣言して次のお題へ。こうして10分以内に10問クリアするのが協力ゲームモードだ。

チュートリアルで使う「レンシュー語」では例えば、師匠が「マルマナッチュ、レフタルデデツーカ(自然の丸いものを左手で持つ)」と言い、通訳が辞書を見ながら「石を左手で持ち、ジュモモーンと言ってください」というように指示する。他の人がその通りにできれば師匠が「イエース」といって次のお題へ。

いちいち辞書を見ていると時間がなくなるので、よく使う言い回しはできるだけ早く覚えてシェアしないと、時間内では終わらないだろう。

1ゲームでは1言語しか使わないが、全部で26の言語が本になって収録されている。使うアイテムと行動は変わらないが、肝心の単語がなかったり、どの単語も非常に似通っていたり、辞書の解読が必要になったりして一筋縄では行かない。師匠には創造力が、通訳には解釈力が、他のプレイヤーには理解力が求められる。

それでも最初はたどたどしかったのが、時間が迫るにつれてネイティブ?と思うくらいになってきて心地よい。次第に他プレイヤーが師匠の言葉で直接儀式ができるようになれば、通訳はちょっと補うだけでよい。聞いたこともない言葉で通じ合うことで生まれる一体感が、協力ゲームの醍醐味を引き立たせている。

アマタの儀式
ゲームデザイン&アートワーク・赤瀬よぐ
よぐゲームズ(2021年)
3~6人用/10歳以上/20~30分