シュピール’21:ディーププリントゲームズ
ゲームデザイン・S.バウアー、イラスト・D.ローハウゼン、1~4人用、12歳以上、60~120分。
古い工場で錆びていく機械を管理しながらさまざまな製品を生産するエンジンビルドゲーム。デザイナーは新人でデビュー作。
各自、自分の工場ボードとエンジニアカードをもってスタート。手番にはエンジニアカードをプレイして新しいエンジニアを獲得したり、工場設備を増やしたりするか、工場を稼働させる。工場を稼働させるたびに機械が劣化し、最後は廃棄しなければならない。どんどん入れ替わっていく設備のコンボを考えるだけでなく、腐食しないクロム加工の機械を増強して、安定した生産を目指す。
工場では水蒸気で大中小の歯車を作り、歯車を勝利点にする。特定の設備で獲得できる特別勝利点マーカーや条件ボーナスカードが3枚以下になったらゲーム終了で、ゲーム中に生産した勝利点、設備の勝利点、条件ボーナスカードの勝利点の合計で勝敗を決める。
ゲームデザイン・M.キースリング&W.クラマー、イラスト・A.ヘラー、1~4人用、8歳以上、20~40分。
アフリカの公園で動物を集め、住みよい環境を作るパズルゲーム。同社でキースリングとクラマーのコンビ作品は『リネイチャー』に続き2年連続。
各自、プレイヤーボードにランダムに動物タイルを並べてスタート。手番プレイヤーが指定した動物タイルを全員が取り、空きマスに移動して裏返す。これを繰り返して全部の動物タイルの移動が終わったらゲーム終了で得点計算。
動物タイルは1~3匹の動物が描かれており、茂み1つのマスに隣接する1匹の動物タイル、茂み2つに隣接する2匹の動物タイル、茂み3つに隣接する3匹の動物タイルが得点。さらに、動物の移動でつぶさなかった草と木、動物ごとに連続している頭数×そこにある水場が得点になる。木や茂みの位置を変えるルール、追加ボーナスのあるライオン入りルール、キッズ向けルール、ソロルールあり。
アナンシ(Anansi)
ガッカリからニッコリ
ヘビやハチやヒョウの面白い物語をして聴衆を楽しませるというテーマのトリックテイキングゲーム。自然の調和をテーマにした『エタニティ』(2016年)をテーマ替えリメイクしたもので、ハイデルベアゲームズ(ドイツ)から発売された。退屈そうにしているおじさんが、トリックを取ってあげると喜んでくれるのがいい。
スートは3つで、各プレイヤーに配られるほかに、中央の場に2枚出して切り札が決まる(一番数字の大きいカードが出ているスート)。トリックテイキングはマストフォローで、フォローできないとき切り札があれば出さなければならないというルール。
このとき、カードを出してもトリックテイキングに参加せず、聴衆カードを獲得するという選択肢がある。カードに付いている聴衆マークの数だけ、聴衆カードを受け取り、退屈そうにしている面にしておく。聴衆カード用に出されたカードは中央の場に置き、切り札が変わる可能性がある。手札に多いスートを切り札にしたいところだが、そのためにそのスートを1枚出さなければならないところがジレンマ。
この聴衆は、獲得したトリックを与えると裏返って喜んだ面になる。ラウンド終了までに、獲得した聴衆カードを全て喜んだ面にできれば得点になる。さらに獲得トリック数と聴衆カード枚数が同じだったらボーナス(ピタリ賞)がある。一方、退屈そうにしている面の聴衆が1枚でもあれば0点。つまり、ゲーム中に獲得トリック目標を調整できるというわけである。意外とたくさんトリックが取れたら、聴衆カードを追加してもよいが、欲張って無得点にならないようにしたい。
3ラウンドの合計得点を競う。ピタリ賞の得点はだんだん上がっていくので、逆転もできるだろう。
ピタリ賞を狙って獲得トリック数を調整するのはテクニカルで、それでいて最終トリックでのドラマもある。トリックテイキングはプレイ中にテーマ性を感じにくいものだが、聴衆の顔のイラスト(ナイジェリアと南アフリカのイラストレーターらしい)のおかげで「何としてでももう1トリック取ってあげなきゃ」という気持ちになれる。
Anansi
ゲームデザイン・C.ブロンデル&J.ドラトワ
イラスト・D.バイエグンヒ&E.ムドラローズ
ハイデルベアゲームズ(2020年)
3~5人用/10歳以上/25~30分
ボードゲームキューブ:アナンシ