もしも勇者がいるのなら(The Brave and Tyrants)
最後の1枚がキャラ交換
カードを1枚ずつ一斉出しでプレイしていって、最後の1枚で勝利条件を満たすカードゲーム。ゲームマーケットでは2021秋の新作だが、昨年からクラウドファンディングが始まり、すでに発売されている。
最初に配られる7枚のカード構成は皆同じで、そこから使わない2枚を出してスタート。みんなが出したカードは中央に並べられ、どのカードがあと何枚出ていないか把握することができる。
残る5枚から1枚を選び、一斉にオープン。1番から順に能力を解決していって、他キャラクターの無効化やチップ(お金、信仰、革命)のやり取りを行う。こうして最後に残った1枚の勝利条件を満たしていれば勝利となる。同じキャラクターが複数枚出る(バッティングする)と効果が変わるところがポイント。
ゲームの軸となるのは「傲慢な王族」と「異世界勇者」。「傲慢な王族」だけ出ていると全員のチップは没収されてしまうが、「異世界勇者」はその効果を無効にしてくれる。見事ヒットすれば報酬もあるが、最後まで持っていても勝利条件がないので、「傲慢な王族」を狙って毎回のように出てくる。そこをかいくぐって「傲慢な王族」が通ったときは気持ちいい。
この2キャラクターが火花をちらしている間に、他のキャラクターでコツコツとチップを貯める作戦もある。「平和な市民」はバッティングしなければ2金、バッティングすれば1信仰と、どちらでも利益があり、「温厚な大司教」は信仰をもらえるがバッティングしたほうがいい。こうしたキャラクターを最後に残し、チップの数で勝利にもちこむ手もある。
勝ち筋はいくつもあるが、残ったカードをお互いに交換してしまう「愉快な道化師」もいるため、虎視眈々と狙っていても最後までどうなるかわからない。棚からぼたもち勝利や大どんでん返しがあって、最後まで諦めないでプレイできる。
もしも勇者がいるのなら
ゲームデザイン・宮野華也/イラスト・リヨ&すわありさ/アートワーク・別府さい
MOB+(2021年)
1~7人用/13歳以上/10~30分
通販:BOOTH/ボドゲーマ/イエローサブマリン
2人用トリックテイキング『ジキルvsハイド』日本語版、11月20日発売
すごろくやは11月20日、カードゲーム『ジキルvsハイド(Jekyll vs. Hyde)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・ジオーニユ、イラスト・V.デュトレ、2人用、8歳以上、30分、2420円(税込)。
怪奇小説「ジキル博士とハイド氏」をテーマにした2人用トリックテイキングゲームで、オリジナルは2020年にマンドゥーゲームズ(韓国)から発売された。今年の国際ゲーマーズ賞2人ゲーム部門にノミネートされている。
3スートのマストフォローで10トリックを行い、ジキル役のプレイヤーは獲得トリック数が同数になるように、ハイド役のプレイヤーは獲得トリック数の差分が大きくなるように(極端に勝つか極端に負けるように)プレイする。差分だけ移動する「蝕みマーカー」が3ラウンドのうちに最後のマスに到達すればハイド役の勝ち、それを防げばジキル役の勝ちとなる。
スート間の強弱は、そのラウンドでプレイされた順で決まるが、無色の「秘薬」があり、勝者が相手の勝ち数を2回分奪ったり、お互いの手札を交換したりできる。相手の持ち札を読む戦略性と、秘薬の効果で起こるドラマの両方を併せ持った作品だ。