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ドードー(Dodo)

ゆーっくり転がる卵に焦り

山の上から転がってくるドードーの卵が落ちないよう、橋をかけて船に載せる協力ゲーム。昨年のドイツゲーム賞でキッズゲーム賞を受賞している。よくぞ作ったと思う山と橋のギミックに、子どもでなくても心が躍る。

ドードーを倒すと卵が転がり始める。卵の中はどうなっているかわからないが、おそらくスライム状のものが入っているのだろう、信じられないくらいの遅さでゆっくりゆっくり斜面を転がっていく。

最初は橋が1つだけで、その先にはかかっていないので、上から順番にかけていかなければならない。橋は、ダイスを振ってチップをめくり、出た目と同じだったら橋の上に載せて、規定枚数貯まると山に取り付けられる。出た目と違っていたらチップを戻す。他の人が在り処を教えてもよいが、焦っているので他の人の言うことを聞く余裕もなく間違えまくってしまう。

こうして橋が下まで取り付けられると、最後は船を作る。これもダイスと同じ出目のチップをめくることでできあがる。できあがったら橋の出口に船を置いて、卵が船に入れば全員の勝利となる。

子供向けのスタンダードルールはチップの中にジョーカーがあり、必要な枚数も少なめだが、大人向けにジョーカーを取り除き、枚数を増やしたルールで挑戦。橋は最後までかかったが、あと3枚というところで船が完成せず失敗(写真はゲーム後に撮ったもの)。焦って闇雲にめくり間違えまくったのが響いた。

もし成功できたら、さらに連続で成功しないと橋や船が完成しないというルールにしてもよさそう。目を引くコンポーネントなので、今度は子どもたちに出して反応を見てみたい。

Dodo
ゲームデザイン・F.ベーベンロート&M.トイブナー/イラスト・C.ブーケ&P.マファヨン
コスモス(2020年)
2~4人用/6歳以上/10分

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ドイツのボードゲーム出版社

設立または参入年代順。Wikipedia(ドイツ)などからまとめた。フランスのボードゲーム出版社まとめはこちら

1970年代以前


ラーフェンスブルガー(Ravensburger)
1883年に書籍出版業として設立。その翌年には最初のボードゲーム『地球一周旅行』を出版し、1900年には「ラーフェンスブルガー・シュピーレ」の商標を取得している。1977年に書籍とボードゲームで分社化し、1996年にF.X.シュミットを買収、1999年にゲーマー向けのブランド「アレア」を立ち上げた。青い三角形がトレードマークで安定したファミリーゲームをリリースしている。『ラビリンス』『メイクンブレイク』『ザーガランド』『スコットランドヤード』など。アレアでは『ラー』『タージマハル』『プエルトリコ』『ブルゴーニュ』『ブルームサービス』など。日本では英語読みで「ラベンスバーガー」と呼ばれることが多い。

シュミットシュピーレ(Schmidt Spiele)
1907年に設立され、国民的ボードゲーム『イライラしないで!』を製造販売。シンプルなすごろくから『アクワイア』ドイツ語版まで幅広く取り扱っていたが、97年に経営難のためブラッツが買収。経営はブラッツが引き継いだが、名称は知名度の高いシュミットが残された。2008年にドライマギアをJ.リュッティンガーから引き継ぎ、2017年にはセレクタ玩具を買収。定番ゲームに加え、キッズゲームからミドルクラスまで数多くリリースしている。『ダイヤモンド』『クワークル』『恐怖の古代寺院』『クアックサルバー』『ティーフェンタールの酒場』『ガンツ・シェーン・クレバー』など。

ノリス・シュピーレ(Noris-Spiele)
1907年にニュルンベルクで設立。第二次大戦で破壊されたが復興し、ダイスやチェスなどを経てテレビドラマをテーマにしたゲームや、J.リュッティンガー(1947~)編集によるオリジナル作品を世に出した。2001年に玩具大手ジンバグループに買収され、同社のレーベル「ゴルトジーバー」を受け持ち、2015年には同じくジンバグループ傘下に入ったツォッホ出版も運営しているが、ノリス・シュピーレの名前はクラシックなゲームやキッズゲームでしか用いられないため、ボードゲーム愛好者の知名度は低い。

FXシュミット(F.X. Schmid)
1860年に設立され、玩具やトランプを製造販売していたが、1955年からボードゲームに参入。アメリカにも支社をもつほど拡大したが、経営難のため1997年にラーフェンスブルガーが買収。FXのレーベルは2000年まで残ったが、現在は絵本のレーベルとなっている。『アウフアクセ』『貴族の務め』『ブラフ』『トーレス』で計4回、ドイツ年間ゲーム大賞を受賞している。

1980年代


ハンス・イム・グリュック出版(Hans im Glück Verlag)
1983年にB.ブルンホファー(1946~)とK.H.シュミール(1948~)によって設立。社名はグリム童話の「幸せなハンス」から。80年代からドイツ年間ゲーム大賞のノミネートされ始め、90年代には数々の受賞作によってドイツを代表する出版社になった。「『カルカソンヌ』の売上でゲーマーズゲームを作っている」ともいわれる。2017年に息子のモーリスに経営交替。『モダンアート』『エルグランデ』『チグリス・ユーフラテス』『操り人形』『マルコポーロの旅路』など。

コスモスシュピーレ(Kosmos Spiele)
1822年に書籍出版社として設立。書籍や実験器具の傍ら1985年からボードゲームに参入し、その年に『シャーロックホームズ10の怪事件』でドイツ年間ゲーム大賞を受賞。1995年に『カタンの開拓者たち』が大成功を収め、ボードゲームは一大事業となる。一時、デザイナーのK.トイバーと編集者のR.ミュラーが設立したTMシュピーレに開発を外注していたが、現在は社内開発になっている。ファミリーゲームがメインで正方形の大箱は「コスモスサイズ」と呼ばれる。『指輪物語』『ウボンゴ』『ケルト』『アンドールの伝説』『脱出:ザ・ゲーム』『ザ・クルー』など。

ハバ(Haba)
1938年に設立。高品質な木のおもちゃを中心に世界展開し、1980年代なかばからボードゲームに参入。黄色い箱のキッズゲームで知られる。2015年から「大人ハバ」と呼ばれるファミリーゲームも展開。『スティッキー』『カヤナック』『キャプテンリノ』『ザ・キー』『雅』など。

フランヨス(Franjos)
1987年設立。社名は代表とデビュー作品デザイナーに共通するファーストネーム「フランツ・ヨーゼフ」から取られた。1時間以内で終わるクラシカルな作品や、アブストラクトゲームを手掛ける。『キャントストップ』『ウミガメの島』など。

ツォッホ出版(Zoch Verlag)
1987年にK.ツォッホ(1953~)らによって設立。木製コマをふんだんに使ったゲームをはじめ、質の高いコンポーネントに定評がある。2010年に玩具大手ジンバグループに買収され、さらに2015年には先にジンバグループに入っていたノリスシュピーレに移管された。『バウザック』『にわとりのしっぽ』『ヴィラ・パレッティ』『ナイアガラ』『おばけキャッチ』など。

クイーンゲームズ(Queen Games)
1988年にR.グプタ(?~)によってキャロムメーカーとして設立され、1992年にボードゲーム出版社となる。当初はTRPGのドイツ語版を制作していたが、D.ヘン、R.クニツィア、W.クラマーなど有名デザイナーを起用したボードゲームも制作。『アルハンブラ』と『キングダムビルダー』でドイツ年間ゲーム大賞を受賞している。流行に敏感で、近年はキックスターターでの新作PRを行っている。『フレスコ』『グリュックス』など。

モスキートシュピーレ(Moskito Spiele)
ハンス・イム・グリュック社を離脱したK.H.シュミール(1948~)の個人出版社として1988年に設立。『アラカルト』『ヴァスシュティッヒ?』など。

 

アバクスシュピーレ(Abacusspiele)
アミーゴ社員だったJ.ニキシュ(?~)らによって1989年設立。ローゼンベルク、シャハトなどのデザイナーを早くから起用し、安定感のある作品を世に出してきた。近年は国外ゲームのドイツ語版に力を入れており、その分自社開発タイトルが減っている。『マンマミーア』『コロレット』『ズーロレット』など。

シュピーレ・フォン・ドリス&フランク(Spiele von Doris & Frank)
南ドイツ・エルランゲン在住のD.マテウス(1963~)とF.ネステル(1964~)が『ロバのレース』の出版を機に1989年設立。2人はその3年後に結婚。ネステル氏がデザインし、マテウス氏がイラストを担当した作品を発表した。『ミュー&メア』で初のドイツ年間ゲーム大賞ノミネート、『原始スープ』でドイツゲーム賞2位。ドイツ3賞全てに入賞した『ゾフィンズー』は日本語版になっている。

1990年代


アドルング・シュピーレ(Adlung-Spiele)
1990年設立。ミニマムな大きさの小箱カードゲームを発表していたが、2018年以降、新作リリースなし。『フェレータ』『モイタラ』『悪魔城への馬車』など。

 

 

アミーゴ(Amigo)
1980年にビジネスマンのR.ヤンセンとG.フォークトによって設立。社名はブリュッセルのホテル「アミーゴ」(スペイン語で「友達」)から。『ウノ』ドイツ語版で成功を収めたが、1992年にマテル社に版権を引き取られ経営難に陥る。投資会社による経営再建後、1995年に『マジック:ザ・ギャザリング』で立ち直り、さらに『ポケモン』『遊戯王』TCG、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を取り扱う一方、90年代からオリジナルカードゲームを手掛ける。現在もコンスタントにリリースしており、「アミーゴサイズ」と呼ばれるほど。ボードゲームは比較的少ない。『エルフェンランド』『ハリガリ』『ニムト』『ボーナンザ』『お邪魔者』など。

2Fシュピーレ(2F-Spiele)
F.フリーゼ(1970~)が1992年に設立した個人出版社。フリーゼのイニシャルをとって1994年に社名を現在の名前にし、作品名も全てイニシャルのFから始まる。『電力会社』『フルーツジュース』など。実験的な作品、癖の強い作品が多くあまり一般向きではないが、その分熱心な愛好者がいる。

 

ドライマギア・シュピーレ(Drei Magier Spiele)
ノリス・シュピーレでボードゲームを制作していたJ.リュッティンガー(1947~)らが1994年に設立。キッズゲームやライトゲームをリリースしてきた。2008年にリュッティンガーがシュミットシュピーレに経営を譲渡して退任し、シュミットシュピーレのレーベルとなっている。『ごきぶりポーカー』『こぶたのおんぶレース』『ビス20』など。

 

ゴルトジーバーシュピーレ(Goldsieber Spiele)
1995年、玩具大手ジンバトイズの1レーベルとして設立。デザイナーゲームで一世を風靡したが、2002年からはジンバグループが買収したノリス・シュピーレのもと制作されるようになり、2009年を最後に活動終了。『1号線で行こう』『ミシシッピクイーン』『王と枢機卿』『ピラミアペドロ』など。

 

 

エッガートシュピーレ(Eggertspiele)
P.エッガート(?~)が個人出版社として1996年に設立。やがてエッガート以外の作品を取り上げるようになり、運の要素が少なく、斬新なメカニクスのゲーマーズゲームで頭角を現した。2017年にプランBゲームズ(カナダ)に買収され、同社のレーベルとなったが、プランBゲームズがアスモデに再買収され、エッガートらがディーププリントゲームズを設立したため、先行きは不透明となっている。『村の人生』『倉庫の街』『ロココの仕立て屋』『キャメルアップ』『モンバサ』『グレートウェスタントレイル』『ヘブン&エール』など。

ペガズスシュピーレ(Pegasus Spiele)
1993年に設立。ファンタジーゲーム、TRPG、TCGを手掛けていたが、1997年にボードゲームを発売。2011年から2017年までは、エッガートシュピーレと業務提携していた。『パンデミック』など国外ゲームのドイツ語版を数多く扱いつつもオリジナルゲームも制作。流通販売も担うことで国内外を問わずキッズゲームやゲーマーズゲームまで幅を広げ、話題作を多く取り扱っている。『交易王』『ポートロイヤル』『アクアスフィア』『イスタンブール』『ドーフロマンティック』など。

2000年代


ルックアウトゲームズ(Lookout Games)
2000年にH.ギルケ(1972~)、U.ローゼンベルク(1970~)、M.A.カサソラメルクル(1977~)によって設立。『ボーナンザ』の特別版などを制作していたが、次第に重量級ボードゲームも手掛けるようになり、2007年に『アグリコラ』が大ヒットしてからはローゼンベルク作品を中心に注目を集め続けている。2013年にメイフェアゲームズ(アメリカ)、2018年にアスモデグループ(フランス)に買収された。『アグリコラ』『ル・アーブル』『カヴェルナ』『パッチワーク』など。

モーゼス出版(Moses. Verlag)
1991年設立。絵本や子供向けノンフィクションなどを出版する傍ら、2004年から『ブラックストーリーズ』シリーズをスタートし、ボードゲーム業界に参入した。『ノーリターン』『セバスチャン・フィツェックのキラークルーズ』など。

フッフ(Huch)
2004年に「フッフ&フレンズ」という社名で設立。同時期に設立されたフッター・トレードで他社製品と共に販売も行い、イスタリゲームズ、ティルシット出版(共にフランス)などのドイツ語版も制作した。2017年に現在の社名に変更。キッズ、木製、知育、ファミリー、戦略と幅広い。『なんてったってホノルル』『ファウナ』『ガンジスの藩王』など。

ニュルンベルガー・シュピールカルテン出版(Nürnberger-Spielkarten-Verlag)
1948年に設立されたトランプメーカー「ハインリヒ・シュヴァルツ」が1989年、F.X.シュミットに買収されて現在の名称に改名。1995年にF.X.シュミットがラベンスバーガーに買収されたときに再独立。『スカート』や『ポーカー』などのトランプデッキを製造する一方、2007年からアミーゴサイズのオリジナルカードゲーム制作を始めた。『クウィックス』『ザ・ゲーム』『ザ・マインド』など。

dlpゲームズ(dlp games)
2008年にゲームデザイナーのR.シュトックハウゼン(1962~)が設立した個人出版社。骨太なユーロゲームをリリースしていたが、『オルレアン』のヒットでゲーマーズゲームに力を入れ始め、『横濱紳商伝』『コーヒーロースター』など日本人作品を含む国外ゲームのドイツ語版も制作している。『マラカイボ』『ブーンレイク』など。

hallgamesホールゲームズ(H@LL Games)
2009年にインターネットボードゲームマガジン「H@ll9000」のR.ブルーン(?~)が設立した個人出版社。サイト名は「ハル9000」から取られているが、「ハルゲームズ」ではなく「ホールゲームズ」と呼ばれている。「ゲーマーによるゲーマーのためのボードゲーム」というモットーでゲーマーズゲームをリリースしている。『洛陽の門にて』『アクアスフィア』『デルフォイの神託』『黄昏の篝火』など。

2010年代


ドライハーゼン・インデア・アーベントゾンネ(Drei Hasen in der Abendsonne)
ドライマギア・シュピーレの設立者であるJ.リュッティンガー(1947~)らによって2008年に設立。社名は「夕日の3匹の野ウサギ」という意味で、リュッティンガーとその妻カップラー、そしてイラストレーターのフォークトを表す。当初は絵本を出版していたが、あまり売れなかったため2012年からボードゲーム事業も開始した。『チャオチャオ』『7人の探偵』『おろかな牛』『世界でイチバンの国』など、古き良き面影を残すシンプルな作品をリリースしている。

シュピールヴォルクス(Spielworxx)
ファランクスゲームズ(オランダ)のブランドマネージャーだったU.ブレネマン(1965~)が2010年に設立。ゲーマー向けの重量級ゲームを500~1000部という少部数で製作している。『ラ・グランハ』『ジェンティス』など。

フォイヤーラントシュピーレ(Feuerland Spiele)
2012年にU.ローゼンベルク(1970~)らによって設立。最初の作品『テラミスティカ』がヒットし軌道に乗った。ストーンマイヤーゲームズ(アメリカ)などゲーマーズゲームのドイツ語版を手掛ける一方、ローゼンベルクなどによる自社オリジナル作品も発表している。『オーディンの祝祭』『ガイアプロジェクト』『ニューヨークズー』など。

フロステッドゲームズ(Frosted Games)
2015年設立。社名にはドーナツの白いコーティングやケーキの上の生クリームのように補助的なボードゲームアイテムを提供するという意味合いがあり、ミニ拡張を集めたアドベントカレンダーやグッズボックスを制作していたが、やがて国外作品のドイツ語版やオリジナル作品も手掛けている。『レイクホルト』『クーパーアイランド』など。

 

シュピールヴィーゼ出版(Edition Spielwiese)
ベルリンのボードゲームカフェ経営者であるM.シュミット(?~)により2016年に設立。毎週月曜日にゲームデザイナーがカフェに集まりテストプレイ会を開いていたのが設立のきっかけ。ローゼンベルクのポリオミノ3部作で注目され、主にライト~ミドル級の作品をリリースしている。『メモアァール!』『ノヴァルナ』『ミクロマクロ:クライムシティ』など。

2020年代


ディーププリントゲームズ(Deep Print Games)
プランBゲームズの買収に伴いエッガートシュピーレを退いたP.エッガート(?~)がフロステッドゲームズ、ペガズスシュピーレのスタッフと共同で2020年に設立。W.クラマーとM.キースリングを起用してピュアユーロ系の新作をリリースしている。『リネイチャー』『京都議定書』『サバンナパーク』など。

 

thegamebuildersザ・ゲームビルダーズ(The Game Builders)
『ラ・グランハ』などの作品があるA.オデンダール(?~)とフリージャーナリストのT.ハンソン(?~)が共同設立。2022年にエッセン初出展。『アップルジャック』など。