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敗者の権利(Losers’ Right)

問題は負けた後だ

トリックテイキングをしながら、使ったカードを並べて陣取りをするゲーム。ゲームマーケット2022春で初出展の千発百中から発表された。当サイトの新作評価アンケートでは評価数最多となり、注目度の高さを物語っている。

5スート1~10のカードでマストフォローのトリックテイキングを行い、敗者は場にチップを置き、勝者は獲得したトリックから2枚を5×5枚の場に並べる。10トリック行った後、場のカードごとに隣接するチップの枚数が一番多い人が獲得し、その合計で勝負する。

タイトルの通り、トリックに負けてチップを置いたほうが得なので、できるだけ数字の低いカードを出し合うミゼール(負けを狙うトリック)になる。数字の大きいカードは、持っていないスートでリードされたときに処理したいところ。しかし誰かは勝ってしまうもので、そんなときは勝者の特典(次のリードプレイヤーを指名する、次以降のトリックの数字の強さを逆転する、場にある自分の通貨チップを移動するのいずれか)で、連続して勝たないようにもっていく。

チップは勝者の左隣から1枚ずつ置いていくが、どこに置くかが悩ましい。得点の高いカードは競争率が高く、何枚もチップを置かないと取れないだろう。理想的なのは、空いているスペースの隣にチップを置き、次のトリックで勝者となってそこに高得点カードを置くことだが、そんなにうまくは行かない。逆に他プレイヤーから1点のカードとかを置かれてしまう。

チップは辺と角に置くことができ、辺なら2枚のカード、角なら4枚のカードが対象にできる。しかしチップ枚数が同数の場合(よくある)、辺よりも角は弱いものとみなされる(すべての辺の中では上辺が最強)ので、強いカードの上辺は確実に置いておきたいところだ。

トリックの勝敗はなかなかコントロールできないが、次にチップを置くところを巡って敗者同士、または勝者と敗者の駆け引きがある。最近とんと見なくなったエリアマジョリティゲームの醍醐味を、トリックテイキングを入れることによって最後まで重苦しくなく楽しめる。

敗者の権利
ゲームデザイン:すづき/アートワーク:すず
千発百中(2022年)
3~5人用/10歳以上/30分
全国ボードゲーム専門店・カフェで取り扱い

Posted in 日本語版リリース

異色テーマの謎解き『Qシャーロック:取り憑かれた男』日本語版、7月8日発売

グループSNE/cosaicは7月8日、協力型ミステリーゲームシリーズの第4弾『Qシャーロック 取り憑かれた男(Q System: The Cursed Mine / Happily Ever After / The Possessed)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・J.I.サンチェス&M.L.フェリウ、イラスト・A.アラゴン、1~8人用、8歳以上、60分、3850円(税別)。

GDMゲームズ(スペイン)から発売され、すでにリリースされている20タイトル以上から、3つの事件が同梱されている。手がかりが書かれた手札から事件に関係がありそうなものを選んでいき、最後に答え合わせをして好成績を目指す「Qシステム」と呼ばれる協力謎解きゲームの最新作だ。

シャーロックホームズテーマが多いQシステムにおいて、今回の日本語版はファンタジー、中世、ウエスタンの異色作をピックアップ。「取り憑かれた男」では衰弱した村長の病の要因を探り、「呪われた鉱山」では事故が相次ぐ金鉱で起きた爆発の真相を、「いつまでも幸せに」では童話の世界を舞台に、プリンス・チャーミングが死亡した謎を追求する。

事件を解決する32の手がかりは各プレイヤーの手札になっており、公開するか捨てるかを選んでいく。公開された情報は皆でシェアできるが、事件と関係がなかったら減点になってしまう。公開するか捨てるか判断に迷う手札のカードについて話してもよいが、その情報は制限される。カードが全て公開されるか捨てられたらゲーム終了で、質問用紙に沿って答える。驚くような真相にどこまでたどり着けるか、プレイヤーの知恵が試される。