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3日目 開幕!

 インタビューは『ケイラス』の作者W.アティア氏。デザイナーである前に、プレイヤーでありたいというゲームへの情熱が物静な人柄からにじみ出ていた。『ケイラス』は『アメン・ラー』を遊んでいるときにアイデアをふと思いついて、建物のアクティヴェイトというコンセプトから始まった。イスタリ社とは『プエルトリコ』のトーナメントで知り合い出版につながった。はじめは建物固定だったが、テストプレイヤーの意見を取り入れた結果、フレキシブルな現在のかたちに。とにかくテストプレイをしまくってバランスがよく奥の深いゲームを作るのが、イスタリ社のゲームの秘密だ。

 夕方からはオーストリアゲーム大賞のダグマ・デ・カサン氏とゲーム賞について会談。ゲーム賞は5年前に始まったものだが、ゲームマーケットのような活動を30年続けている。ゲーム賞の選考は11ヶ月間、毎週水曜日に集まってテストプレイやディスカッションをしているということで、ちょっとやそっとでは真似できない。しかも最終選考に残ったゲームから選ぶ最後のひとつは、ゲームのことをあまり知らない芸人とか大学教授なんかに任せるという。「フリークゲームなんて、ドイツゲーム賞に任せればいいのよ。もうゲーム持ってるフリークにアピールしたってしょうがないでしょ? ゲーム持ってない、ちょっと興味がある人に手にとってもらうようなゲームを選ぶの。」

 ヤポンブランドは荷物が夕方になってやっと到着。事前の宣伝効果があってかバカ売れしている様子だ。初日で30万円ほどいったらしい。奥のほうにあるにもかかわらず、いつ行ってもブースは混んでいる。特にカワサキさんの作品は、同じデザイナーということでまとめ買いする人もいる。『R-ECO』を指差し「これはマストバイなんだ」と言うのを聞いて、ウェブの影響が大きいのだと思った。私は『キュージェット』をドイツ語でインストするという楽しい経験をさせてもらった。ドイツ人だから『アベ・カエサル』をみんな知っているのかと思ったら、名前すら知らなかった。いろんな層があるものだと妙に感心。

 夜は恒例のメビウスの能勢さんらと日本人飲み会。「死んだらどうなるのか」「幽霊は存在するか」など妙な話になっていた。

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2日目 プレス会議

 朝、ホテル近くのネットカフェでミクシィを開けると、ヤポンブランドの荷物が遅延することが分かった。13箱のうち1箱が手違いでアメリカ経由になってしまい、先にフランクフルトに着いた荷物も足止めを食らっているという。なんで?? さらに「商品」として発送申込をしたのに、「サンプル」として扱われていたために書類不備になり、関税で止められて大騒ぎ。このまま荷物が着かなかったら、ヤポンブランドのエッセン出展は水泡に帰してしまう。

 ここで現地で頼んでいたドイツ人スタッフが活躍した。必要な書類を至急作成して印刷し、フランクフルトにFAX。この一連の作業を日本人だけでやることなど無理。何とか間に合ってくれるだろうか。

 会場設営のお手伝いをする合間に11時からプレス会議。今回のゲーム祭は31カ国から730の出展者があり、350以上の新作が発表されるという。入場者数は15万人で頭打ちだが出展者が膨張し続けており、いくら特定のジャンルに集中したところで4日間で回りきるのは難しくなっている。出展者にしてみれば、閑古鳥が鳴くところも少なくないだろう。ふらりと立ち寄る人が期待できないため、事前のPRがとても大切になる。ヤポンブランドはその点、抜かりはなかった。

 プレス会議が終わってから新作の内覧会。主なメーカーの新作の概要を効率よくつかむことができる。デザイナー自身が説明にあたっていることも多く、プレス関係者にいい記事を書いてもらいたいと懇切丁寧だ。2時間ほどかけて30タイトルほど説明を受けた。

 その後は恒例の中古ゲーム漁り。前日から入れるプレスの特典ともいえる。5,6件を回って購入したのは、クニツィアの『市場の商人』『メディチ』『メンバーズオンリー』『はちみつくまさん』『ソクラテス』『アタック』『ツインズ』『モールヒル』、それに『アクワイア』『メキシカ』『フォーラム・ロマーナム』『イモムシイモムシ』『フィアスコ』。価格はボードゲームが20?25ユーロ、カードゲームが5?10ユーロといったところ。

 ヤポンブランドのブースに戻ると、ウェブやパンフレットの効果か早くもひっきりなしにお客様が来ていた。何しろ販売量がヨーロッパのメーカーなどと比べるとごくわずかなので、売り切れる前に手に入れておこうというわけである。本番は明日からとはいえ、荷物がまだ届いていないのが痛い。

 その後イスタリ社の新作『イスファハン』をテストプレイ。ダイスを使うのでゲーム感は前作に比べると軽いが、斬新なアイデアと隙のないバランス設定で楽しめた。このメーカーはしばらく目が離せそうにない。

 夜はドイツゲーム賞授賞式へ。日本からはゆうもあチームとオフィス新大陸チームが来ていて、今回もバシバシ写真を撮っていた。