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アンケート(2)

週末までに約50通。とても参考になります。

「質のよい和訳を配布し、翻訳者にも何らかのメリットを還元する仕組みは作れないものでしょうか?」

アメリカではフリークが我先に英訳を作り、データベースサイト「ボードゲームギーク」にアップロードしている。ショップもこれを利用して販売しているようだ。つまり愛好者主体。一方、日本はショップ主体である。

新しいゲームが発売されると、メビウス、バネスト、広島などが和訳を手がける。中には同じゲームを別々に和訳していることも少なくない。これは労力の無駄ではないか、仕事を分担すればもっと効率的にルール和訳を作ることができるのではないかという声もときどき聞かれる。

日本の場合、ショップが和訳を手配しなければならない一番の原因は、和訳がショップにとって主要なサービスとなっているからであろう。今はどのショップでもレイアウトや図解、色使いや文体に気を使って読みやすい和訳を心がけており、そのために少なからぬ手間ヒマをかけている。ショップがこれを他人任せにすることはまずありえまい。

ショップと同じ質と量の和訳をボランティアに期待するのはまず無理だろう。「ボードゲームギーク」で公開されているボランティアの英訳はほとんどの場合文字だけの素っ気ないもので、日本のショップが現在提供しているような質には遠く及ばない。

私はこうしたショップ主体の体制が問題だとは思っていない。むしろ責任をもって質のよい和訳を量産しているという点ですばらしいと思う。我々にできることはまず、ショップがご好意で譲ってくださった和訳を誰にでも使いやすいかたちで管理するということ、それと同時に未紹介のマイナーなゲーム(年代ものや小さいメーカーのもの)の和訳を手がけて裾野を広げることになると思う。

そのために現在、play:gameのデータベースで和訳を管理する仕組みをpuppiさんと始めている。

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メーカーから早い情報発信を

当サイトで取り上げているエッセンやニュルンベルク情報は、英独のゲームサイトに上がっているものだ。Spielboxはドイツのメーカー、Gamefestはアメリカのメーカーの情報をいち早く入手してアップし、またお互いに情報を交換している。写真はほとんどの場合メーカーが提供しているもので、中には箱絵の下書き段階で発表してしまうものもある。ハンス社が去年発表した「ゴア」の箱絵は途中で変わったし、今年の「バベルの塔―世界の八不思議」にいたってはモノクロのデッサンの時点で発表している。

このように開発中でもどんどん情報を出していくというメーカーの姿勢は、一刻も早く情報をほしい新しがり屋のユーザーにとってとても嬉しいものである。しかしメーカー側にしてみれば、単にフリークを喜ばせるというよりも、たくさんのゲームが発売されている中でどこの会社よりも早く情報を出して話題づくりをしておきたいという意図があるようだ。

ラベンスバーガー社やアミーゴ社は、現在、ニュルンベルク玩具見本市よりも前に発売するようになった。またハンス社がエッセン国際ゲーム祭でお披露目する前にオンラインゲームサイト「ブレット・シュピール・ヴェルト」で新作を発表したことも記憶に新しい。

翻って日本のボードゲームや関連本はどうだろうか? 実に遅いと言わざるをえない。中にはとうの昔に発売しているのに何の告知もしておらず、お店で見つけてはじめてその存在を知るというものも少なくない。

玩具業界の慣行なのか、秘密主義なのか、それとも早く情報をあげてぽしゃるのが怖いのか分からないが、情報を提供しないことによって損をしているのはメーカーにほかならない。ことボードゲームに関しては優秀な海外ゲームがどんどん入っている昨今、こうした周辺部分で負けていては永久に追いつけないような気がする。

実はたくさん発売されている日本のボードゲーム、カードゲーム。ウェブ上での宣伝にもっと力を入れてもらいたいものである。