ボードゲームを考える集い(7)次回?
人数が20人を超えていた上に進行が下手で、当初目論んでいたフリートークには程遠かったが、それにもかかわらず参加者の中には次回を期待する声が上がっているのは嬉しいものである。
次回があるとすれば、どんなテーマがいいだろうか。ムソウさんは「みなが協力して(知恵を出して)できること」「こんなコンテンツあったらいいな」「サイトを持っている人が、参加者に直接サイトの感想などを聞く」という提案をなさっている(EasyBoardGames)。
これで思い出したのが、少し前に行った当サイトの読者アンケートで、どういうコンテンツを増やしたらいいかというもの。多い順に以下のような希望が出ていた。
- 新作レビュー
- インタビュー
- リプレイ
- play:gameデータベースとの連携
- 評価システム
- 特定ゲームの研究
- サークル紹介
- フォーラム
新作レビューは、ブログでレビューが増えた現在でもまだ需要が高い。私もそうだが、ゲームを買うか買わないか、ウェブのレビューをあちこち読んで判断するという人が多いからだろう。逆から見れば、新作を遊んでレビューや評価を出すだけのサイトでも、皆に見てもらえるということだ。新作はどんどん出るから、サイト更新の動機にもなる。新しいものを追うというのは、サイト運営の大きな方向性となりうるだろう。
インタビューやサークル紹介、イベントの参加レポートなど、リアルな動向を反映したものも見たい人が多いようだ。誰もがどこにでも足を運べるわけではない。実際に見聞した情報というのは、二次情報が氾濫するウェブ上では貴重だ。
リプレイは、『ノイエ』や『シュピール』、『ボードゲーム天国・王国』など紙媒体では見られるが、ウェブではまず見かけない。作ろうとしたことがある人ならば分かると思うが、非常に時間と手間がかかるのだ。まずゲームの魅力が伝わるようにだいたいの筋書きを作っておき、プレイ中は録音と経過撮影をし、それをまとめる。そこまでするのはさすがに難しいとしても、例えば外神田ドイツゲー情報局(仮)のようなネタリプレイも面白い(ハカセ大好き)。
私が読みたいのは、メタ・ゲーム的なコンテンツ。すなわちボードゲームを取り巻く環境について論じたものが読んでいて楽しい。ボードゲーム通信のボードゲーム論、moon gamerの創作ゲームのコンポーネントになりそうなグッズ収集、ボードゲームを始めようのインストの方法研究、All aboutのゲーマー名言集、河内ゲームクラブの創作ゲーム考など。当サイトの海外事情コーナーも、自分が読みたいと思ったことが翻訳の動機になっている。あとはたかのさんがゲームマーケットで発表している漫才本のような、ボードゲームをネタにしたお笑いがウェブにもあったらいいなと思う。
メーカーの中には、サイト管理者にゲームを提供して紹介してもらうというところも出てきた。ゲームサイトを見る人は相当の愛好者に限られるので、実際どれだけ一般への波及効果があるかは分からないが、ウェブのもつ影響力が注目されてきている証拠であろう。意識するにせよしないにせよ、ウェブの強みをうまく生かせるようサイト管理者同士のつながりを大事にしていきたい。まだお会いしたことのない方も、いつか直接にお話しできることを願っている。ボードゲーム情報を発信しているという共通点で結ばれた同好の士として。
最後に話し合った日本ボードゲーム大賞については、ゲームサイトと直接関係ないので省略し(もちろん頂いたご意見は生かすよう努力します)、今回の集いのまとめはこれがおそらく最終回。参加してくださった皆さん、今度はもっと遊びましょう。声をかけられなかったゲームサイト管理者の皆さん、次回はぜひご一緒に。長らく読んでいただきました方、ありがとうございました。今回の考察が、新サイト立ち上げや定期更新のお役に少しでも立てば幸いです。
→参加者の一覧&関連記事(益田ラヂヲ氏)
第24回ゲッティンゲン・ゲームデザイナー会議閉幕
6月4、5日の2日間にわたって毎年恒例のゲッティンゲン・ゲームデザイナー会議(Spieleautorentreffen
in Göttingen)が開催されました。ゲームデザイナー連盟(SAZ)に加盟する140名のデザイナーが参加。新作の試作品を紹介して、相互の情報交換を行いました。
会議では4つの賞の授賞式があり、まずボードゲーム界に革新的な貢献をした人物に贈られる第2回インノ・シュパッツ賞(InnoSpatz、賞金500ユーロ)はドイツ・ボードゲーム博物館の館長P.レムッケ氏。20年前からハンブルク(現在はケムニッツ)で博物館を続けてきた功績が評価されました。30,000点のボードゲームを収蔵、1階では1,500点のゲームがすぐに遊べるようになっています。。
次にボードゲームを効果的に紹介したメディアに贈られる第1回アレックス賞(ALEX、賞金1000ユーロ)は、ハンブルクの雑誌「ゲーマガジン(GEE Magazin)」で「机上演習・東(Planspiel Ost)」という記事を執筆したT.ミシュケ氏。奨励賞として「日本と韓国のボードゲーム」のU.バルチ氏ほか2名が受賞しています。
そして先日発表された第17回ヒッポダイス・ゲームデザイナーコンテストは優勝者の沢田氏をはじめ、上位を独占した外国人が全員欠席だったため、決勝に残った2名のドイツ人が代表して受賞しました。
最後に年間ゲーム大賞審査委員会が主催した第1回後継者デザイナー賞(Der Autoren – Nachwuchspreis、賞金2500ユーロ)はスイス人のS.ポーション氏に贈られ、このほか4名のドイツ人がノミネートされました。
各賞の審査員にはその道の専門家をあて、公平な選出が配慮されています。ここにデザイナー、メーカー、ジャーナリズムが一体となってボードゲームの発展に力をあわせている姿を見ることができます。なお、ゲームデザイナー連盟の議長はムーン氏に替わってカサソラ氏が就任しました。(H@LL9000)