2人で四国をまわる『東海道デュオ』日本語版、8月下旬発売
ホビージャパンは8月下旬、『東海道デュオ(Tokaido Duo)』日本語版を発売する。ゲームデザイン:A.ボウザ、イラスト:ナイアド(X.G.ドゥラン)、2人用、8歳以上、20~30分、3960円(税込)。
親日家のフランス人デザイナー、A.ボウザの新作で2022年にファンフォージ社(フランス)より発売された。進む数を自分で決められる『東海道』の舞台を四国に移し、ライトな2人対戦ゲームになった。
各プレイヤーは巡礼者と承認と絵師で四国を回る。巡礼者として寺社、庭園、浜辺、温泉を訪れ、商人として伝統的なお土産を仕入れて売り歩き、絵師としてさまざまな美しい風景を描き地元の人々に贈ろう。
各ラウンド先手プレイヤーがダイスを3個振り、その中から1つを選択し、ダイスに対応する自分の旅人をその目の数だけ動かす。次にもう後手のプレイヤーが残り2個から1つを選択し、同様に自分の旅人を移動。そして先手プレイヤーが残ったダイスを使い移動させるダイスドラフトでゲームを進める。
巡礼者は四国を周回し、商人は交易路をたどり、絵師は踏みならされた道を通って1エリアずつ移動し、対応するアクションを行う。すべての絵を贈ったり、商売で十分な儲けを得たり、必要な数の寺社に詣でるとゲームは終了し、より多くの勝利点を獲得したプレイヤーの勝利となる。
ボードにはナイアド氏によるユニークなアートワークが施され、異国情緒漂う四国の旅が楽しめる。
内容物:ゲームボード1枚、旅人ボード6枚、木製旅人駒6個、土産物屋トークン8枚、商品トークン26枚、絵画タイル20枚、カラーマーク2枚、木製展望ペグ4個、温泉トークン1枚、波タイル3枚、コイン24枚、小判12枚、布袋1つ、特製ダイス3個、ルールブック
ボードゲームカフェ「コロコロ堂秋葉原店」を訪問
今年3月にオープンしたボードゲームカフェ「コロコロ堂秋葉原店」(オープン記事)を訪問し、岩井俊憲店長(写真)にお話をお伺いしてきた。
路面店へのこだわり
コロコロ堂は2015年に根津にオープンし(訪問記事)、2018年に湯島のより広いスペースに移転。さらに今年、2号店を秋葉原にオープンさせた。1号店と同様、路面店にこだわったのは「カフェ」だからである。さすがにテラス席はないが、外界と断絶していないのでふらっと立ち寄りやすい。
専門店というのは初めての人には敷居が高いものだ。ボードゲームを始めた頃、当時は九段下にあったメビウスゲームズが路面店で、最初は外からこわごわ店内を眺めていたのを思い出す。コロコロ堂秋葉原店は裏地にあるので人通りは少ないが、ちょっと興味があって行ってみた時、外から店内の様子がだいたいわかるのは安心して入りやすい。
ふらっと立ち寄れるとはいえ、平日の午後からボードゲームを遊んでいるお客さんは少ない。客待ちの時間を利用して、岩井店長は労働や通販の管理、オリジナル製品のディレクションなどを行っている。平日お客さんの少ない時間に何ができるかは、ボードゲームカフェの経営面で大きな課題である。

重ゲーも遠慮なくどうぞ
ボードゲームポッドキャスト「おしゃべりサニバ」でコロコロ堂がよく「ジャパニーズ・ナンバーワン・ボードゲームカフェ」と呼ばれていることについて、岩井店長は「なんでそう呼ばれるのかわかりません」と照れつつ、他店との差別化については「おそらく弱点がないことではないでしょうか」という。交通の便、トイレ、品揃え、店員のルール説明など、どれか1つが抜群でも、他に足りないものがあればそのボードゲームカフェを利用しない理由になってしまう。いずれも一定水準以上に保つことで、選ばれやすくなるというわけだ。
とはいえコロコロ堂がすごいのは、ゲーマーズゲームのルール説明を積極的にしてくれるところだ。ゲーマーズゲームのルール説明は、場合によっては1時間近くかかることだってある。ゲーマーズゲームや日本未発売のゲームを棚に並べ、たった4人のお客さんにたっぷり時間を費やしてくれる背景には、「重ゲーこそ、他の趣味でできない」という信念がある。ほぼ満席になる土日には、8人に1人の割合で店員をつけて対応。社員もアルバイトも勤続年数が長く、練習会もしており、安心してルール説明を聞くことができる。

ミスマッチの解消
ボードゲームを購入するとプレイ料金が割り引かれる(遊んで気に入ったボードゲームを帰りに購入してもOK)という仕組みは、「遊べれば買わなくていい」という意見を解消しようとするものである。このような意見が出てくる背景には、「そのゲームが気に入らなかった」とか「何回も遊ぼうとは思わない」という理由もあるはずで、そのようなミスマッチを解消することが、ボードゲームカフェの役割のひとつだと岩井店長は考える。
経験を積むことでさまざまなお客さんのニーズもつかめてくる。タイプ別の定番はもちろん用意しつつ、重ゲーとまではいかなくても戦略性のあるボードゲームを勧め、ホビーゲームの世界に誘う。これもミスマッチ解消の一環といえるだろう。
ボードゲーム出版社にとって、ボードゲームカフェはプラスかマイナスかという議論がある。ミスマッチを防ぎ、プロモーションになればWin-Winになれる。一方、1回遊んだら終わりの謎解き系をお店に置かないなど、マイナス回避にも努めている。
棚の入れ替えだけでなく、飲食の新メニュー、新サービスなど、3月の開店以来次々と新しい試みを打ち出しているコロコロ堂秋葉原店。行くたびに新しいことがあるのはワクワクするものだ。