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ボードゲームシンポジウム

昨日から妻の実家に向かい、妻子を置いて浅草へ。NPO法人世界のボードゲームを広める会『ゆうもあ』主催のボードゲームシンポジウムの当日である。
思うように参加者が集まらず、収支はぎりぎりのライン。早めに浅草に着いたので、浅草寺にお参りして般若心経を唱え、気持ちを落ち着かせる。
着いたら会場設営なんかでバタバタしているうちにもう時間。心配していた参加者だが、東北勢6名のお陰で何とか赤字を免れた。当日参加の東北勢は、ヘルム峡谷でエルフを見た思いでしたよ。
最初にゲーム賞の発表。今回は全部の賞にデザイナーからコメントをもらえたので翻訳して読み上げた。フェデュッティのが受けたかな。そして能勢さんに表彰。
シンポジウムの発表者は新大陸の坂本さん、メビウスの能勢さん、バネストの中野さん。3人がずらりと並ぶと壮観である。
坂本さんはメーカーがロングスパンで取り組むことと、ゲームの露出を多くする必要性を説き、ルーンバウンドの日本語版、ファミレスで導入されつつあるテーブルトーク端末へのブロックス導入など、具体例も示された。
能勢さんは分かりやすい日本語ルール作りのためのノウハウをご披露。ただ言葉を変えればいいだけでなくて、文化的背景やゲームの前提知識も含めて、日本人が読みやすい翻訳をする難しさを感じた。
中野さんはバネストのこれまでを振り返りながら、今後の展望を述べられた。国産ゲーム・日本人デザイナーの応援、そして日本語の環境でゲームが出ることで一般人により親しみやすいボードゲームのあり方を提案している。
後半のディスカッションは、まず邦題統一の可能性という、我々が用意してきたテーマに多くの時間を割いた。話の結果、新大陸でもメビウスでもバネストでも、先行して販売されたタイトルにできる限り合わせるということでお三方が合意されたのは大きな収穫であろう。ゆうもあが邦題が分裂しそうなメーカーの命名権を管理するという案も出たが、事実上無理そうだ。また、ドライマギアやツォッホなど、たくさんの輸入業者が関与しているメーカーでは、このような同意が得られないのも課題として残された。
次に国産ゲームに何を期待するかという話題では、ルールが簡単で多人数向きの日本語ワードゲーム、クイズゲームなどを期待するという声が上がった。確かにこれは、世界中どこを探しても日本にしか作れない。この手のゲームではワードバスケット、アップルトゥアップル、ワードリンク(同人)が出ているが、まだまだ可能性は残っているだろう。
最後にサマリー、フローチャートを作ってつけてほしいという話から、カード訳はシールがいいか対訳表がいいかなんていう話まで。ここまで4時間、本当にあっという間に過ぎてびっくりした。
懇親会も盛り上がった。前夜祭があるため「1時間だけ」という中野さんが最後までいてくれて一本締めまでしてくれたこと、メビウスママさんがお店を閉めてから駆けつけてくださったこと、そのほかウェブではなかなか話せない四方山話をできたことが嬉しい。これまた2時間があっという間に過ぎた。
二次会はお断りして仙台組のお二人とつくばへ。家に着いたら郵便受けに「ボードゲームシンポジウムのご案内」当日かよ!
意外に早く着いたのでちょっとゲームを遊ぶ。明日はゲームマーケットで早起きだ。

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クレオパトラと建築士たち(Cleopatra and the Society of Architects)

ニュルンベルク最注目作のひとつだったデイズ・オブ・ワンダー社の『クレオパトラと建築士たち』の写真がウェブで公開され始めた(BoardgamenewsSpielbox)。価格49.95ユーロ。電子回路を使ったクニツィアの『キングアーサー(King Arthur)』と同額である。1ユーロ140円超えの今、日本で発売されることになったら10,000円ぐらいしそう。
『ナイアガラ』のように箱を使ってボードを組み立てる。箱がクレオパトラの宮殿、その前に広がる庭。ここに石切り場からスフィンクスだの、門柱だのを運んできて設置する。このリアリティーが一番のセールスポイントであり、高額の理由でもある。
ゲームはカードを使って資源を集め、その資源でスフィンクスなどを建築し、褒美としてお金をもらって、その金額を競うという流れ。資源集めのカードは、半分表・半分裏にして混ぜたカードを並べて、3組の中から選ぶという面白いシステム。予め見えているカード、見えていないカードがあってどれを取るか迷うことだろう。
建築できるものはスフィンクス、オベリスクなどいろいろあり、それぞれ必要な資源の数と種類が違う。種類ごとに全部建つとクレオパトラが宮殿に向かって前進し、宮殿に到着したところでゲーム終了となる。
カードの中には建築をしやすくする資源やキャラクターがあるが、これらを使ったりカードをためこんだりするとむと「汚職のアムレット」を受け取らなくてはならない。これは自分のピラミッドの中にしまっておき、非公開であるがゲーム終了時に一番多くもっている人は、クレオパトラが飼っているワニの餌になってゲームから脱落する。
「汚職のアムレット」を減らす方法は、祭儀をすることだ。石切り場から建築物が切り出されるたびにダイスが振られ、マークが揃うと祭儀が行われる。ここではこれまで貯めたお金で競りをして、一番高額をビッドした人がアムレットを捨てることができる。
もうひとつ、宮殿の庭にモザイクタイルを敷くとき、空きマスにアヌビスを置いて確保できれば、そのマスの数だけアムレットを捨てられる。お金とアムレットの絶妙なバランス感覚が要求されそうだ。
作者は『キャメロットを覆う影』からカタラ、そして『キャッシュアンドガンズ』のモーブランというフランス人コンビ。プレイ時間60分。日本上陸が待ち遠しい。
追記:3月下旬になって、ドイツのショップにぼちぼち並び始めたが、Spielboxのレビューでは49ユーロと記されていたが、価格は軒並み30ユーロ台後半。メモワール44と同程度なので、国内価格は8000円台ぐらいになるか。