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グラグラナッツ、ミニカド、ミニドミノ

小さい箱に面白さ
エッセン国際ゲーム祭で見つけた小箱のゲーム。1箱1ユーロか2ユーロくらいで販売されていた。
『グラグラナッツ』は、半球形の台に棒をのせて、落としたら引き取り、手持ちの棒を全部なくすゲーム。棒も台も小さいので、細心の注意が要求される。大人なのでわざと厳しい置き方をして、次の人が落とすのを誘うつもりが、自分が落としてしまったりして笑える。
『ミニカド』は、棒を崩さないように抜く『ミカド』の極小版。お菓子のポッキーが「ミカド」と呼ばれていることから、この名がついたらしい。小さいがルールは変わらない。ほかの棒が動いたらアウトで、できるだけ得点の高い棒を引き抜く。これを取ったら、次の人が得点の高い棒を取ってしまうという状況で、引き抜く棒に大いに迷う。
『ミニドミノ』は、0〜6の色が合うようにタイルを並べて手札をいち早くなくすゲーム。出せないときはパスするので、また自分の番に回ってきたときに続けて出せるよう、手札を出す順番を考えなければならない。ぞろ目のタイルを横に置くルールはない簡易版だが、駆け引きは十分ある。
1ゲーム5分程度。コマが小さいのがかわいらしい。
Wackelnuss、Minikado、Minidomino
作者不明/barti
プレイ人数適宜(2〜4人程度)

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『ドミニオンレシピ』

優れたボードゲーム評論サイト「遊星からのフリーキック」が、ゲームマーケット2009で頒布した同人誌。A5版、42ページ、400円。残部の通信販売もある(なくなり次第終了)。
ドイツ年間ゲーム大賞、ドイツゲーム賞を受賞し、まもなく発表されるドイツカードゲーム賞も有力候補となっている『ドミニオン』。否定的な意見もあるが、10年に1度あるかどうかの傑作であることは間違いがないだろう。
『ドミニオン』を遊ぶと、何やら定石がありそうなことはすぐ分かる。ありがちなのは「○○最強説」(『プエルトリコ』の宿屋とか、『サンクトペテルブルグ』の18貴族とか)だが、ドミニオンはカードのコンボとバランスの両方があるため、そう単純ではない。そんなときに、ハンドブックとして重宝するのがこの『ドミニオンレシピ』だ。
本書の構成はまず戦略の基本と各カードを概説した上で、いくつかの作戦を紹介している。一時期ネットで物議をかもした「お金プレイ」(本書では「ステロイド」)、巷で流れる「村最強説」を支える鍛冶屋とのコンボ(本書では「鍛治村」)は基本中の基本。このほかに「地下書庫」「高圧縮」「庭園ビートダウン」「魔女コントロール」「軽圧縮」「古本市」「属州枯渇」とどれも試したくなるような作戦ばかり。
それぞれの作戦では概要を説明した後、必要なカード構成、理論、ほかの作戦との相性、バリエーションなどを解説する。検証用プログラムまで使ったそうで説得力があり、なるほどと思うことばかり。それでいて、「はじめに」で本書に書いてあることは絶対ではないと述べ、この本を論拠に他人のプレイングを批判することを諌めている。
この本の目的は経験の差が大きく出がちな『ドミニオン』において、その経験の差を埋めることであるという。メンバーが誰もやりこんでいないならば、みんなで遊びながらこうした作戦を発見していくのも楽しみのひとつである。でも数多く遊んでいない人が、やりこんでいるメンバーに入るならば、一読していくことをオススメしたい。