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リニア(Linja)

すれ違いの渋滞
黒猫と同じメーカーということで輸入された2人用ゲーム。シュテフェンシュピーレというメーカーは、作者シュテフェン・ミュールホイザーが自身の作品を発表する個人会社である。作者はグラフィックデザイナーだったそうで、コンポーネントが洗練されていて美しい。
細長い箱を開けると、竹棒と赤黒のコマが入っていて目を引く。竹棒を並べてマスを作り、1コマに1つずつ、赤黒のコマを並べてスタート。
ゲームは『バックギャモン』のように相手のコマとすれ違って進むが、進む数はダイスではなく、コマ数で決まる。まず自分のコマを1マスだけ進め、そのマスにいる赤黒のコマの数を数える。その数だけ、自分のコマをさらに進める。
全部のコマがすれ違ったら終了で、ゴールにたどり着いたコマを5点、その手前のマスを遠い順に4点、3点、2点、1点と数える。この合計が高い方の勝ち。
たくさん進むためには、たくさんコマがいるマスに入ればよいわけだが、1マスにいられるコマは6個までという制限がある。6個目になれば一番多く進めるだけでなく、相手がそのマスに入るのをブロックできる。6個目になれるかどうかが勝敗を分けるだろう。
先の先まで読む完全アブストラクトゲームだが、勝利条件はなくて得点勝負であることから、気楽に遊ぶこともできる。収束性もすこぶるよい。
Linja
S.ミュールホイザー/シュテフェンシュピーレ(2003)
2人用/8歳以上/10分

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ファクトリーマネージャー(Funkenschlag – Fabrikmanager)

工場イノベーション
名作として名高い『電力会社』をテーマにした同じ作者のボードゲーム。舞台は電力会社の一工場(太陽光発電パネルを作っているみたい)で、労働者・エネルギーのコストを抑えて効率のよい生産ができるようにイノベーションを進める。
はじめに労働者で手番順の競りをする。手番が早ければ先に工場機械を選べるが、後なら価格の割引がある。競りで労働者をたくさん使うと買える機械の数が減るので、慎重に競りたい。
手番順が決まっても、すぐに機械を買うのではない。まず市場に機械を並べるところからだ。手番順に、手持ちの労働者の数だけボードから機械を取って市場に置く。ボードには機械が種類別・安い順に並んでおり、種類はどれでもいいが値段は安いものから取らなければならない。全員が市場に機械を並べてから、改めて最初の手番から機械の購入を始める。
1周目で選択、2周目で購入というこのルールが秀逸である。手番が早い人は選り取りみどりで購入できるが、選ぶときは安い機械しかない。手番が後だと高い機械を選べるが、それらは全部前手番の人に買われてしまって残りカスしかないかもしれない。ここに強烈なジレンマと駆け引きが生まれる。さらにカツカツな資金事情が輪をかけて熱い。
さて、購入した機械を自分の工場に設置しよう。生産力を上げるもの、保管量を上げるもの、労働者やエネルギーのコストを下げるものがあり、エネルギーコストを差し引いて収入を得る。労働者コストは、下げれば下げるほど次のラウンドで外回りができる労働者が増え、次のラウンドの機械の購入や設置が楽になるだろう。
なお、労働者が足りなければ1ラウンドだけ有効の季節労働者も雇うことができる。でも給料は滅法高いので注意。
5ラウンドでゲームは終了し、所持金で勝負する。最終ラウンドの収入は2倍(減収はほとんどないので、クイズ番組のように前のラウンドまでの成績が無駄になることはない。僅差の逆転可能性が残されるくらいである)。
生産力と保管量は均等に上げていかなければ収入に結びつかず、片方だけ上げた人は置いていかれる。少しのミスが致命的になるデザインにしたと、作者はルールに書いている(厳し〜)。私は早いうちにコストを下げておいたのが奏功して順調に進んだが、最後に無駄に高い機械を買ったために僅差で2位。ふたを開けてみれば1位から最下位までの所持金の差は20エレクトロ(お金の単位)しかなく、1円も笑えないシビアなゲームとなった。
機械の組み合わせや、コストのバランス取りなどで、できることはまだまだありそう。2Fシュピーレはこのところライト路線だったが、久しぶりにやりこみ甲斐のあるゲームを作ったものだ。
Funkenschlag – Fabrikmanager
F.フリーゼ/2Fシュピーレ(2009)
2〜5人用/12歳以上/60分