ミドルアース・クエスト日本語版
ホビージャパンは今月、アメリカのボードゲーム『ミドルアース・クエスト』の日本語版を英仏独語版と同時発売した。2〜4人用、13歳以上、180分、8,925円。ファンタジー小説の名作『指輪物語』をテーマにしたボードゲームで、指輪をめぐって、闇の勢力と英雄たちが戦う。
ゲームの舞台はビルボが姿を消した日から、主人公フロドと指輪が住み処のホビット庄を旅立つ日までの17年間の中つ国西部。4人のプレイヤーで、1人は指輪を狙う闇の王サウロンとして恐ろしいモンスターを各地に配置し、あと3人のプレイヤーは英雄となって魔法使いガンダルフたちの助力を得ながら中つ国を守る旅を続ける。中つ国の運命やいかに?
500枚近いカード、200体を超えるコマ、そして大判のボードで壮大なゲームが待っている。
ホビージャパンは設立40周年を記念して、次々と新作ボードゲームの日本語版に着手している。これまで『タリスマン』『アグリコラ』『ドミニオン』『パンデミック』『ドミニオン:陰謀』『パンデミック:絶体絶命』『スモールワールド』といった新作が日本語版で発売されている。
・ホビージャパン:ミドルアース・クエスト
ベオウルフ・ザ・ムービー(Beowulf the Movie)
第3ステージに向けて高まる緊張感
タイルとコマを配置して、自分のコマを置いた縦横の列から得点するボードゲーム。『市場のお店』(1994)が元ゲームで、このゲームの作者であるリメイク王・クニツィアがアメリカ版の『キングダム』(2003)を作り、さらに改良を加えてこのゲームが出来上がった。
自分の番にはボードの空いているところに手札からタイルを置くか、コマを置く。タイルはプラスポイントのもの、マイナスポイントのもの、特殊効果があるものがあり、コマは×1〜×4まである。碁盤の目になっているボードが全部埋まったら得点計算で、各コマごとに縦と横の二列にあるタイルの点数を合計し、コマの数字をかけて得点にする。ボードを替えて3ステージ行い、合計点の高い人が勝ち。
×2以上のコマは、合計がプラスになれば嬉しいが、マイナスになれば目も当てられない。当然、ほかの人が×2以上のコマを置いた列には、マイナスタイルがどんどん置かれることになる。タイルを置くにも、コマを置くにも、位置とタイミングが悩ましい。
元になった『市場のお店』はたいへん優れたゲームだが、同じボードで3ゲーム行うので、どんどんシビアになっていく傾向があった。大量得点をさせないようにお互い牽制するためである。攻撃はしやすいが、守るのは難しい。その点『ベオウルフ』は、毎ステージの地形が変わり、またタイル構成も変わることで変化をもたせ、シビアな印象を薄めている。ほかの人の置き方と、引いてくるタイルによって進め方は臨機応変。
縦横の列のプラスタイルを全部消してしまう「欺瞞」や、タイルの位置を交換できる「黄金の像」といった強力なタイルもあるが、その数はほんのわずかで、山札に埋もれたまま出てこないこともある。むしろ、そういうタイルが出てくることを警戒してゲームを進めるところが面白い。
今回は×2以上のコマを第3ステージまで全部温存しておく作戦。はたして第2ステージで大量得点を加えたくさのまさんにマークが集まる。第3ステージではほかの人と相乗りしたり、偶然できた美味しいスポットを押さえたりして追い上げ1位。
遊ぶたび、メンバーが変わるたびにつぶし合う展開と伸ばし合う展開の両方があり、それぞれ考え方が違う。ベオウルフというテーマのイラストはグロテスクで好みでないが、映画が忘れ去られても、このゲームは遊び継がれてほしい。
Beowulf the Movie
R.クニツィア/ファンタジーフライト(2007)
2〜4人用/10歳以上/30分
国内販売;アークライト