マハラジャ(Maharadscha)
追いはぎ上等
世界各国の宝石を、手下を使って集めさせるゲーム。ほかの人に先に取られた宝石は、追いはぎをして集める。それでいいのかマハラジャ?
自分のコマは4つあり、どれを動かしてもよい。ただ宝石を取るにも追いはぎをするにも、ちょうどの数で止まらなければならない。コマはサイコロで進めるが、1〜3しか出ないのと4〜6しか出ないものがあり、コマの状況をよく見てサイコロを選ばないといけない。
宝石はたくさんあるが、取ってよいのは自分がカードを持っている種類のみ。これがほかの人と少しずつ重なっているところが移動の戦略性を生む。同じ宝石を狙っているならば先に取りに行きたいし、先に取れれば同じ宝石を狙っている人から離れて移動したい。
とはいえ追いはぎは成功率があまり高くない。攻撃側は1〜3のダイスを振り、防御側は1〜6の通常ダイスを振って大きいほうが勝つ(引き分けは攻撃側勝利)から確率は3分の1。それでもダイスロールは燃える。
ほかの人に狙われないようにしたり、狙った人が逃げないようにするために、道中にコブラマーカーを置ける。これはゲーム終了時まで置きっぱなしで、コブラ使いカードがないと通り抜けることができない。みんな好き放題に置くから、終盤になるほど追いはぎ率が下がって収束性がよくなる。
盤上の宝石がなくなってから、全員5手番の猶予が与えられ、互いに奪い奪われて、最後に宝石の多い人が勝ち。こう着状態が続いていたが、とにかく追いはぎで襲いまくってヒットアンドウェイで追っ手をかわした私の勝利。宝石のコマが立派なせいか、追いはぎ判定のダイスロールが妙に盛り上がった。
一昔前の荒削りなゲームだが、細かいルールの多い現代のボードゲームの合間に遊ぶと、のびのびと遊べるような気がする。
Maharadscha
C.アダムス/シュミット(1987年)
2〜4用/10歳以上/60分
ふくろのネズミ(Knalle Kanalratte)
まんまと一杯食わされた
タイルに隠れた泥棒ネズミをめぐって、推理とブラフで追いかけっこするゲーム。子供が遊べば素直な推理ゲームになるものを、大人が遊ぶことで高度な心理戦が楽しめる。作者はフランスのR.フラガ。私が大好きなデザイナーの一人だ。
1人が逃げる役で、残り全員が追いかける役だ。まず追いかける役に目をつぶってもらい、逃げる役が16枚のマンホールタイルのうち1つに泥棒ネズミを入れる。追いかける役は目を開けて、好きなタイルに警官ネズミを置いてスタート。
追いかける役は警官ネズミを隣接するマスに移動して、そこにあるタイルをめくる。そこに泥棒ネズミがいたらゲームセットだが、最初から見つかることはまずない。つぎに逃げる役が、隣接するタイルを2枚、裏向きのまま場所交換する。泥棒ネズミが隣のマンホールに移ったというわけだ。そしてまた追いかける役が警官ネズミを移動してタイルをめくる。逃げる役がタイル交換、追いかける役がタイルをめくる……これを繰り返す。
16枚のうち、半分の8枚がめくられたのに泥棒ネズミが捕まらないと、逃げる役の勝ちになる。ただし、そのときに、泥棒ネズミがどこにいるかを一発で明かせなければならない。煙に巻いているうちに自分も分からなくなってしまったらアウトだ。
追いかける側にとっては、逃げる役のタイル交換が推理の手がかりとなる。警官ネズミが近づいてきたら、そこから遠ざかるように移動するはず。でも、実はブラフで、実は近づいていたり、まったく関係のないタイルを交換したりしているのかもしれない。一枚上手なのは、泥棒か警官か?
捕まえるか逃げおおせるかでチーズをもらい、全員が逃げる役をやってチーズの多い人が勝ち。
私はランダムにいろいろなところをタイル交換して混乱させようと思ったが、見事に見透かされていた。一方、追いかけるほうでは全く気配が読めない。逃げるほうも追いかけるほうも読みきったPsy+さんが優勝。実は全く分からないのに「絶対こっちだよ」とか言うのも作戦だったようだ。
人によってタイルの動かし方が違うのが面白い。高度に心理的な駆け引きが楽しめた。
Knalle Kanalratte
R.フラガ/ハバ(2007年)
2〜5用/4歳以上/15分
国内発売:すごろくや