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『はやぶさ君の冒険』12月発売

カードゲームメーカーのワンドローは12月、オリジナルの新作『はやぶさ君の冒険』を発売する。1〜4人用、8歳以上、10〜60分、2000円(予定)。
2003年に打ち上げられ、7年間・60億kmにわたる旅を経て地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」の足跡をたどるゲーム。プレイヤーははやぶさ運用チームの一員となり、「イオンエンジン停止」などのトラブルに対処し、小惑星イトカワを通って地球に帰還させる。はやぶさが無事地球に帰還すれば全員が勝利という協力ゲームだ。
基本システムは『ドミニオン』や『たんとくおーれ』に用いられているデッキ構築で、協力ゲームとして用いられるのは世界初。ゲームデザインはTCGヒット作『金色のガッシュベル!! THE CARD BATTLE』を手がけた中村誠氏が担当する。
さらにJAXA(宇宙航空研究開発機構)のサイトで公開されている「はやぶさ君の冒険日誌」作者が全面協力することで、実際のはやぶさが直面したトラブル、技術やアイデアが写真・CG・イラストで盛り込まれている。
先行発売は11月28日に東京・浅草で行われるテーブルゲームフェスティバルにて。その後、全国のボードゲームショップやネット通販で入手可能になる。
はやぶさをテーマにしたゲームとしては、大阪のネットショップa-gameが今夏に感謝セールのプレゼントに用意したハガキゲームの『オカエリナサイ はやぶさ君』がある。
ワンドロー:はやぶさ君の冒険

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トロワ(Troyes)

内憂外患のダイス

フランス北部、シャンパーニュ地方の都市トロワ。この都市における中世の400年間を、今流行のワーカープレイスメントにダイスを加えて再現した作品である。ベルギーのパールゲームズ最初の作品にして、エッセン国際ゲーム祭の人気投票で2位という高い評価を得ている。作者のひとりであるX.ジョルジュは昨年も『カーソンシティ』でワーカープレイスメントに新たな境地を開いており、注目されるデザイナーだ。日本語ルールはBGGで公開されている。
ゲームの中心となるのは18個のダイス。それぞれこの街を支える勢力を現しており、赤(軍人)、白(聖職者)、黄(農民)が6個ずつある。ゲームの最初に市民コマを置いて、どのダイスをいくつ担当するかを決める。毎ラウンド、このダイスを振り、出目を使ってさまざまなアクションを行うというわけだ。
アクションは、赤ダイスによるイベントへの対抗、白ダイスによる大聖堂の建設、黄色ダイスによる収入、アクションカードによる特殊能力の獲得、ほかのプレイヤーからのダイスの奪取の5つ。出目を見ながら、どのダイスをどのアクションに使うか選択していく。
アクションによっては、ダイスのほかにお金や影響力ポイントも必要となる。また、先にアクションを使いきってパスした人は、手番が来るたびにお金がもらえるという、イスタリ風のアドバンテージもある。
毎ラウンド2枚ずつめくられるイベントカードがこのゲームのキモだろう。黒ダイスによって先手プレイヤーから順に手持ちのダイスを相殺してしまうノルマン人の襲撃、所持金を奪う内戦、市民コマを追い出してダイスを減らしてしまう旅人など、全員にダメージを与える。しかも、赤ダイスで退治しないと累積し、街は荒廃状況に。被害が大きい先手プレイヤーを中心にして、協力して迎撃しなければならない。ここに協力ゲームの要素が生まれる。
イベントカードは、対処するたびにコマが置かれ、一定数置かれてはじめて除去される。そのとき、一番多くコマを置いていた人から手柄ボーナスをもらえるので、イベントへの対応に特化するのもよい。
アクションカードも多彩で、収入を増やすもの、ダイスの目を上げたり別の色に変換したりするもの、大聖堂の建設でボーナスをもらえるもの、イベントに対抗しやすくするものなどゲームに彩りを添える。27枚のうち、毎ゲーム9枚しか出てこないところもニクい。
ゲームはイベントカードが出終わったら終了で、アクションカード、イベントの手柄に、最初に配られたキャラクター(非公開)によるボーナスを加えて得点の多い人が勝つ。大聖堂の建設に参加していないとペナルティーもある。
中盤に、軍事力を上げるアクションカードと、軍事力でほかのプレイヤーから徴税するアクションカードのコンボを作って悪代官プレイ。キャラクターもティボー2世という、ゲーム終了時の所持金でボーナスをもらえるというものだったため、せっせと私腹を肥やす。しかしそんなことをしているうちにイベントへの対抗が甘くなってしまった。ボードからあふれ出したイベントカードを、ほかの人からダイスを買ってまで迎撃したぽちょむきんすたーさんが1点差で勝利。
ゲームは1時間強と思ったより短く、もう1ラウンドあればというところで終わる。ダイスの目に一喜一憂して盛り上がるし、悪いダイス目の使いどころもきちんとあるし、全員で協力する場面もある(実際は1人裏切ったりして)。それでいて、カードは全てアイコンでテキストは一切ない(アイコンを覚える必要はあるが)。ゲームはやはり進化し続けているのだと知った。
Troyes
S.ドゥジャルダン、X.ジョルジュ、A.オーバン/パールゲームズ(2010年)
2〜4人用/12歳以上/90分