ヒントをもうひとつ(VerTIPPT nochmal!)
ヒントが増えるほど混乱
『ひとつの文でどうぞ』と一緒に出たシュタウペのコミュニケーションゲーム。どちらのゲームも、ミスマッチが誘う笑いというコンセプトがあるようだ。
場には12枚のお題カードが並ぶ。けっこうエッチなものも多く、アダルト向きのようだ。このうち1つを、親が後ろを向いている間に残りの全員でこっそり決める。このお題を、親はヒントをもとに当てなければならない。
ヒントカードには、5つのヒントが書いてある。「正しい」「安全な」「ぴょんぴょん」などの形容詞である。親の左どなりの人から、自分のヒントカードを見て、お題に一番合うものを選ぶ。一応「近い」とか「いいのがない」くらいは言ってもいいが、ヒントを解説してはいけない。だからヒントを出す方も、答えを当てるほうも苦しい。
ヒントを聞いた親は、12枚の中から1つ選ぶ。正解すれば、ヒントを出した人が手札(手元に重ねてある)を減らすことができ、不正解ならば、親の手札が1枚増える。そしてさらに左どなりの人が次のヒント。これを正解するまで続ける。何周かして、手札の一番少ない人が勝ち。
正解しない限り、親の手札はどんどん増えるからプレッシャーが大きい。ところが、ヒントは重ねれば重ねるほど混乱していく。ヒントを出す人の様子を見て、近いヒントだけに集中して絞り込みたい。
私のときの第1ヒントはかゆかゆさんの「うんざり」。直感で答えは「結婚」か「子供」のどちらかだと思ったが、結婚はハズレだった。ところが次から、子供とはかけ離れたヒントが出まくり、混乱して何枚も取ってしまった。一方のヒントを出す方は不発で最下位。
ヒントの選択肢が5つしかないことで、創造性がないゲームかなと思っていたが、遊んでみるとそこが逆に面白さのキーポイントである。ヒントを出す方のもどかしさ、勘の悪い親のおかしさがとても楽しかった。
VerTIPPT nochmal!
R.シュタウペ/ハイデルベルガー出版(2009年)
3〜8人用/14歳以上/20分
カタン:港は建設した手番から使える
来月18日と19日、ドイツでカタン世界選手権が行われる。現在、カタン世界選手権はアメリカとドイツの交互開催となっており、ドイツで行われるのは2年ぶり。昨年のアメリカ大会よりも多い20カ国以上の代表を集めた模様だ。
さて、大会ルールの中に、「港は建設した手番から使える」というのがあった。多くの人はNGだと思っているのではないだろうか。
このルール変更は、交換フェイズと建設フェイズを分けるか否かというルールと関係している。初版のルールでは、ダイス→交換→建設の順番は守らなくてはならず、いったん建設を始めたらもう交換できない。港の使用は交換にあたるから、港を建設した手番にはもう使えないということになる。
ところが現在のルール(2010年版)では、交換と建設を分けているのは初心者向けにゲームの流れを分かりやすくするためのものであって、「経験者は、交換と建設を分けないことをお勧めします」となっている。そして交換→建設→交換→建設というように、1回の手番に2つのフェイズを何度も行き来できるとする。初心者は順を追ってプレイしたほうがよいが、慣れたら交換と建設の区切りを取り払ってよいというわけだ。
「経験者(Erfahrene Spieler)」という表現がルールに加えられるあたり、いかに『カタン』が世界中で遊びこまれているかを示すものであろう。このルールによって三角貿易のようなこともできるようになり、ゲームに深みが出る。
『カタン』に「今更」はない。しばらく遊んでいない人は、棚の奥から引っ張り出してみてはいかがだろうか。