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藪の中(In a Grove)

肉を切らせて骨を断つ

3人の容疑者の中から、誰が犯人かを予想しあう騙し合いのゲーム。『ストレイシーフ』に続いて物議を醸し、すごろくやさんが国産ベストに挙げるなど注目されているゲームである。
登場人物は8人で、2〜8の数字が書かれているものと、シロがいる。このうち毎回3人が容疑者となり、その中で一番数字が大きいのが犯人である。ただし、容疑者の中に「5」がいると、3人の中で一番数字の小さいのが犯人となる。残りの1人は被害者、4人は無関係の人。
8人のうち中身を見られるのは無関係の2人と容疑者2人だけ。これだけで予想するのは一か八かなので、ほかのプレイヤーの予想を手がかりにせざるを得ない。ほかのプレイヤーは別の人物を見ているので、その予想と自分が見た人物を対照すれば、より確率の高い予想ができるだろう……ただし、それはほかのプレイヤーがウソをついていなければの話。
毎回、犯人だと思う人物に自分のチップを出す。当たれば返ってくるが、ハズれれば裏にしてマイナスポイントになってしまう。ただし、後手番のプレイヤーも同じ予想をしてハズれると、そのプレイヤーにマイナスポイントを押し付けることができる。手持ちのチップが全部裏になるか、マイナスポイントが一定以上貯まったら負け。
予想が当たるのが一番で、わざとウソをつくメリットはあまりない。確率を無視した予想をしても後手番のプレイヤーが乗ってくるとは限らないし、仮に乗ってきてハズれたとしても、自分のチップが減れば負けに近づく。なので、ふざけないで真面目に予想しよう、ということになる。実際、登場人物が1人減る3人プレイでは、半数以上を把握できるため、全員正解という場面が多すぎてゲームが停滞する。
でも、そこがこのゲームのポイントなのだと思う。何ラウンドかに1回、確率が微妙なところでわざと低い方に予想する。すると次の人から混乱し始める。自分のチップを1枚失っても、敗者を出せればそれでよい。まさに肉を切らせて骨を断つ作戦である。
3人では全く盛り上がらなかったので4人で再戦。かゆかゆさんが鴉さんにチップを押し付けていったが、押し付けすぎて予想できるチップが減ってしまった。鴉さんもマイナスポイントが蓄積して死にそう。そこで予想が二手に分かれた。誰の策略だったか分からないし、素で間違ったのかもしれないが、かゆかゆさんが最後のチップを失って終了。あと一手で負けるというところでの予想が熱かった。
タイトルの通りもやもやしたゲームであるが、実況を交えながら遊び、意外な結末に一喜一憂すると楽しい。
藪の中
佐々木隼/オインクゲームズ(2010年)
2〜4人用/10歳以上/20分
すごろくや:藪の中

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ぴっぐテン(Pig 10)

幸運をこの手でつかめ

ドイツで豚は幸運のシンボルである。手札から0〜10のカードを出してカウントアップしていき、ちょうど10にした人が幸運をゲットできるカードゲーム。10にしたら「ピッグテン!」と叫ぼう。
カウントアップといっても、たった10なので、いきなり10を1枚出して「ピッグテン!」でもよい。でもそれで得られるのは1枚だけ。ゲーム終了時にはカード枚数で勝負するのだから、もう少し回していきたい。
面白いのは、カードを出したときに数字を選択できるルール。これによって手札の運だけではなくなる。特に、現在の場の数字と同じ数字を出せば、数字が上げなくてもよいのがポイントだ。7までいったとき、7を出しても14(バーストで前の人がカードをゲット)にはならず、7のままにできる。このため、前の人に取らせまいとみんなが7を出し続けると、場札はプログレッシブ・ジャックポット。そんなときに3を持っていたら!
また、0のカードを出すと、数字を0にリセットできる。そのときにすかさず10を出せたら、一挙にカードがたくさん手に入るだろう。場の数字が変わらないで回っているとき「オレの番まで回れ〜」と心の中で祈る。このドキドキ感がたまらない。
全員イーブンのはずが、なぜか同じ人ばかりカードを取り続けるということが起こる。それが自分の次の人だったりすると妙に悔しい。そんなときはわざとバーストさせて、流れを変えてみたくなる。
2回プレイして、どちらも流れを引き寄せられなかったが、数少ないチャンスをものにできたときは嬉しくて「ピッグテン!」を噛んでしまうほどだった。子供向けのデザインだが、大人も燃える。
Pig 10
A.プヌエリ/ツォッホ出版(2010年)
2〜8人用/6歳以上/15分
メビウスゲームズ:ぴっぐテン