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ネッシーを追え!(Loch Ness)

俺、ネッシーの出るとこ知ってるんだ

去年のエッセン国際ゲーム祭では『エジツィア』、一昨年は『パレ・ロワイヤル』なんかを出していたハンス・イム・グリュック社の新作にしては、イラストがファミリーゲームすぎると思っていた。対象年齢が低めだし、ゲーム紹介を読んでも運の要素が大きそうである。そこで始めから、同梱されている2つのバリアントルールを両方とも採用したところ、運の要素が抑えられ、その分駆け引きが楽しめた。
ネス湖を周遊しているネッシーの行き先を読んでカメラを設置し、見事当たれば得点になるゲーム。ネッシーが何マス進むかは、手番プレイヤーら3人が出したカードの合計で決まる。カードを出している3人が置いたカメラの位置をもとに、ネッシーがどこに止まりそうかを推理する。カメラは3台あり、得点が異なるので、どのカメラから置くかもポイントだ。
ハンス社らしいのが、毎回最初に選ぶ6つの職業。ネッシーを1マス進める、カメラを1台増やす、カメラの得点を上げる、マスの制限を超えて置ける、カードの選択の幅を拡げる、ほかの人が出したカードを見る。これらをうまく使いこなすことで、得点のチャンスを増やす。
バリアントは、使った移動カードは脇によけておいて、追加の職業を選ぶか、全部使いきらないと手札に戻らないというルール。これでネッシーの移動先が絞り込みやすくなる。もうひとつは、ゲーム中に何回か、4台目のカメラを手に入れる入札。一度競り落せば、あとはずっと4台になるので断然有利だが、入札に移動カードを使い、得点を削るという諸刃の剣。
職業で増えるカメラは、カードを選ぶ前に設置しなければならない。なのでその近辺は選ばれにくいが、逆にそれを見せ札にして、選択の幅を狭めることに成功。また、マスの制限を超えて置けるカメラは、カメラがひしめくところにも悠々と置けるので超有利だった。結局4台目のカメラは競り落とさないまま1位。
カードが減ってくると相手に足元を見られるので、全部使いきる前に戻したいところだが、そうするとほかの職業を選べないというジレンマが面白かった。3人全部のカード内容が分かっていることもあって、フェイクで別のところに置いたら誰も引っかからず、2周目には正解の場所がもう埋まっていたり。ゲーム好きなら最初からバリアント全入りで遊ぶことをオススメしたい。
Loch Ness
R.ヴェッタリング/ハンス・イム・グリュック(2010年)
2〜5人用/8歳以上/30分(バリアント入りで60分)
メビウスゲームズから発売予定

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ダコタ(Dakota)

西部開拓のゴタゴタ
先住民と開拓者に分かれて、陣営の利益を守りながら個人の得点を伸ばすイタリアのゲーム。今年のエッセン国際ゲーム祭で発表され、日本語版がホビージャパンから発売されたばかり。このところドイツでは見かけなくなったエリアマジョリティ(多数決陣取り)ゲームである。コマ1個の差が勝敗を分けるシビアなゲームだ。
ゲームの最初に、先住民か開拓者かを選ぶ。一斉に公開して、全員同じ陣営でなければ、1対3など偏っていても、最後までそれで進めることになっている。少ないほうの陣営は、中立コマ(NPC)を多くもつことで対抗できる。
盤上にはさまざまな資源を産出する5つの地形がある。木材なら山地、魚なら川、バッファローなら平原というように、地形によって取れる資源が異なる。ここに3個ずつ自分のコマを置き、さらに逆回りで3個ずつ中立コマを置く。コマはまとめて置いてもいいし、いくつかの地形に分けて置いてもいいが、分けておけばコマの数が減るので、陣取りで負ける恐れが高い。
コマは陣営別に分けられ、勝ったほうの陣営だけが資源を得られる。同数だとどちらも得られないというところが実にシビア。手番順を見て、後の人が最大限置いても上回れないようにするか、ほかに狙いがあると踏んで散らすかを考えなければならない。同じ陣営のプレイヤーと相談して協同することも重要だ。
勝ったほうの陣営は、中立コマを除いて、その土地に置いた自分のコマの数だけ資源をもらう。面白いことに、土地には上の段と下の段があって、先住民がほしい獲物は上の段に、開拓者がほしい資源は下の段にある。上の段が枯渇してはじめて下の段を取れるようになるので、原住民は枯渇を避け、開拓者は枯渇を狙う。
資源の獲得には協力が欠かせないが、ゲームの目的はあくまで個人の勝利点。獲得した資源で建物を作ったり、売ったお金で勝利点を買ったりする。建物は先住民か開拓者かによって異なり、収入を増やしたり、資源を増やしたりする特殊効果がある。ほかにコマを増やしたりコマの強さを上げたりもできるので、費用対効果を考えて資源を使いたい。
8〜10ラウンドで終了。全く資源が取れないラウンドもあるので、悠長に資源を集めていては間に合わない。どんどん建物を建てて勝利点を増やそう。
きっかり2対2に分かれ、私は先住民チーム。序盤は戦いを避け、コマをまとめて置くことで確実に資源を集める。それでトーテムポールを建てたものの、効果は資源が場に補充されるだけという弱々しいもの。一方、開拓者のPsy+さんと池田さんが建てた酒場は、毎ラウンド収入が入る。わざと先住民に不利にしているんじゃないかと思うようなバランスである。馬は乱獲され、森は荒野になって鉄鉱掘りが始まる。
しかし、その間にバッファローを狩っては売ってお金を貯め、入手難になっていた馬を市場で調達すると、相方さんのゴーストダンス(相手が中立コマを置けなくなる)も利用できてひそかに順調に。最後は建物をコンプリートした上、得点を勝ってぎりぎり1位。いい勝負だった。
イタリアのゲームというと、盛り上がりだけでもっていくような大味な印象があったが、このゲームは駆け引きが奥深くて、そんな印象を大きく覆すものだった。今度は不均等な陣営で遊んでみたい。
Dakota
P.チオーニ/テンキゲームズ(2010年)
3〜5人用/10歳以上/90分