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ドロイド(Droids)

近年、ドイツに代わってフランスのゲームが注目を浴びている。フランスゲームらしいのは、多人数でワイワイ遊べるパーティーゲームと、考えれば考えるほど奥が深い完全情報公開ゲームである。どちらもルールはシンプルという点で共通するものの、相容れなさそうな2つのタイプが共存しているのが面白い。
立体的なロボットのフィギュアが目を引くこのゲームも、完全情報公開ゲームである。ロボットの動きを先の先まで読んで、移動ルートをプログラムしなければならない。
ドロイド
毎ラウンド、まず7枚ずつプログラムタイルを取る。タイルはロボットを1マス進める、2マス進める、障害物まで進める、1マス戻る、銃を撃つ、目の前にある障害物を取るか置く、1つ先にいるロボットを移動する、壊れたロボットを修理するの8種類。現在のロボットの位置を見て、どれを取るか選ぶ。
次に手持ちのプログラムタイルを1枚ずつ配置。プログラム配置エリアは10列×3段になっており、タイルを置いた列のロボットにしか発動しない。置く順番と、使う順番は別で、他の人のプログラムを見ながら置くのは非常に考える。「このロボットをこっちに移動して、そこからバックして…いやその前にあのロボットが入ってくるか」
タイルの配置が終わったら実際にロボットを動かす。同じ列にあるプログラムは前から。
ロボットを移動し終わったらまたプログラムを取るところから始める。これを繰り返すのだが、シナリオが7つあり、生き残り、コンテナ争奪、陣地を囲む、像を建てるなどの目標がある。
今回は生き残り戦。うっかりくさのまさんの射程圏内に入ってしまった私が撃たれて終わった。プロット段階から公開なので、相手の動きに応じて先の先を読まなければならない。見かけとは裏腹に深い思考を要求されるゲームだった。
Droids
D.エルハール/オイロゲームズ(1991年)
1〜4人用/12歳以上/60分
絶版・入手難

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アダムとイブ(Adam et Eve)

ボードゲームの禁断の果実
昨年のエントリー「既婚ボードゲーム愛好者」で、買い過ぎや仲間はずれで奥さんの不興を買う愛好者の姿を見た。この悩みに一縷の望みをもたらしてくれそうなゲームが登場した。東京・中野でフェティッシュなボードゲームを扱う異色のショップ、ドロッセルマイヤーズがプロデュースした「男女協力型心理洞察カードゲーム」『アダムとイブ』である。
かくいう管理人も、妻とはめったにゲームをしない。日中は平日も土日も仕事や家事でいっぱいで、夜は子供と一緒に朝まで寝てしまう。そのため、このゲームのリリースが明らかにされて以来、とても楽しみにしていた。そしてようやく、お正月に満を持してプレイ。
アダムとイブ
2人でプレイする場合は「創造編」「楽園編」「地上編」の3つの難易度を選べる。1ゲームは5分くらいなので、創造編から全部遊んでもよい。2人のプレイ経験に合わせて、ちょうどよいところで止めればよいだろう。
太陽と月でそれぞれ1〜6のカードがあり、各自5枚ずつある手札を、5回交換してポーカーの役を作る。2人の役が一致していれば得点。何の役を狙っているか相談してはならず、相手の捨て札から推察しなければならない。
最初の手札が良かったからといって全く交換しないでいると、相手にサインを送ることができず、ひとりよがりな役で失敗に終わってしまう。かといって相手の様子を伺ってばかりいると、ワンペアくらいで終わってしまうかもしれない。3回のプレイの合計が、2人の相性ということになっている。
創造編は、ジョーカーのリンゴがあるので役を作りやすい。相性60点。「余裕だね」「ぬるいくらいだね」楽勝ムードで楽園編に進む。
楽園編ではお邪魔カードの雷が登場し、雷カードを捨てるたびに中央の神様/蛇モードが変わる。神様モードではリンゴがNGで、蛇モードでは太陽がNG。役が共通しなかったり、モードで許されないカードがあったりすると即ゲームオーバーなのでなかなか得点を伸ばせない。「信じてるよ!」「え〜」25点。ここから先は茨の道と知りつつ、地上編へ。
地上編はさらに、中立プレイヤーが登場する。毎回1枚ずつカードをめくり、5枚で偶然できた役よりも、2人の役が上回らなければならない。中立プレイヤーはジョーカーが使えるので強く、厳しい戦いを強いられる。「もうスリーカードだよ?」「どうしよう……」20点。
妻は地上編が一番よかったそう。厳しい戦いだからこそ、フルハウスなどの高い役が、ぎりぎりのところでできたときはハイタッチをしてしまった。相手の手札を読むばかりでなく、ハイリスク・ハイリターンで高い役を狙うか、安全確実にいくかというポーカーの楽しさもある。
同性ではあまり盛り上がらなさそうだし、カップルでも、いつもボードゲームを遊んでいる方向きではない。エデンの園に降り立ったアダムとイブがそうであったように、ボードゲーム経験の少なさが、このゲームを楽しむ上でポイントであるように思う。このゲームから、2人でボードゲームにハマる人たちが増えたらいいな。
Adam et Eve
渡辺範明/ドロッセルマイヤー商會(2011年)
2人用/10歳以上/5〜30分
ドロッセルマイヤーズ:アダムとイブ