シュピール’11:帰国
日曜日の最終日は朝の出発だったのでシュピール最終日はお休み。電車30分でデュッセルドルフ空港、1時間半でパリ・シャルルドゴール空港、11時間で成田空港へ。
今回のシュピールを振り返って、3点を挙げておきたい。
1.新作落ちと品薄
発売が間に合わなかったり、品薄で売り切れてしまったりする作品が目立った。ローゼンベルクの新作『祈り、働け』は初日に200部しか来なかったし、エッガート社は『田舎に死す』が間に合わなかった。例年、シュピールより前倒しで発売されているアミーゴ社の製品がなかなかリリースされず、メビウス便が遅れた。これらは製造会社シェア・シュピーレの倒産と、それに伴うルド・ファクト社の負荷オーバーが原因である。
このため買うほうとしては、初日の重要性が高まった。この情報は知っている人が多かったようで、結果的にレアになってしまったところには行列ができ、たくさんの荷物を抱えて歩く愛好者の姿が初日に見られた。
2.日本代表の活躍
日本が今年初めて参加した、『ドミニオン』と『カルカソンヌ』の世界大会は、それぞれ優勝、準優勝という素晴らしい成績を収めた。かつて『カタンの開拓者たち』の世界大会でも日本は好成績を収めていたが、ここでもその強さが証明された。
この成績は、日本のボードゲーム人口の増加と関連していると思う。人口が多ければ、その中に研究熱心なトーナメントプレイヤーが出る確率も高まる。そもそも、ホビージャパンとメビウスが渡航費を出して代表を送るようになったこと自体、マーケットの広がりを示している。
3.国内輸入の増加
メビウスゲームズ、ゲームストアバネスト、ホビージャパン、アークライト、テンデイズゲームズなどが積極的に新作を輸入してくれているおかげで、現地でしか買えないものがだいぶ少なくなった。フェアプレイのスカウトアクションで上位に入るような新作なら、今ではたいていどこかが仕入れる予定になっている。
そのため、翻訳がないものを急いで買って荷物を増やさなくてもよくなった。買うものといえば限定品や、さらにマイナーなメーカーの作品、中古品などが中心である。別に買わなくとも、のんびりと見て回って、気になったものを実際に遊ぶのもよい。シュピールは、新作をテストする場として「テスティパル」と呼ばれている。
第1回ドミニオン世界選手権、日本代表ルネ氏優勝
10月22日、ドイツのエッセン国際ゲーム祭「シュピール」内にて第1回ドミニオン世界選手権が開催され、日本代表のルネ(ハンドルネーム)氏が優勝した。
ヘルネ・ボードゲームセンターが『カタンの開拓者たち』『カルカソンヌ』に続いて運営する世界大会。世界16カ国から16名の代表が参加し、予選4ラウンドと準決勝・決勝が行われた。9月に行われた日本選手権で208名の頂点に立ったルネ氏は、世界大会でも予選から決勝まで全勝。他を寄せ付けない実力で、ぶっちぎりの優勝となった。賞品として、表彰状と発売されたばかりの『ドミニオン:異郷』英語版、賞金1000ユーロが贈られた。
2位はノルウェー代表、3位はドイツ代表。ルネ氏は、国によって実力差はあったものの、決して楽な戦いではなかったという。表彰後、各国の代表と連絡先を交換して、オンラインでの再戦を約束していた。副賞は「帰りの飛行機代にあてます」。
4位となったオーストリアの国内選手権は26名で、代表の女性は日本選手権に200名以上が参加したことを驚いていた。「日本選手権の上位陣は、誰が出ても優秀な成績を取るはず」とルネ氏。来年の世界選手権は未定だが、日本代表の活躍が予感される。