Posted in か行 シュピール11

株の恍惚(Aktienrausch)

社長も楽じゃないよ
先日、経済産業省の元審議官がインサイダー取引容疑で逮捕された。半導体大手の企業の株券が上がるという情報を、職務を通じて入手し、値上がりする前に妻名義で購入し、値上がりした後売却して200万円の利益を得たという。
インサイダー取引は株式の信用を揺るがす行為であるが、自分だけ知っているという優越感は魅力的なのだろう。しかしこのゲームでは、インサイダー取引ができる立場でも、配当を得るため株価を上げるほうがずっと難しいことが分かる。おいしい話はそうそう転がっていないものだ。
株の恍惚
フォーラム・ロマーナムの商人』など、カードゲームとは思えないプレイ感たっぷりのゲームを作っているイゼンゼー出版。2005年から毎年1タイトルずつコンスタントに発表しており、注目すべきメーカーになりつつある。
ゲームは株の売買フェイズと配当フェイズを繰り返す。登場するのはカロ・コーラ社やエッペル社など6社。売買フェイズでは好きな株を購入・売却できるが、一度にたくさん買ったり、独占したりはできない。各社別に、一番多く株券をもっている人が社長になる。
分配フェイズではまず、自分が社長をしている会社で、株の購入に使われたお金カードを取る。お金カードの裏は会社の名前と数字が書いてあり、5枚の分配カードの上に出していく。1の上には2、2の上には3というように上書きでき、全員がパスしたとき一番上にある会社の株価だけが上昇し、配当がある。上書きされたり、そもそもカードが出されなかった会社の株価は下がり、配当も行われない。
配当は、一番上にある会社の社長が、そこに置かれたお金カードを自分と、その株をもっている人に配るというかたち。社長は1枚多くもらえ、苦労が報われる瞬間だ。
再び株の売買に戻る。売却は、1社ならば一度に何枚でも売れる。そして売った枚数だけ株価が下がる。高くなったところで、ほかの人より先に売り抜けたいものだ。売却益はスイス銀行口座に入金され、誰かが2500万ドルに達したラウンドに持ち金の多い人が勝ち。なお、口座から現金を下ろすときは200万ドルにつき100万ドルの税金がかけられるので要注意。
カードの流れは、手札→各会社→分配カード→手札となっている。この流れをつかんで、自分に有利なカードをキープし、あわよくばほかの人から奪うのがポイント。自分が社長を務めている会社の強いカードをもっていれば株価を自由自在に上げ、最高値で売るチャンスが回ってくる。ほかの人が社長でも、いいカードを持っていたら株を買いにいったほうがよい。誰も知らない手札の中身にインサイダー取引のかおり。
ほかの人が手を出さないうちに緑の株をすぐ値上げしていったdjさん。独占状態で最高値で売って一挙にトップ。そのままhataさんの株も一足お先に売り抜けて1位となった。tomokさんは社長になった株をみんなに買われて資金が回らなくなり、最後まで浮上できず。社長の座を手放したくなくて、誰も終盤まで株を手放さなかったので、最後の最後に大暴落が起きてすごかった。
Aktienrausch
F.イゼンゼー/イゼンゼー出版
2〜5人用/10歳以上/30分

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ニュルンベルク’12新作情報:クイーンゲームズ

いつもはリリース情報がなかなか出ないクイーンゲームズですが、早々に発表しました。
江戸(Edo)
L.マルツ&S.マルツ作、2〜4人用、12歳以上、60分。
2010年のヒッポダイスデザイナーコンテストで、長時間ゲーム部門を受賞した作品「アルティプラノ(Altiplano)」のテーマを替えたものです。プレイヤーは大名となり、将軍のために侍を使って江戸の街を豊かにします。アクションカードは1枚が年貢や建設などの4面に分かれており、これらを並べてアクションをプロットします。そして侍をそれぞれのエリアに移動して、プロットしていたアクションを行います。建設や商業で得点が入り、誰かが12点に達したラウンドでゲーム終了となります。所持金やアイテムでボーナスが入り、得点の多い人が勝ちです。
江戸
エスケープエスケープ:マヤ神殿の呪い(Escape: The Curse of the Mayan Temple)
K.A.オストビー作、2〜5人用、8歳以上、30分。
神殿で宝石を集めて脱出する協力ゲーム。ダイスで移動して新しいタイルを置き、ダイスでアイテムを獲得します。アイテムは遠くの部屋に移動したり、壁を通り抜けたり、体力を回復したりします。サウンドトラックCDを流しながらの全員同時プレイで、ときおりカウントダウンが入り、0になったときに安全な部屋にいないとダイスを失います。3回目のカウントダウンが終わる前に、全員出口タイルから脱出できれば勝利。1人でも出られなかったら敗北です。

カイロ(Kairo)
K.ソルサモ作、2〜4人用、8歳以上、60分。
ヘルシンキを舞台にしたフィンランドのボードゲーム『トリ(Tori)』のリメイク。屋台タイルを配置し、魅力的な商品を並べて集客を競います。大きな屋台ほど得点も高くなりますが、客が来なければ何にもなりません。客の需要を見据えて屋台を選ぶ必要があります。
カイロ
マハラニマハラニ(Maharani)
W.パニング作、2〜4人用、8歳以上、40分。
プレイヤーは建築家となって、亡き王妃のためにタージマハルを建設するシャー・ジャハン帝を助けます。美しいモザイクタイルを配置して、得点を競います。モザイクタイルは回転式で取り、別な場所から建設していくことができます。モザイクが完成したとき、最高の建築家が勝利します。

機関車作品機関車作品(Locomotive Werks)
D.ダンツィガー作、3〜5人用、10歳以上、120分。
クイーンゲームズの鉄の馬シリーズ第2弾。鉄道をテーマにした経済ゲームです。19世紀、ドイツの鉄道網は急速に広がりましたが、追いついていませんでした。エンジンの生産能力を購入し、労働者を雇って生産して、マーケットに売ります。新製品が出ると旧機種の値段が暴落するマーケットで、開発競争を行います。

アーバニゼーションアーバニゼーション(Urbanization)
J.エプセン作、2〜4人用、12歳以上、75分。
産業革命から現代にかけて、田舎の村を都市に成長させます。家を建てて市民を集め、工場を作って繁栄させます。効率よく都市化に成功させたプレイヤーが勝ちます。運の要素がないゲームです。拡張が2つ同梱されています。

キングダムビルダー:遊牧民(Kingdom Builder: Nomads)
D.X.ヴァッカリーノ作、2〜5人用、8歳以上、60分。
昨秋に発売されたばかりの新作の拡張が登場します。空いているスペースに石を置くなどの特殊能力が得られる4枚のボード、新しい得点方法が記されたカード、5人まで遊べるコマが入っています。お城のところに遊牧民タイルが置かれ、最初にこれを取った人は開拓地を移動したり、建設ルールを無視して作ったりできます。
遊牧民
テーベの東:トゥームレイダー(Thebes: The Tomb Raiders)
P.プリンツ作、2〜4人用、10歳以上、30分。
日本語版も発売される予定の発掘ゲーム『テーベの東』のカードゲーム版。時は20世紀、ヨーロッパは外国文化に強い興味を示し、その宝物は考古学者を惹きつけてやみません。知識を蓄え、珍しい宝を求めてエジプト、メソポタミア、クレタ、ギリシャを探検します。
ヴァレンシュタイン(Wallenstein)
D.ヘン作、3〜5人用、12歳以上、120分。
2002年に発売され、その後『将軍(Shogun)』としてリメイクされた戦争ゲームの再版です。2つの拡張が新たに追加されます。「皇帝の廷臣」では、ゲームの最初にダイスタワーから落ちたコマが皇帝の廷臣となり、最も多く廷臣を出しているプレイヤーが特権を得ます。「従者」では、4つのエリアを支配している人がカードを引き、お金や軍隊などのボーナスを得ます。
ニュルンベルク’12新作情報